世界睡眠学会にてレンボレキサントに関する最新データを発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2019年9月20日から25日までカナダ バンクーバーで開催される世界睡眠学会(World Sleep 2019)において、睡眠と覚醒を調整する睡眠障害の治療剤として、不眠障害およびアルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象に開発中のレンボレキサントに関して、最新データを発表することをお知らせします。

 

 本学会では、レンボレキサントについて、不眠障害を対象として長期投与における有効性および安全性評価を目的とした臨床第Ⅲ相試験(SUNRISE-2試験)における投与12カ月時点の解析結果に関する初めての発表に加え、有効性および安全性を評価した臨床第Ⅲ相試験(SUNRISE-1試験)における高齢不眠障害患者様の睡眠構築に対する影響についての口頭発表が予定されています。また、非臨床研究に関しては、ISWRDモデルマウスによるレンボレキサントの有効性評価に関する口頭発表が予定されています。ポスター発表では、SUNRISE-2試験の部分解析結果として6カ月のプラセボ対照投与期間における患者様主観評価を用いたレンボレキサントの疲労に対する有効性など、6演題が予定されています。

 

 レンボレキサントは、覚醒を制御しているオレキシン神経伝達に作用し、睡眠覚醒リズムを整えることで、入眠と睡眠維持および覚醒を調整すると考えられています。

 レンボレキサントについては、不眠障害をはじめとする睡眠障害を対象に開発を行っており、不眠障害に係る適応で米国(2018年12月)、日本(2019年3月)、カナダ(同年8月)において、それぞれ新薬承認申請を行っています。また、軽度、中等度アルツハイマー型認知症に伴うISWRDを対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中です。進行中の臨床試験については、clinicaltrials.govをご覧ください。

 

 当社は、レンボレキサントの開発を通じ、不眠障害をはじめとする睡眠障害の患者様に対して、速やかな入眠と良質な睡眠による日中の活力ある生活をお届けし、患者様のリワーク/リカバリーに貢献することをめざすとともに、新たなアンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

 

 

■口頭発表

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セッション/予定日時(現地時間)発表演題

O01:不眠障害治療とメカニズム

発表:9月23日(月) 9:45-10:00

不眠障害のある成人患者様を対象としたレンボレキサントの長期投与における有効性と安全性:SUNRISE-2試験の12カ月時点の解析結果

O01:不眠障害治療とメカニズム

発表:9月23日(月) 10:15-10:30
プラセボおよびゾルピデム徐放製剤を比較対照としたレンボレキサントの高齢不眠障害患者様の睡眠構築に及ぼす影響

O30: 薬理学的研究

発表:9月25日(水) 16:30-16:45

不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)の前臨床モデルとしてのSAMP8マウス(老化促進モデルマウス)を用いたデュアルオレキシン(ヒポクレチン)受容体拮抗薬レンボレキサントの有効性評価

  

■ポスター発表

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セッション/ポスター番号予定日時(現地時間)発表演題

ポスターセッション1 / #118

発表:9月22日(日)16:30-18:00

不眠障害版患者全般印象度(Patient Global Impression)スケールにより評価したレンボレキサントの効果

ポスターセッション1 / #131

発表:9月22日(日)16:30-18:00

不眠障害の疾患重症度に対するレンボレキサントの影響:2つの臨床第Ⅲ相試験の統合解析結果

ポスターセッション3 / #127

発表:9月24日(火)17:30-19:00
不眠障害に関する臨床試験に参加した不眠障害患者様は日中の眠気を認めるか?

ポスターセッション3 / #139

発表:9月24日(火)17:30-19:00
患者様とそのご家族に対する不眠障害の影響:翌日の行動に対する不眠障害の負担の認識

ポスターセッション3 / #153

発表:9月24日(火)17:30-19:00

不眠障害患者様の疲労に対するレンボレキサントの長期投与における有効性:臨床第Ⅲ相のSUNRISE-2試験における6カ月のプラセボ対照投与期間の患者様主観評価

ポスターセッション3 / #160

発表:9月24日(火)17:30-19:00

患者様主観評価による入眠と睡眠維持:レンボレキサントの臨床第Ⅲ相試験を統合したレスポンダー解析

  

以上

 

 

<参考資料>

1. レンボレキサントについて

 レンボレキサントは、エーザイ創製の新規低分子化合物で、脳内で覚醒に関与するオレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。レンボレキサントは、オレキシン1および2受容体双方を阻害しますが、ノンレム睡眠の抑制にも関与するオレキシン2受容体への親和性がより強く、結合が早いことから、速やかな入眠および十分な睡眠維持効果が期待されます。レンボレキサントは、臨床試験の結果から、原発性のみならず、うつ病などに併発する不眠障害への有効性が示唆されています(SUNRISE-1試験およびSUNRISE-2試験)。また、レンボレキサントは、臨床試験の結果から、健康成人および健康高齢者のいずれにおいても、レンボレキサント群でプラセボ群と同様の翌朝の自動車運転能力が確認されています(106試験)。本剤は、不眠障害に係る適応で、米国(2018年12月)、日本(2019年3月)、カナダ(同年8月)において、それぞれ新薬承認申請を行っています。また、軽度、中等度アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中です。

 

2. 睡眠障害と不眠障害について

 睡眠障害は、不眠障害、ISWRDのほか、過眠障害、呼吸関連睡眠障害などの疾患分類からなります。不眠障害は、その中でもっとも一般的な疾患であり、全世界で成人の約30%の方が不眠障害の症状を有しているとされています1、2。不眠障害は、睡眠をとる十分な機会があるにもかかわらず、入眠困難、睡眠維持困難またはその両方に苦しむことが特徴であり、疲労、集中困難、易刺激性を引き起こす可能性があります3、4

 良質な睡眠は、脳を含めた健康にとても重要であり、最適な睡眠時間は7-8時間と言われています5。睡眠不足は、高血圧、事故によるけが、糖尿病、肥満、うつ病、心臓発作、脳卒中、認知症のリスクを増やすことに加え、気分や行動に対する悪影響など、幅広い健康への影響との関連性が示唆されています3、6

 不眠障害について、女性は男性に比べて約1.4倍罹患率が高いとの報告もあります7。高齢者も、不眠障害の罹患率が高いことが知られています。老化による、睡眠の乱れ、頻繁な起床、早朝の起床などによる睡眠パターンの変化により、不眠障害に至ることがあります8

 

 

  • 1

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  • 3

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  • 4

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  • 6

    Pase MP, Himali JJ, Grima NA, et al. Sleep architecture and the risk of incident dementia in the community. Neurology. 2017;89(12):1244-1250.

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  •