インドにおけるエリブリンのセカンドブランド販売に関するライセンス契約をMylan Indiaと締結「Halaven®」と「TECERIS®」の2ブランドによるインド全域での患者様貢献の拡大をめざす

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、当社のインド子会社であるEisai Pharmaceuticals India Pvt. Ltd. (所在地:アンドラ・プラデシュ州、以下 エーザイ・インド) が、Mylan N.V.(本社:米国ペンシルベニア州)のインド子会社であるMylan Indiaと、インドにおける抗がん剤エリブリンメシル酸塩(一般名、以下 エリブリン)のセカンドブランドである「TECERIS®」の販売に関するライセンス契約を締結したことをお知らせします。

 

 本契約に基づき、エーザイ・インドがMylan Indiaに対してエリブリンを供給し、Mylan Indiaが「TECERIS」として販売します。Mylan Indiaは、インドにおいてがん領域に幅広い製品ポートフォリオとブランド構築力を持っています。当社グループは、今回の契約を、所得水準に応じて患者様の負担価格を設定するティアードプライシング*に次ぐ、エリブリンのアクセス拡大のための重要戦略と位置づけています。エーザイ・インドが販売する「Halaven®」に加えて、Mylan Indiaが「TECERIS」を販売し、2ブランド2チャネルでエリブリンを提供することにより、インド全域でエリブリンのさらなる患者様貢献につながることが期待されます。

 

 エリブリンは、自社創製の新規抗がん剤であり、インドにおいては、2013年10月よりエーザイ・インドから「Halaven」として発売し、ティアードプライシングを導入して、患者様貢献を順調に拡大しています。インドにおけるエリブリンの乳がんに係る適応症は、「1レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん(術後または再発後にアントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤による治療歴を有すること)」です。

 

 近年、インドでは乳がんと診断される女性が増加しており、2018年には約163,000人の女性が新たに乳がんと診断され、約87,000人の患者様が亡くなったと推定されています1。また、新たに診断された女性のがんのうち、乳がんが最も多いと報告されています1

 

 当社グループは、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社グループは、新興国・開発途上国において、当社グループの革新的医薬品へのアクセス向上をめざした施策を積極的に展開し、これらの国々の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

以 上

 

 

* ティアードプライシングとは、患者様の所得水準に応じて全額負担から無償まで複数の負担価格を設定した所得別段階的価格設定です。インドにおいては、これまでにHalavenの治療を受けられた患者様のうち、約30%の患者様がティアードプライシングによる支援プログラムを利用されており、当プログラムを通して約45%のアクセス改善を果たしていることが推定されています。

 

 

<参考資料>

1. エリブリンメシル酸塩(製品名:「Halaven」、以下 エリブリン)について

 エリブリンは、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤です。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有しています。加えて、非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること2、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させる3など、がん微小環境におけるユニークな作用を有することが知られています。

 

 本剤は、2010年11月に米国で乳がんに係る適応で最初の承認を取得し、これまでに日本、欧州、米州、アジアなど70カ国以上で乳がんに係る適応で承認を取得しています。また、悪性軟部腫瘍に係る適応については、2016年1月に米国で最初に適応を取得したのをはじめ、日本、欧州、アジアなど60か国以上で承認を取得しています。本剤は米国および日本において、悪性軟部腫瘍に対する希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

 

 インドにおけるエリブリンの適応症は、「1レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん(術後または再発後にアントラサイクリン系及びタキサン系抗がん剤による治療歴を有すること)」および「進行または転移性で、アントラサイクリン系抗がん剤治療(不適な場合を除く)を含む化学療法の前治療歴のある手術不能な成人の脂肪肉腫」です。

 

2. Mylan社について

 Mylan社は、ヘルスケア分野で新しいスタンダードを確立することに取り組んでいるグローバル製薬企業です。70億の人々に高品質な医薬品をお届けするために世界中で活動し、満たされないアンメットニーズに革新を起こし、常に高い信頼性と卓越したサービスを目指し、容易なことではなく、正しいことを行い、熱意あふれるグローバル・リーダーシップを発揮して未来を切り開いていきます。HIV/AIDSの治療を受けている40%以上の人々が必要としている抗レトロウイルス療法を含めて、7,500製品を超えるポートフォリオを提供しています。165以上の国と地域で私達の製品を販売しています。Mylan社は、原薬を取り扱う世界有数の製薬企業の一つです。約35,000人の従業員ひとりひとりが、より良い世界に向けたより良い健康を創り出すことに専念しています。詳細はMylan.comをご参照ください。

 

 

  • 1

    International Agency for Research on Cancer (http://globocan.iarc.fr/

  • 2

    Funahashi Y et al., Eribulin mesylate reduces tumor microenvironment abnormality by vascular remodeling in preclinical human breast cancer models. Cancer Sci., 2014; 105, 1334-1342

  • 3

    Yoshida T et al., Eribulin mesilate suppresses experimental metastasis of breast cancer cells by reversing phenotype from epithelial-mesenchymal transition (EMT) to mesenchymal-epithelial transition (MET) states. Br J Cancer, 2014; 110, 1497-1505