「レンビマ®」(レンバチニブ)と「キイトルーダ®」(ペムブロリズマブ)との併用療法について3がん腫に対する最新の研究成果を第33回がん免疫学会年次総会にて発表バスケット型111試験/KEYNOTE-146試験の転移性非小細胞肺がん、転移性メラノーマおよび転移性尿路上皮がんに関するデータが本併用療法を支持

エーザイ株式会社

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.

 

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.(北米以外ではMSD)は、このたび、エーザイ創製の経口マルチキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)とMerck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法による特定の固形がん(転移性非小細胞肺がん、転移性メラノーマ、転移性尿路上皮がん、転移性子宮内膜がん、転移性頭頸部がん、転移性腎細胞がん)を対象としたバスケット型の臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験(111試験/KEYNOTE-146試験)について、3がん腫(転移性非小細胞肺がん(抄録番号11147)、転移性メラノーマ(同11187)、転移性尿路上皮がん (同11201))に対する臨床試験の最新データおよび解析結果を発表することをお知らせします。本最新データは、11月9~11日に米国ワシントンD.C.で開催される「第33回がん免疫学会(Society of immunotherapy of Cancer:SITC)年次総会」において発表されます。

 本試験の中間解析結果として、「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法では、これら3がん腫全てに対して有望な抗腫瘍活性および良好な忍容性が示唆されました。本発表データにより、本併用療法のさらなる評価が支持される結果となりました。

 「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法について、現時点で承認された適応はありません。

 

 エーザイの執行役 オンコロジービジネスグループ チーフメディスンクリエーションオフィサーである大和隆志博士は、「今回新たに非小細胞肺がん、メラノーマおよび尿路上皮がんに対する臨床試験データを中間解析し、「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法の持つポテンシャルを引き続き検証できたことに自信を深めています。Merck & Co., Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A.との提携を通じて新たな治療 選択肢を必要とする患者様に本併用療法を一日も早く提供できるよう全力を尽くしてまいります」と述べています。

 

 Merck & Co, Inc. Kenilworth, N.J., U.S.A. のオンコロジークリニカルリサーチ バイスプレジデントであるJonathan Cheng博士は、「今回発表する有望な臨床初期のデータは、複数の異なるがんに対する「レンビマ」と「キイトルーダ」との併用療法の臨床試験を支持するものであると考えています。私たちはエーザイとの提携の下、がん患者様により良い治療法の提供をめざす本併用療法の広範な臨床試験を継続することを嬉しく思います」と述べています。

  

111試験/KEYNOTE-146試験の概要および最新データ:

111試験/KEYNOTE-146試験(ClinicalTrials.gov, NCT02501096)は、特定の固形がん(転移性非小細胞肺がん、転移性メラノーマ、転移性尿路上皮がん、転移性子宮内膜がん、転移性頭頸部がん、転移性腎細胞がん)の患者様を対象とした、本併用療法の安全性と有効性を評価する、多施設共同、非盲検、単群、バスケット型の臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験です。「レンビマ」は1日1回20mgを経口投与し、「キイトルーダ」は3週ごと200mgを静脈内投与しました。PD-L1の発現状態によらず患者様登録が行われました。第Ⅰb相パートでは、併用療法の最大耐性量の決定を主要評価項目とし、第Ⅱ相パートでは、腫瘍免疫療法の効果判定基準であるimmune-related RECIST(irRECIST)を用いた主治医判定により、投与後24週時点の奏効率(Objective Response Rate at 24 weeks:ORRweek24)を主要評価項目として評価しました。副次評価項目として、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(Progression Free Survival: PFS)、完全奏効(Complete Response: CR)または部分奏効(Partial Response: PR)の基準を満たした患者様の奏効期間(Duration of Response: DOR)を評価しました。本学会では、111試験/KEYNOTE-146試験のうち、転移性非小細胞肺がん、転移性メラノーマ、転移性尿路上皮がんの3がん腫について発表されます。

 

転移性非小細胞肺がんを対象としたレンバチニブとペムブロリズマブ併用療法における臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験 抄録番号:11147/ポスター番号:P392

本コホートでは、臨床第Ⅱ相試験パートにおいて前治療歴が無いあるいは2レジメン以下の化学療法歴を有する患者様21人が登録されました(データカットオフ 2018年3月1日)。

データカットオフ時の画像判定について、irRECISTを用いて評価しました。主要評価項目であるORRweek24は33.3%(95%CI=14.6-57.0)でした。副次評価項目について、PFS(中央値)は5.9カ月(95%CI=2.3-13.8)、12カ月時点のPFSの割合は29.0%(95%CI=10.2-51.0)でした。DOR(中央値)は10.9カ月(95%CI=2.4-推定不能)でした。

薬剤投与群におけるグレード3または4の有害事象はそれぞれ10人(48%)、1人(5%)の患者様に観察されました。薬剤投与群において全グレードを通じて高頻度(30%以上)に観察された有害事象は、食欲減退(67%)、疲労(62%)、甲状腺機能低下(43%)、下痢(43%)、タンパク尿(43%)、関節痛(33%)、高血圧(33%)でした。治験医師の評価による治療との関連が否定できない死亡例が1例認められました。

本試験では、PD-L1の発現状態に関わらず有望な臨床効果および安全性が確認され、転移性非小細胞肺がんに対する本併用療法のさらなる評価が支持される結果となりました。

 

進行性メラノーマを対象としたレンバチニブとペムブロリズマブ併用療法における臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験抄録番号:11187/ポスター番号:P391

本コホートでは、前治療歴が無いあるいは2レジメン以下の化学療法歴を有する患者様21人が登録されました(データカットオフ 2018年3月1日)。

データカットオフ時の画像判定について、irRECISTを用いて評価しました。主要評価項目であるORRweek24は47.6%(95%CI=25.7-70.2)でした。副次評価項目について、PFS(中央値)は5.5カ月(95%CI=2.6-15.8)、12カ月時点のPFSの割合は34.7%(95%CI=14.5-56.0)でした。また、DOR(中央値)は12.5カ月(95%CI=2.7-推定不能)でした。薬剤投与群における全ての患者様で一つ以上の有害事象が認められ、グレード3または4の有害事象は14人(67%)の患者様に観察されました。薬剤投与群において全グレードを通じて高頻度(30%以上)に観察された有害事象は、疲労(52%)、食欲減退(48%)、下痢(48%)、高血圧(48%)、発声困難(43%)、嘔吐(43%)、関節痛(33%)、タンパク尿(33%)でした。治療との関連が否定できない死亡例は認められませんでした。

本試験では、有望な臨床効果および安全性が確認され、転移性メラノーマに対する本併用療法のさらなる評価が支持される結果となりました。

 

転移性尿路上皮がんを対象としたレンバチニブとペムブロリズマブ併用療法における臨床第Ⅰb/Ⅱ相試験 抄録番号:11201/ポスター番号:P393

本コホートでは、前治療歴が無いあるいは2レジメン以下の化学療法歴を有する患者様20人が登録されました。(データカットオフ 2018年3月1日)。

データカットオフ時の画像判定について、irRECISTを用いて評価しました。主要評価項目であるORRweek24は25%(95%CI=9-49)でした。副次評価項目について、PFS(中央値)は5.4カ月(95%CI=1.3-推定不能)でした。

薬剤投与群における18人(90%)の患者様で有害事象が認められ、グレード3または4の有害事象は10人(50%)の患者様に観察されました。薬剤投与群において全グレードを通じて高頻度(30%以上)に観察された有害事象は、タンパク尿(45%)、下痢(40%)、高血圧(35%)、疲労(30%)、甲状腺機能低下(30%)でした。治験医師の評価による治療との関連が否定できない死亡例が1例認められました。

本試験では、PD-L1の発現状態に関わらず有望な臨床効果および安全性が確認され、転移性尿路上皮がんに対する本併用療法のさらなる評価が支持される結果となりました。

 

 以上

本件に関するお問い合わせ先

  • エーザイ株式会社 PR部

    TEL:03-3817-5120

     

    Eisai Inc. Media Relations

    Michele Randazzo: +1 (201) 746-2979

     

    エーザイ株式会社 IR部

    TEL:03-3817-3016
  •  Merck Media Relations

    Pamela Eisele: +1 (267) 305-3558

    Kristen Drake: +1 (908) 334-4688

     

    Merck Investor Relations

    Teri Loxam: +1 (908) 740-1986

    Michael DeCarbo: +1 (908) 740-1807


<参考資料>

1. 「レンビマ」(一般名: レンバチニブメシル酸塩)について

 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、エーザイ創製の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。

 現在、本剤は、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州、アジアなど50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州など45カ国以上で、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での腎細胞がんに係る適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。

 また、切除不能な肝細胞がんに係る適応について、日本、米国、欧州、中国などで承認を取得し、台湾(2017年12月)などにおいて承認申請中です。

     

2. 「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)について 

 「キイトルーダ」は、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するそのリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害する抗体です。「キイトルーダ」はPD-1に結合し、この受容体とリガンドとの結合を阻害することによって、T細胞に生じたPD-1経路を介する抗腫瘍活性の抑制を解除します。

 

3. エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.による戦略的提携について     

 2018年3月に、エーザイとMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.はレンビマのグローバルな共同開発および共同販促をおこなう戦略的提携に合意しました。本合意に基づき、レンビマについて、単剤療法およびMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗PD-1抗体「キイトルーダ」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における共同開発、共同販促を行います。併用療法については、既に実施している臨床試験に加え、6種のがん(子宮内膜がん、非小細胞肺がん、肝細胞がん、頭頸部がん、膀胱がん、メラノーマ)における11の適応取得を目的とした臨床試験、6種のがんに対するバスケット型臨床試験を共同して同時並行で実施します。

  

4. 用語説明

無増悪生存期間(PFS): がんの治療が行われた時点から、あらゆるイベントによる死亡または腫瘍の増悪が客観的に確認されるまでの期間。

 

奏効率(ORR): 固形がんの抗腫瘍効果の画像評価において、完全奏効(腫瘍が完全に消失した状態)と部分奏効(腫瘍の大きさの和が30%以上縮小した状態)を合わせた割合。

 

奏効期間(DOR):最初に完全奏効または部分奏効が確認された日から、腫瘍の再発または大きさの増加が客観的に確認されるまでの期間。

 

キイトルーダ®は Merck & Co., Inc. Kenilworth, NJ, USAの子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpの登録商標です。