パーキンソン病治療剤「エクフィナ®錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩)日本において新発売

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、日本において、レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善を効能・効果とするパーキンソン病治療剤「エクフィナ®錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩、以下「エクフィナ」)を新発売したことをお知らせします。本剤は、2019年9月20日に製造販売承認され、同年11月19日に薬価収載されました。


 「エクフィナ」は、日本において、Meiji Seika ファルマ株式会社(本社:東京都、以下 Meiji)が開発した1日1回経口投与のパーキンソン病治療剤です。モノアミン酸化酵素B(MAO-B)の選択的かつ可逆的な阻害作用により、内因性およびレボドパ含有製剤由来のドパミン脳内濃度の維持を助けます(ドパミン作動性作用)。また、電位依存性ナトリウムチャネル阻害作用を介した脳内グルタミン酸放出抑制作用(非ドパミン作動性作用)を併せ持っています。レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病患者様を対象とした国内臨床試験において、症状が抑えられている時間(オン時間)の1時間以上の延長や運動機能の改善が認められており、wearing off現象の改善効果が期待されています。

 

 今回の承認は、wearing off現象を有する日本人パーキンソン病患者様を対象に、レボドパ含有製剤併用下で「エクフィナ」の有効性および安全性をプラセボと比較した二重盲検第Ⅱ/Ⅲ相試験(ME2125-3試験)、ならびに長期安全性および有効性を評価した非盲検第Ⅲ相試験(ME2125-4試験)などの成績に基づくものです。

 ME2125-3試験では、投与24週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量について、「エクフィナ」投与群(50mg、100mg)はプラセボ投与群に比較し、統計学的に有意なオン時間の延長を示しました(50 mg投与群: 1.39 時間の延長(95%CI: 0.67, 2.11、p=0.0002)、100 mg投与群:1.66 時間の延長(95%CI: 0.93, 2.39、p<0.0001)。「エクフィナ」投与群で確認された主な副作用(発現率3%以上)はジスキネジアおよび幻視でした。

 ME2125-4試験では、投与52週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)について、「エクフィナ」投与群(50mgまたは100mg)においてオン時間の延長が認められ(1.42±2.72時間)、「エクフィナ」の長期投与においても有効性が継続することが示されました。「エクフィナ」投与群で確認された主な副作用(発現率3%以上)は、ジスキネジア、転倒および便秘でした。

 

 日本において、パーキンソン病患者様数は約20万人と推計され1、高齢化に伴い、年々増加する傾向にあります1,2。パーキンソン病治療剤としては、脳内で不足したドパミンを補うレボドパ含有製剤が広く用いられますが、病気の進行に伴い、オン時間が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れて動けなくなるwearing off現象を認める場合があります。オン時間が短くなることは、パーキンソン病患者様の就労の機会や日常活動に影響をおよぼすことから、QOLを低下させる大きな要因となります。

 

 「エクフィナ」は、日本において、Meijiがサフィナミドの製造販売承認を保有し、当社が独占的に販売します。当社は、日本におけるパーキンソン病治療の新たな選択肢として「エクフィナ」をお届けすることにより、パーキンソン病患者様が自らの意思で自由に活動できる時間を増やし、患者様のQOL向上とご家族のいきいきとした日常生活の創出に向け、より一層貢献してまいります。

 

以上

   

 

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エーザイ株式会社 PR部

TEL:03-3817-5120

 

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(AIホットライン、24時間対応)https://medical.eisai.jp/inquiry/chat/product-s/eqf_bot.html

「エクフィナ」専用AIホットライン:

 <参考資料>

  1.  
  2. 1. 「エクフィナ®錠50mg」(一般名:サフィナミドメシル酸塩)について

[製品概要]

*You can scroll to the left or right here

販売名: エクフィナ®錠50mg
剤型・含量:

1錠中にサフィナミドメシル酸塩65.88mg (サフィナミドとして50mg)を有する白色のフィルムコーティング錠

効能・効果: レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるwearing off現象の改善
用法・用量:

本剤は、レボドパ含有製剤と併用する。通常、成人にはサフィナミドとして50mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて100mgを1日1回経口投与できる。

薬価: エクフィナ®錠50mg 1錠 963.90円
製造販売承認日: 2019年9月20日
薬価収載日: 2019年11月19日
製造販売元: Meiji Seika ファルマ株式会社
販売: エーザイ株式会社

 Newron Pharmaceuticals S.p.A.(本社:イタリア、ミラノ)が創製・開発したサフィナミドメシル酸塩は、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、分泌されたドパミンの分解を抑制してドパミンの脳内濃度維持を助けます。また、ナトリウムチャネル阻害作用を介したグルタミン酸放出抑制作用を有することから、ドパミン作動性作用と非ドパミン作動性作用を併せ持っています。

 海外および国内で実施された進行期パーキンソン病患者様を対象としたレボドパ含有製剤併用下での臨床試験では、オン時間の延長や運動機能の改善が確認されています3,4。サフィナミドメシル酸塩は、「Xadago」の製品名で欧州(15カ国)、米国、オーストラリア等で販売されており、カナダでは「Onstryv」の製品名で販売されています。

 

  1. 2. エーザイとMeijiによるサフィナミドメシル酸塩のライセンス契約について

 2011年にMeijiが日本およびアジアにおける独占的な開発、製造および販売に関するライセンスを取得し、エーザイは、2017年3月にMeijiと締結したライセンス契約に基づき、日本における「エクフィナ」の独占的販売権とアジア*における独占的開発・販売権を保有します。

 

* 韓国、台湾、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、香港、マカオ

 

  1. 3. パーキンソン病について

 パーキンソン病は、ドパミン神経系の変性・脱落により、脳内の神経伝達物質であるドパミンが減少することで、手足の震え、筋肉の固縮、小刻みな歩行などの運動症状および痛みを含む感覚障害、睡眠障害、自律神経不全などの非運動症状を生じる神経変性疾患です。日本神経学会によると、日本のパーキンソン病患者様数は約20万人と推計されています1。アジアにおける患者様数は約300万人と推定されています5。高齢化に伴い、患者様数は年々増加する傾向にあります2。パーキンソン病治療剤としては、脳内で不足したドパミンを補うレボドパ含有製剤が広く利用されます。しかし病気の進行に伴い、レボドパ含有製剤の効果持続時間が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れることがあります(wearing off現象)。wearing off現象の改善には、レボドパ含有製剤と異なる作用機序の薬剤が併用されます。

 

  1. 4. ME2125-3試験(臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験)について

 ME2125-3試験は、wearing off現象を有する日本人パーキンソン病患者様を対象にレボドパ含有製剤併用下での、「エクフィナ」50 mgまたは100 mgを1日1回24週間経口投与したときの有効性および安全性をプラセボと比較した、多施設共同、無作為化、二重盲検並行群間比較試験です。主要評価項目は、24週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量とし、「エクフィナ」各投与量群のプラセボ群に対する優越性を検証しました。投与24週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量について、プラセボ投与群に対して「エクフィナ」50 mg投与群は1.39 時間(95%CI: 0.67, 2.11、p=0.0002)、100 mg投与群は1.66 時間(95%CI: 0.93, 2.39、p<0.0001)増加し、両投与群ともに統計学的に有意なオン時間の延長を示しました。本試験の副作用発現率は、プラセボ投与群:24.8%、「エクフィナ」50mg投与群:31.6%、「エクフィナ」100mg投与群:30.3%であり、「エクフィナ」投与群で確認された主な副作用(発現率3%以上)は、50 mg投与群および100 mg投与群ともにジスキネジアおよび幻視でした。

 

  1. 5. ME2125-4試験(臨床第Ⅲ相試験)について

 ME2125-4試験は、wearing off現象を有する日本人パーキンソン病患者様を対象にレボドパ含有製剤を併用下で、「エクフィナ」50 mgまたは100 mgを1日1回長期(52週間)経口投与したときの安全性および有効性を評価した、多施設共同の非盲検試験です。本試験では「エクフィナ」の長期投与における安全性を評価するとともに、有効性に関する主要評価項目として、投与52 週後における1 日平均オン時間のベースラインからの変化量を評価しました。投与52週後における1日平均オン時間のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は1.42±2.72時間であり、「エクフィナ」の長期投与において有効性が継続することが示されました。「エクフィナ」投与群の副作用発現率は38.9%であり、確認された主な副作用(発現率3%以上)は、ジスキネジア、転倒および便秘でした。

 

  • 1

    日本神経学会 パーキンソン病診療ガイドライン2018

  • 2

    難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/

  • 3

    Borgohain R et al. Randomized Trial of Safinamide Add-On to Levodopa in Parkinson's Disease With Motor Fluctuations. Mov Disord. 2014 Feb;29(2):229-37

  • 4

    Schapira AH et al. Assessment of Safety and Efficacy of Safinamide as a Levodopa Adjunct in Patients With Parkinson Disease and Motor Fluctuations: A Randomized Clinical Trial. JAMA Neurol. 2017 Feb 1;74(2):216-224

  • 5

    E Ray Dorsey et al. Global, regional, and national burden of Parkinson’s disease, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016 Lancet Neurol. 2018;17:939–53