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- 2020年11月7日
2020年11月7日‐アルツハイマー病治療薬候補であるアデュカヌマブについて、米国食品医薬品局(FDA)の末梢・中枢神経系薬物諮問委員会が開催され、「301(ENGAGE)試験を考慮せずに302(EMERGE)試験を独立して評価した場合、アルツハイマー病治療としての有効性に関する説得力のあるエビデンスを示しているか」について投票を行い、賛成1、反対8、保留2の結果となりました。また、「103(PRIME)試験がアデュカヌマブの有効性の裏付けとなるエビデンスを示しているか」については賛成0、反対7、保留4でした。さらに、「申請者はアルツハイマー病の病態生理に対するアデュカヌマブの薬力学的効果に関して説得力のあるエビデンスを示しているか」については賛成5、反対0、保留6の結果となりました。最後に、「103試験の結果およびアルツハイマー病の病態生理に対する薬力学的効果に関するエビデンスとともに、301試験および302試験の探索的解析による理解に基づき、302試験をアデュカヌマブのアルツハイマー病に対する有効性に関する主要なエビデンスとみなすことができるか」については賛成0、反対10、保留1となりました。
バイオジェンのCEOであるミシェル・ヴォナッソスは「諮問委員会にご参加いただきました当事者ならびに関係する多くの皆様が、アルツハイマー病治療薬に対するまだ満たされないニーズについて、それぞれの立場からご見解を共有いただきましたことに感謝申し上げます。我々のデータを諮問委員会の皆様にお示しする機会をいただいたことを嬉しく思います。我々は引き続き、FDAが本申請の審査を完了できるよう協力していく所存です」と述べています。
FDA諮問委員会の提言は、FDAによる審査において考慮されますが、拘束力はありません。諮問委員会で表明された意見と申請データをもとに、FDAは、2021年3月7日までにアデュカヌマブの生物製剤ライセンス申請(BLA)を承認するかどうかを決定するレビュープロセスを継続します。
アデュカヌマブについて
アデュカヌマブ(開発コード:BIIB037)はアルツハイマー病の治療薬候補として開発されたモノクローナル抗体です。臨床試験データに基づき、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度アルツハイマー病において、アデュカヌマブは、疾患の原因となる病態生理に作用し、認知機能の低下(悪化)を抑制し、金銭管理、家事(掃除、買い物、洗濯など)や単独での外出などの日常生活動作におけるベネフィットが得られると期待されます。承認された場合、アデュカヌマブは、アルツハイマー病当事者の疾患の経過に本源的な変化をもたらす初めての治療薬となります。
アデュカヌマブは、共同開発ライセンス契約に基づきNeurimmune社から導入されました。2017年10月より、バイオジェンとエーザイは全世界的にアデュカヌマブの開発ならびに製品化を共同で実施しています。
アデュカヌマブの臨床試験について
EMERGE試験、ENGAGE試験は、アデュカヌマブの有効性と安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、臨床第Ⅲ相試験です。登録された被験者は、ADによる軽度認知障害(MCI)または軽度のアルツハイマー病の認知症で、MMSEスコアは24〜30でした。試験の主要評価項目は、CDR-SBのスコアの変化によって測定される認知機能および機能障害の低下抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性を評価することです。副次評価項目は、MMSE、ADAS-Cog 13およびADCS-ADL-MCIによって測定される臨床症状悪化の抑制における、プラセボと比較したアデュカヌマブ月1回投与の有効性を評価することでした。
PRIME試験は、12カ月の二重盲検プラセボ対照期間と、それに続く用量盲検長期延長期間を含む、無作為化多施設共同、臨床第1b相試験の研究でした。登録された被験者は、前駆期のアルツハイマー病または軽度のアルツハイマー病の認知症で、MMSEスコアは20〜30でした。アデュカヌマブの安全性と忍容性が主要な試験目的でした。副次的目的は、(1)[18F] -florbetapir PETで測定した脳アミロイドプラーク含有量に対するアデュカヌマブの効果、(2)アデュカヌマブの薬物動態、および(3)アデュカヌマブの免疫原性でした。臨床効果の評価項目は、試験プロトコルで探索的として事前に指定されていました。
アルツハイマー病について
アルツハイマー病は、思考、記憶および自立の機能が損なわれ、早期の死亡につながる進行性の神経疾患です。現在、この病気は進行の抑制、遅延、予防ができず、グローバルヘルス問題として拡大しており、当事者とそのご家族に影響を与えています。世界保健機関(WHO)の報告から、世界中で数千万人のアルツハイマー病当事者がいると推定されています。今後も、アルツハイマー病当事者数は増加するとともに、必要なヘルスケア関連のコストはより速いペースで増加し、その負担に巨費を要することが想定されます。
アルツハイマー病は、毒性種であるAβプラークの異常な蓄積を含む脳の変化を特徴とし、その蓄積は症状が現れる約20年前から始まります。アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)は発見および診断が可能となる症状が現れる最も早期の段階です。現在の研究においては、アルツハイマー病の進行抑制、遅延をもたらすために、可能な限り早期に患者様を見出し治療することに焦点が当てられています。
バイオジェンについて
神経科学領域のパイオニアであるバイオジェンは、最先端の医学と科学を通じて、重篤な神経学的疾患、神経変性疾患の革新的な治療法の発見および開発を行い、その成果を世界中の患者さんに提供しています。1978年にチャールズ・ワイスマン、ハインツ・シェイラー、ケネス・マレー、ノーベル賞受賞者であるウォルター・ギルバートとフィリップ・シャープにより設立されたバイオジェンは、世界で歴史のあるバイオテクノロジー企業であり、多発性硬化症の領域をリードする製品ポートフォリオを持ち、脊髄性筋萎縮症の最初の治療薬を製品化いたしました。また、多発性硬化症および神経免疫疾患、アルツハイマー病および認知症、神経筋障害、運動障害、眼疾患、免疫疾患、神経認知障害、急性神経疾患および疼痛といった神経領域の研究においても最先端の活動を展開しています。バイオジェンは生物製剤の高い技術力を活かし、高品質のバイオシミラーの製品化にも注力しています。バイオジェンに関する情報については、http://www.biogen.com およびSNS媒体Twitter, LinkedIn, Facebook, YouTubeをご覧ください。
エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を企図し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築をめざしています。エーザイ株式会社の詳細情報は、https://www.eisai.co.jpをご覧ください。
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エーザイ株式会社
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