エーザイとWren Therapeutics シヌクレイノパチー創薬に向けた共同研究契約を締結α‐シヌクレインの異常構造と凝集に関するネットワークキネティクスに基づいたシヌクレイノパチー疾患修飾治療の開発を目指す

エーザイ株式会社

Wren Therapeutics Ltd.

                                

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とWren Therapeutics Ltd.(本社:英国、ケンブリッジ、以下 Wren)は、このたび、パーキンソン病およびレビー小体型認知症などのシヌクレイノパチーの新規治療法につながるα-シヌクレインを標的とした新規低分子化合物の探索研究を目的とした独占的共同研究契約を締結したことをお知らせします。

 

 Wrenは、神経変性疾患の原因となる異常構造を有するタンパク質およびその凝集過程に対する低分子化合物の影響を精密に定量する新しいネットワークキネティクス創薬プラットフォームを有しています。Wrenは、本創薬プラットフォームを用い、シヌクレイノパチーに対して、その発症と進行に関わるα-シヌクレインの凝集過程を選択的に制御する新規低分子化合物の特定をめざしています。本共同研究では、Wrenの創薬プラットフォームにエーザイの神経変性疾患創薬における豊富な経験を組み合わせることで、臨床開発候補品の創出を加速していきます。

 

 WrenのCEOであるSamuel Cohen博士は、「神経変性疾患に苦しむ患者様への革新的な治療法の提供に対して卓越した実績と全社的コミットメントを有するエーザイと本共同研究に至ったことを嬉しく思います。独自の予測性と定量性を持つ我々のプラットフォームとエーザイの神経領域における深い専門知識を組み合わせることで、パーキンソン病などのタンパク質の異常構造による進行性の疾患に対する治療法につながるα-シヌクレインを標的とした特異的な低分子化合物の研究を協力して前進させることができます」と述べています。

 

 エーザイの執行役 ニューロロジービジネスグループのチーフディスカバリーオフィサーである木村禎治博士は、「レビー小体型認知症やパーキンソン病などのシヌクレイノパチーは、効果的な疾患修飾治療法がないため、極めてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。異常な構造を有するα-シヌクレイン凝集体の蓄積は、これらの疾患の重要な特徴です。世界的に有名なサイエンティストを設立メンバーとして有するWrenのチームは、従来とは根本的に異なる、タンパク質の異常構造による疾患に対処する新しいアプローチのパイオニアです。両社の能力を統合することで、このエキサイティングなコラボレーションがレビー小体型認知症、パーキンソン病などに苦しむ患者様のための新しい疾患修飾治療薬の創出につながることを期待しています」と述べています。

 

以上

              

本件に関する報道関係お問い合わせ先

  • エーザイ株式会社

    PR部

    TEL:03-3817-5120

  • Wren Therapeutics Ltd.

    Emer Reynolds

               

<参考資料>

1. Wrenによる新規のネットワークキネティクス創薬プラットフォームについて

 Wrenが有するネットワークキネティクス創薬プラットフォームは、タンパク質の異常構造を原因とする疾患用に特別に設計された全く新しい創薬手法です。本手法は、疾患ごとに原因タンパク質の凝集過程に関わる複数の分子種の平衡関係を動的に捉えるための、十分な予測性と定量性のある数理モデルを基盤とします。本プラットフォームは、毒性のある異常構造物や凝集体を減らすためのそれらの凝集過程における最適な介入ポイントを特定し、適切なキネティクス阻害作用を持つ分子の創出と最適化を可能にします。

 

2. シヌクレイノパチーについて

 シヌクレイノパチーは、神経細胞とグリア細胞におけるα-シヌクレインの異常構造と凝集を特徴とする神経変性疾患です。シヌクレイノパチーには、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症(DLB)および多系統萎縮症(MSA)などが含まれます。

 

3. エーザイ株式会社について

 エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。また、当社は開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。

 エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。

 

4. Wren Therapeutics Ltd.について

 Wrenは、ケンブリッジ大学(英国)とルンド大学(スウェーデン)によって設立された企業であり、タンパク質の異常構造による疾患の創薬と開発に注力しています。Wrenは、科学者である創設者による、タンパク質の異常構造が起こる化学反応速度に焦点を当てた10年以上におよぶ研究に基づいて、この領域の疾患に対処するため、極めて新規なアプローチで研究を進めています。Wrenの予測性と定量性を持つプラットフォームは、物理科学の概念に基づいて構築されており、従来の生物学では対処できなかったこの領域の複雑なシステムに対し、説明可能で定性的な方法により、根本的な変化をもたらしています。Wrenは独自のアプローチを用いて、タンパク質の異常構造による疾患の治療法に対する幅広いパイプラインを開発しています。

 Wren Therapeutics Ltd.の詳細情報は、www.wrentherapeutics.comをご覧ください。