次世代創薬の加速にむけてPersonal Genome Diagnostics Inc.(PGDx)とLiquid biopsyによるがん遺伝子パネル検査の共同研究開発を開始

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、Personal Genome Diagnostics Inc.(本社:米国メリーランド州、以下 PGDx社)とがん遺伝子パネル検査の共同研究開発に関する契約を締結し、研究を開始したことをお知らせします。本共同研究開発では、血液サンプルを使用したLiquid biopsy(非侵襲的な体液サンプルを使用して診断や治療効果予測を行う技術)によって、500以上のがん遺伝子の変異などについて網羅的な解析が可能となるがん遺伝子パネル検査キットを創出し、創薬への活用を行います。

 

 当社は中期経営計画「EWAY2025」において、「予知・予防」と「治癒」の実現をめざし、神経領域とがん領域に集中したイノベーション創出の取り組みを進めています。今回、がん領域における個別化医療実現に向け、新たな遺伝子解析技術獲得を目的としてLiquid biopsyによるゲノム解析に優れた専門性を有する米国のバイオベンチャーであるPGDx社との共同研究開発契約に至りました。

 

 当社は、創出した遺伝子パネル検査技術を用い、Liquid biopsyとして血中の循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA; ctDNA)を測定することで、発がん、再発・転移や薬剤耐性化などのがんの進化(Cancer Evolution)の解析に取り組みます。既存の抗がん剤に対する抵抗性に関与し新たな創薬標的となる遺伝子異常の特定や、新薬の臨床試験への遺伝子パネル検査技術の活用をめざし、将来的にはがんの早期診断、個別化医療、治癒を実現するゲノム医療への活用に取り組みます。

 

 当社は、最先端のLiquid biopsy技術に基づくがんゲノム医療を加速するとともに、長期的にがんの進化をモニタリングすることで、予知や予防、がん治癒に至る治療の創出につながるオンコロジーエコシステム構築をめざした取り組みを進め、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

 

以上

 

<参考資料>

1. Personal Genome Diagnostics Inc.(PGDx)について

 Personal Genome Diagnostics Inc.(本社:米国メリーランド州)は、実用的なゲノム情報の解明により、がん征圧への貢献をめざすバイオベンチャー企業です。PGDxは、疾患の解明、研究成果の迅速な取得および医療経済の改善をめざし、世界中の臨床検査機関・研究所向けの腫瘍組織およびLiquid biopsyによるゲノム検査製品の開発に取り組んでいます。PGDxは、がんゲノムシーケンスおよびLiquid biopsyのパイオニアである、Johns Hopkins Universityの研究者によって設立されました。PGDxの詳細については、www.PersonalGenome.comをご覧ください。

 

2. がん遺伝子パネル検査について 

 がん遺伝子パネル検査では、遺伝子の塩基配列を高速に読み出せる装置(次世代シーケンサー)を用いて、多くのがん遺伝子の変異を網羅的に検査することが可能です。PGDxとの共同研究開発では、Liquid biopsyにより、500以上のがん遺伝子の変異などについて網羅的な解析が可能となる最新のがん遺伝子パネル検査キットの創出をめざします。