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- 2019年7月10日
エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、米国マサチューセッツ州ケンブリッジの新たな探索研究所(G2D2:Eisai Center for Genetics Guided Dementia Discovery、所長:Nadeem Sarwar Ph.D.)の開所式を行い、同施設において本格的に研究活動を開始したことをお知らせします。

G2D2では、これまでエーザイが培ってきたHuman Genetics(ヒト遺伝学)、Data Science(データサイエンス)およびPrecision Chemistry(精密化学合成)の強みを融合させた新たな創薬アプローチにより、認知症開発パイプラインの拡充に向けて、Aβ(アミロイドβ)やタウの次の創薬ターゲットを見据えたImmunodementia(認知症神経免疫療法)にフォーカスします。具体的には、ヒト遺伝学とヒューマン・バイオロジーを駆使し、脳内免疫システムを標的とした認知症に関する革新的医薬品を創出することをめざします。
G2D2は、アカデミアや民間の研究機関が集中している世界有数のバイオテクノロジークラスターであるマサチューセッツ州ケンブリッジに所在しており、ワールドクラスのサイエンスを有する研究機関との積極的なオープンイノベーションを進めます。また、神経領域において既存の治療体系自体に変革を及ぼす潜在性を有するスタートアップ企業に対して、研究スペース(Eisai Incubator for NeuroDiscovery: e-IND)を提供するなどの支援を行う予定です。加えて、G2D2では、ボストン/ケンブリッジ エリアにおいて、サイエンティストの次世代リーダー育成に貢献するため、遺伝学および創薬科学関連の博士研究員フェローシップを含む、インターンシップや研修プログラムなどを立ち上げていく予定です。
当社は、G2D2の本格稼働を機に、多元的かつ包括的なアプローチによる認知症治療薬の創薬を加速させ、アンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。
以上
<参考資料>
1.Immunodementia(認知症神経免疫療法)について
Human Genetics(ヒト遺伝学)に基づいた創薬標的は、より高い成功確度での創薬につながるとされており、 アルツハイマー病の大規模ヒトゲノム解析などの研究から、特定の細胞型であるミクログリアの神経免疫調整因子が認知症発症を引き起こす可能性があると注目されています。G2D2では、ヒト遺伝学、Data Science(データサイエンス)およびPrecision Chemistry(精密化学合成)の最先端の強みを統合し、アミロイドやタウを標的とした創薬のさらに次を見据えた開発パイプラインの拡充に向けて、ヒト遺伝学とビッグデータから見出された客観的な仮説に基づく免疫機構の調節を標的として、Immunodementia(認知症神経免疫療法)による創薬研究に取り組みます。Immunodementiaは、進行中の中期経営計画「EWAY2025」において、神経領域の「立地」(真の患者様ニーズが満たされておらず、かつ当社がフロントランナーとなりうる機会)のひとつとして位置づけられています。
2.エーザイの認知症研究に関する取り組みについて
当社はアルツハイマー型認知症の標準治療薬のひとつであるアリセプト®を生み出すなど、35年以上にわたる認知症領域の創薬活動を通じて培った経験と充実した開発パイプラインを有しています。現在、筑波研究所をハブとし以下のベンチャータイプの探索研究拠点が有機的に連携し、多元的かつ包括的なアプローチによる認知症治療薬の探索研究に取り組んでいます。
- 筑波研究所: 脳神経系低分子創薬に豊富な経験を有し、創薬研究のハブ機能を担う
- G2D2(米国): ヒト遺伝学、データサイエンス、精密化学合成に強みを持ちImuunodementia研究を担う
- カン研究所(神戸市): 細胞生物学を基盤とするグリア細胞研究を担う
- ハットフィールド研究所(英国): 英国アカデミアとの連携によるオープンイノベーション型創薬を担う
- エーザイ・慶應義塾大学認知症イノベーションラボ: 脳防御機構のリバーストランスレーショナル研究に取り組む
3.G2D2の外観および内部写真

