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- 2020年1月10日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗がん剤「ハラヴェン®」(中国語表記:「海乐卫®」、一般名:エリブリンメシル酸塩)を中国において新発売したことをお知らせします。
「ハラヴェン」は、ハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。微小管の伸長(重合)を阻害・抑制する作用機序に加えて、非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること1、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させること2など、がん微小環境におけるユニークな作用を有することが報告されています。また、本剤は、アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む前治療歴のある進行または再発乳がん患者様762人を対象としたグローバル臨床第Ⅲ相試験(EMBRACE試験)において、対照である主治医選択治療群に比較して、全生存期間を統計学的に有意に延長する結果を示しており3、乳がんに係る適応で、これまでに米国、日本、欧州、アジアなど、70カ国以上で承認を取得しています。EMBRACE試験において「ハラヴェン」投与群で高頻度(頻度25%以上)に認められた有害事象は、無気力(疲労感)、好中球減少、脱毛症、末梢神経障害、悪心、便秘でした。
中国において、「ハラヴェン」は、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む化学療法による前治療歴を有する局所再発性または転移性乳がんの患者様530人を対象に中国で実施した臨床第Ⅲ相試験(304試験)4の結果に基づき、2019年7月に、「アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む2レジメン以上の化学療法歴のある局所進行性または転移性乳がん」の適応を取得しました。304試験において、「ハラヴェン」投与群はビノレルビン投与群と比較して無増悪生存期間を統計学的に有意に延長しました。304試験において「ハラヴェン」投与群で発生頻度の高かった上位5つの有害事象は、白血球数減少、好中球数減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、貧血でした。
近年、中国では乳がんと診断される女性が増加しており5、2018年には37万人の女性が新たに乳がんと診断され、10万人の患者様が亡くなったと推定されています6。また、新たに診断された女性のがんのうち、乳がんが最も多いと報告されています6。
当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。中国においては、抗がん剤「レンビマ®」について、「全身化学治療歴のない切除不能な肝細胞がん」に対する治療薬として、2018年11月より発売しています*。今回の「ハラヴェン」の新発売を機に、中国におけるがん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。
*「レンビマ」については、中国において、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の中国法人であるMSD Chinaと共同で情報提供を行っています。
以上
<参考資料>
1. 「ハラヴェン」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について
「ハラヴェン」は、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai )から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有しています。加えて、非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること1、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させる2など、がん微小環境におけるユニークな作用を有することが知られています。
本剤は、2010年11月に米国で乳がんに係る適応で最初の承認を取得し、これまでに日本、欧州、米州、アジアなど70カ国以上で乳がんに係る適応で承認を取得しています。また、悪性軟部腫瘍に係る適応については、2016年1月に米国で最初に適応を取得したのをはじめ、日本、欧州、アジアなど65カ国以上で承認を取得しています。本剤は米国および日本において、悪性軟部腫瘍に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。
「ハラヴェン」の米国における適応症は「アントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤を含む少なくとも2レジメンのがん化学療法による前治療歴のある転移性乳がん」および「アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む化学療法の前治療歴のある手術不能または転移性の脂肪肉腫」です。日本における適応症は、「手術不能又は再発乳癌、悪性軟部腫瘍」です。欧州における適応症は、「1レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん(術後または再発後にアントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤による治療歴を有すること)」および「進行または転移性で、アントラサイクリン系抗がん剤治療(不適な場合を除く)を含む化学療法の前治療歴のある手術不能な成人の脂肪肉腫」です。
1 Funahashi Y et al., Eribulin mesylate reduces tumor microenvironment abnormality by vascular remodeling in preclinical human breast cancer models. Cancer Sci., 2014; 105, 1334-1342
2 Yoshida T et al., Eribulin mesilate suppresses experimental metastasis of breast cancer cells by reversing phenotype from epithelial-mesenchymal transition (EMT) to mesenchymal-epithelial transition (MET) states. Br J Cancer, 2014; 110, 1497-1505
3 Cortes J et al., Eribulin monotherapy versus treatment of physician's choice in patients with metastatic breast cancer (EMBRACE): a phase 3 open-label randomised study Lancet, 2011; 377, 914-23
4 Yuan P et al., Eribulin mesilate versus vinorelbine in women with locally recurrent or metastatic breast cancer: A randomized clinical trial Eur J Cancer, 2019; 112, 57-65
5 Lei F et al., Breast cancer in China. The Lancet Oncology, 2014; 15(7), e279–e289
6 Ferlay J, et al., (2018). Global Cancer Observatory: Cancer Today. Lyon, France: International Agency for Research on Cancer. https://gco.iarc.fr/today, 2020年1月10日時点