中国において「レンビマ®」(レンバチニブ)を新発売中国で約10年ぶりとなる切除不能な肝細胞がんに対する新薬の提供を開始

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)は、このたび、マルチキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(中国語表記:乐卫玛®、一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、当社の中国子会社である衛材(中国)薬業有限公司(Eisai China Inc.、以下ECI)が、中国において新発売したことをお知らせします。

 

 中国において「レンビマ」は、2018年9月に、全身化学治療歴のない切除不能な肝細胞がんに対する治療薬として、中国で初の承認を取得しました。今回の新発売により、肝細胞がんの発生率が最も高い中国において1、切除不能な肝細胞がんの全身化学療法の一次治療として使用可能な薬剤として、約10年ぶりの新たな治療薬となる「レンビマ」をお届けすることが可能となりました。

 

 2018年3月に、当社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD)は、「レンビマ」のグローバルな共同開発および共同販促を行う戦略的提携に合意しており、現在、両社による協業が、全世界において進められています。中国においては、ECIとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の中国法人であるMSD Chinaが共同で「レンビマ」の情報提供を行います。

 

 肝がんは、がん関連死亡原因の第2位であり、世界で年間約75万人が亡くなっています。また、毎年約78万人が肝がんと診断され、そのうち約80%がアジア地域に集中しています。特に中国においては、年間新規患者数約39万5千人、年間死亡者数約38万人と、全世界の約50%を占めています1。また、肝細胞がんは肝がん全体の85~90%を占めており、切除不能な肝細胞がんは、治療方法が限られており、予後が極めて悪く、アンメット・メディカル・ニーズが非常に高い疾患です。

 

 現在、「レンビマ」は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る適応で米国、欧州など45カ国以上で承認を取得しています。肝細胞がんに係る適応については、中国のほか、日本、米国、欧州、アジアなど全世界において承認を取得しています。

 

 中国の医薬品市場の規模は、米国に次ぐ世界2位の市場規模を有し、2017年の市場規模は1,222億ドル、現地通貨ベースの成長率は+4%であり、持続的な成長を遂げています2。当社は、中国事業を日本・米国に次ぐ規模を有する中核事業に位置付けており、今回の中国における「レンビマ」新発売を契機に、患者様とそのご家族のベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

   

   

<参考資料>

 

1. 「レンビマ®」(一般名: レンバチニブメシル酸塩)について

 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化、および腫瘍免疫調整に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創製の新規結合型マルチキナーゼ阻害剤です。

 現在、本剤は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、アジアなど50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など45カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。

 また、肝細胞がんに係る適応について、日本、米国、欧州、中国などで承認を取得しており、さらに、台湾(2017年12月)、ブラジル(2018年3月)、ロシア(2018年8月)などにおいて承認申請中です。日本においては、本適応での承認取得以来、5,000人を超える患者様に「レンビマ」が処方されました。

 切除不能な肝細胞がんの患者様に対して「レンビマ」は、成人には体重にあわせて、体重60 kg 以上の場合は12 mg、体重60 kg 未満の場合は8 mg が投与されます。なお、用量用法および用量の増減については添付文書に記載されています。

 

2. エーザイ株式会社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による戦略的提携について

 2018年3月に、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. (北米以外ではMSD)はレンビマのグローバルな共同開発および共同販促を行う戦略的提携に合意しました。本合意に基づき、レンビマについて、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における共同開発、共同販促を行います。併用療法については、既に実施している臨床試験に加え、6種のがん(膀胱がん、子宮内膜がん、頭頸部がん、肝細胞がん、メラノーマ、非小細胞肺がん)における11の適応取得を目的とした臨床試験、さらに6種のがんに対するバスケット型臨床試験を共同して同時並行で実施します。また、現時点で承認された「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法の適応はありません。

  

3. 肝細胞がんについて

 肝がんはがん関連死亡原因の第2位であり、世界で年間約75万人が亡くなり、毎年約78万人が肝がんと診断されています。地域差も大きく、中国、日本を含むアジアに新規患者様の約80%が集中しています1。肝細胞がんは、肝がんにおいて最も発生頻度が高く、肝がん全体の85~90%を占めています。肝細胞がんは慢性肝疾患、特に肝硬変と関連しており、発生原因として、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスが挙げられますが、最近の調査では非B型非C型肝細胞がんの増加が報告されています。肝細胞がんの第一治療選択は外科手術ですが、肝臓移植、外科的切除、腫瘍アブレーション(ラジオ波焼灼法または凍結療法など)を含む根治的な治療介入、または肝動脈化学塞栓療法(TACE)に適さない切除不能な肝細胞がんの場合は、治療薬が限られており、予後が極めて悪いことが知られています。

  

4. 当社の中国事業展開について

 当社の中国ビジネスは、25年以上にわたる歴史を有しています。1991年に合弁会社において事業を開始し、1996年には製造、販売機能を持つ100%子会社の「衛材(蘇州)製薬有限公司(Eisai China Inc.)」(現「衛材(中国)薬業有限公司(Eisai China Inc.)」)を設立し、2010年には導入品の直接輸入などのため「衛材(蘇州)貿易有限公司(Eisai(Suzhou)Trading Co., Ltd.)」を設立しました。また、2015年12月には、「衛材(遼寧)製薬有限公司(Eisai(Liaoning)Pharmaceutical Co., Ltd.)」を買収し、高品質なジェネリック医薬品を安定的に供給し、中国における医療ニーズを充足することを目的に、ジェネリック医薬品事業に参入しました。これら3社を、「衛材(中国)投資有限公司(Eisai China Holdings Ltd.、2014年12月設立)」が統括しています。  

 2018年1月には、蘇州工業園区内の新蘇州工場において固体剤製造棟と管理棟を竣工し、現在、エーザイグループとして最大の生産能力を有する工場として新蘇州工場の整備を進めています。

 中国事業では、主力品として、末梢性神経障害治療剤「メチコバール®」、肝臓疾患用剤・アレルギー用剤「強力ネオミノファーゲンシー®/グリチロン®錠」、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト®」、プロトンポンプ阻害剤「パリエット®」、胃炎・胃潰瘍治療剤「セルベックス®」、パーキンソン病治療剤「Comtan®」「Stalevo®」「Eldepryl®」などを販売しています。また、分岐鎖アミノ酸製剤「リーバクト®顆粒」を現在開発中です。

 

 

1 GLOBOCAN2012: Estimated Cancer Incidence, Mortality and Prevalence Worldwide in 2012. http://globocan.iarc.fr/

2 Copyright©2018 IQVIA., IQVIA World Review 2018™を元に作成、無断転載禁止

    

キイトルーダ®は Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.の子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpの登録商標です。