自社創製の経口マルチキナーゼ阻害剤「レンビマ®」を通じた肝疾患患者様への取り組み
第8回技術経営・イノベーション大賞において「科学技術と経済の会会長賞」を受賞

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、一般社団法人科学技術と経済の会(JATES)*が主催する第8回技術経営・イノベーション大賞において、このたび、経口マルチキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)の創出および肝疾患患者様への取り組みが「科学技術と経済の会会長賞」を受賞しましたのでお知らせします。

 

 技術経営・イノベーション大賞は、日本発の優れたイノベーションを広く紹介することで日本の経済の発展、社会の変革、グローバル競争力の向上等に貢献することを目的に2012年に創設され、今年で8回目となります。

 今回の受賞は、「レンビマ」という日本発の新たな治療薬の創出やMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (米国とカナダ以外では MSD)との本剤のグローバルな共同開発・販促提携による患者様貢献の早期最大化に向けた取り組みに加え、当社の企業理念に基づく肝疾患患者様への支援活動が高く評価されたものです。

 

 「レンビマ」は、主に腫瘍血管新生に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能なマルチキナーゼ阻害剤として、当社筑波研究所において創製されました。日本においては、2015年3月に「根治切除不能な甲状腺癌」の効能・効果にて製造販売承認を取得後、2018年3月に「切除不能な肝細胞癌」の効能・効果追加の承認を世界に先駆けて取得し、肝細胞がんの全身化学療法の一次治療薬として約10年ぶりの新たな治療選択肢となりました。さらに、当社は、肝炎・肝硬変・肝がんの患者様が治療や療養生活で抱える不安を解消するとともに、治療に向けた前向きな想いや行動を支援するための肝疾患サポートサイト**を開設し、薬剤だけでは成し得ない患者様貢献をめざしています。

 

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの治癒に向けた革新的な新薬創出をめざしています。最先端のがん研究から革新的な創薬を進めるとともに、予知や予防を含めたオンコロジーエコシステムの構築に取り組み、がん患者様とそのご家族、医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

 

以上

 

* 産業界が主体となった活動の推進を基本理念とし、技術と経営ならびに経済に関する異業種の交流や研究活動を行うことを目的に1966年10月に設立された一般社団法人:http://www.jates.or.jp/

** エーザイの肝疾患サポートサイト:https://patients.eisai.jp/kanshikkan-support/

  

   

<参考資料>

  1. 1. 「レンビマ®」(一般名: レンバチニブメシル酸塩)ついて

 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する、経口投与可能なエーザイ創製のマルチキナーゼ阻害剤です。

 非臨床研究モデルにおいて、「レンビマ」は、がん微小環境における免疫抑制因子として知られている腫瘍関連マクロファージの割合を減少させ、インターフェロンガンマ(IFN-γ)シグナル伝達刺激により活性化細胞傷害性T細胞の割合を増加させることで、抗腫瘍免疫活性をもたらします。また、作用機序に関する非臨床研究モデルで示されているとおり、がん微小環境における「レンビマ」と抗PD-1モノクローナル抗体による相乗作用の結果、「レンビマ」と抗PD-1モノクローナル抗体の併用による抗腫瘍活性は、「レンビマ」および抗PD-1モノクローナル抗体のそれぞれの単剤療法の抗腫瘍活性を上回ることが示されました。

 現在、「レンビマ」は、甲状腺がんに係る適応で日本、米国、欧州など60カ国以上、肝細胞がんに係る適応で日本、米国、欧州、中国、アジアなど55カ国以上、腎細胞がん(二次治療)に対する「エベロリムス」との併用療法に係る適応で米国、欧州、アジアなど50カ国以上、さらに子宮内膜がんに対する「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法に係る適応で米国、オーストラリア、カナダの3カ国で承認を取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。

 

「キイトルーダ」はMerck & Co., Inc. Kenilworth, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpの登録商標です。