第14回 国際アルツハイマー・パーキンソン病学会においてエーザイのアルツハイマー病/認知症領域の開発品に関する最新データを発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2019年3月26日から31日までポルトガル・リスボンで開催される「第14回 国際アルツハイマー・パーキンソン病学会(International Conference on Alzheimer’s & Parkinson’s Diseases:AD/PD)」において、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体BAN2401および経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestatを含む当社のアルツハイマー病/認知症パイプラインに関する最新データについて、合計7演題を発表しますのでお知らせします。当社は、BAN2401、elenbecestatについて、バイオジェン・インク (本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下 バイオジェン)と共同で開発しています。

 

 本学会では、BAN2401およびelenbecestatに関して5演題を発表します。BAN2401については、アミロイドの脳内蓄積が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害および軽度アルツハイマー病(総称して早期AD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験(201試験)の非盲検継続投与(OLE)に関する試験デザインを含む発表を予定しています。

 また、当社が創製し、開発中のホスホジエステラーゼ(PDE)9阻害剤E2027について、レビー小体型認知症を対象とした臨床第Ⅱ相試験における投与量選択に関わる心電図検査データの発表も予定しています。

 

 当社は、アルツハイマー病/認知症領域分野における30年以上の創薬活動の経験を基盤に、包括的なアプローチによる創薬研究を通じて、認知症の予防と治癒の実現をめざしています。革新的な治療薬を一日も早く創出し、アンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

  

■ポスター発表演題

※左右にスクロールできます

開発品・演題番号発表演題・予定日時(現地時間)
BAN2401
ポスター番号:177
Abstract ID: ADPD9-2335
早期アルツハイマー病患者様を対象としたBAN2401の有効性および安全性に関する母集団薬物動態および曝露反応解析
ポスター発表:3月27日(水)8:00 - 18:00
BAN2401
ポスター番号:178
Abstract ID: ADPD9-2329
早期アルツハイマー病に対するBAN2401の長期安全性および忍容性: BAN2401-G000-201の非盲検継続投与(OLE)試験デザイン
ポスター発表:3月27日(水)8:00 - 18:00
Elenbecestat
ポスター番号:234
Abstract ID: ADPD-2340
ElenbecestatのMission AD臨床第Ⅲ相試験プログラムにおける認知機能障害を客観的に評価するインターナショナルショッピングリストテストおよびアミロイドPET陽性率の評価
ポスター発表:3月27日(水)8:00 - 18:00
Elenbecestat
ポスター番号:238
Abstract ID: ADPD-2318
ElenbecestatのMissionADグローバル臨床第Ⅲ相試験プログラムにおける認知機能評価ツールであるCBB(Cogstate Brief Battery)を用いた記憶障害の予測
ポスター発表:3月27日(水)8:00 - 18:00
Elenbecestat
ポスター番号:425
Abstract ID: ADPD-2237
Elenbecestat MissionADプログラムにおけるアミロイド陽性の軽度認知障害または軽度アルツハイマー型認知症患者様を対象とした[18F]PI-2620 PETを用いたタウ凝集体の評価
ポスター発表:3月27日(水)8:00 - 18:00
E2027
ポスター番号:670
Abstract ID: ADPD9-1615
レビー小体型認知症を対象とした臨床第Ⅱ相試験の用量選択検討における心電図データの濃度反応モデリング
ポスター発表:3月27日(水)8:00 - 18:00
アルツハイマー病全般
ポスター番号:333
Abstract ID: ADPD-0345
アルツハイマー病および進行性核上性麻痺患者様の脳内に蓄積するタウのプロテオフォーム解明
ポスター発表:3月29日(金)8:00 - 18:00

 以上

<参考資料>

1. BAN2401について

 BAN2401は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アルツハイマー病に対するヒト化モノクローナル抗体です。アルツハイマー病を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有する可溶性のAβ凝集体に選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去するモノクローナル抗体です。本抗体による治療アプローチは、疾患病理への作用と症状の進行抑制が期待されています。エーザイは、本抗体について、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を獲得しています。また、2014年3月に、エーザイとバイオジェンは、本剤に関する共同開発・共同販促契約を締結し、2017年10月に内容の一部変更契約を締結しています。現在、臨床第Ⅱ相試験(201試験)に登録されていた患者様を対象とした非盲検継続試験を実施中です。

 

2. Elenbecestat(一般名、開発コード:E2609)について

 Elenbecestatは、次世代経口アルツハイマー病(AD)治療剤として開発しているエーザイ創製のBACE阻害剤です。BACEはアミロイド前駆体タンパク質のβサイトを切断するAβ産生の律速酵素です。ElenbecestatはBACEを阻害することで、Aβの総量を低下させ、ADの進行を抑制する疾患修飾作用が期待されています。現在、ADに伴う軽度認知障害から軽度のAD(総称して早期AD)を対象とした2つのグローバル臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1/2)が進行中です。本剤の米国での開発については、重篤な疾患に対する新たな治療法や重要なアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤について、米国食品医薬品局(FDA)が迅速に審査するファストトラック指定を受けています。

 

3. E2027について

 E2027は、自社創製の選択的なホスホジエステラーゼ(PDE)9阻害剤です。PDE9阻害作用により、細胞内のシグナル伝達に重要なサイクリックGMP(環状グアノシン一リン酸:cGMP)の分解を抑制し、cGMPの脳内濃度を維持することにより、レビー小体型認知症に対する新たな治療薬として開発しています。

 

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