第11回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)においてアルツハイマー病/認知症領域の開発品に関する最新データを発表シンポジウムセッションにおいてBAN2401の臨床第Ⅱ相試験結果の追加データについて発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2018年10月24日から27日までスペイン・バルセロナで開催される第11回アルツハイマー病臨床試験会議(Clinical Trials on Alzheimer's Disease: CTAD)において、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体BAN2401、経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤elenbecestat、抗Aβ抗体アデュカヌマブおよびデュアルオレキシン受容体拮抗剤レンボレキサントを含む当社のアルツハイマー病/認知症パイプラインに関する最新データについて、シンポジウムを含む口頭発表5演題とポスター2演題の発表を行いますのでお知らせします。当社は、BAN2401、elenbecestatおよびアデュカヌマブについて、バイオジェン・インク (本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、以下 バイオジェン)と共同で開発しています。

 

 BAN2401については、2018年7月に発表した早期アルツハイマー病(軽度認知障害から軽度アルツハイマー病)を対象とした201試験結果について、臨床症状およびバイオマーカー結果のアップデートとして、1時間のシンポジウムにおける発表を予定しています。

 なお、本発表は、ウェブキャストによりライブ配信される予定です。ライブ配信は、エーザイコーポレートサイトの下記URLよりアクセスが可能です。

 https://www.eisai.co.jp/ir/index.html

 

 Elenbecestatについては、同じく2018年7月に発表した軽度認知障害および軽度から中等度のアルツハイマー病を対象とした202試験結果について、追加データを含む口頭発表を予定しています。Elenbecestatについて、当社とバイオジェンは、早期アルツハイマー病を対象とした2つの臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1/2)を実施中です。

 

 アデュカヌマブについては、2018年8月に発表した早期アルツハイマー病を対象とした臨床第Ⅰb相試験(PRIME試験)の長期継続投与試験における累積安全性データ解析結果などについて、Late Breaking Abstractとして複数の発表をする予定です。アデュカヌマブについて、バイオジェンと当社は、早期アルツハイマー病を対象とした2つの臨床第Ⅲ相試験(ENGAGE/EMERGE)を実施中です。

 

 また、睡眠と覚醒を調整する薬剤として開発中のレンボレキサントについては、アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験(202試験)について、初めてのデータ発表を予定しています。当社が創製したレンボレキサントは、2015年8月からPurdue Pharma L.P.(本社:米国コネチカット州、以下 Purdue Pharma)と共同開発を進めています。

 

 当社は、アルツハイマー病/認知症領域分野における30年以上の創薬活動の経験を基盤に、包括的なアプローチによる創薬研究を通じて、認知症の予防と治癒の実現をめざしています。革新的な治療薬を一日も早く創出し、アンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

  

■口頭発表

※左右にスクロールできます

開発品・演題番号発表演題・予定日時(現地時間)
BAN2401
Session No.: Symposium 3
早期アルツハイマー病を対象としたBAN2401の臨床第Ⅱ相試験(201試験):臨床症状およびバイオマーカー結果のアップデート
シンポジウム:10月25日(木)14:30-15:30
Elenbecestat
Session No.: OC5
ElenbecestatのアミロイドPETとADCOMSを臨床エンドポイントに用いた軽度認知障害(MCI)から軽度アルツハイマー病における安全性と有効性
口頭発表:10月25日(木)9:30-9:45
アデュカヌマブ
Session No.: Keynote 2
アデュカヌマブの試験から何を学んだか?
口頭発表:10月25日(木)13:30-14:00
アデュカヌマブ
Session No.: LB8
早期アルツハイマー病を対象とした臨床第Ⅰb相試験(PRIME)の
アデュカヌマブ漸増投与群の36カ月時点における解析結果
口頭発表:10月26日(金)15:15-15:30
レンボレキサント
Session No.: OC11
アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)におけるレンボレキサントの安全性と有効性
口頭発表:10月25日(木)15:30-15:45

■ポスター発表演題

※左右にスクロールできます

開発品・演題番号発表演題・予定日時(現地時間)
アデュカヌマブ
Poster No.: P80
PRIME(無作為化二重盲検プラセボ対照臨床第Ⅰb相)試験における
アデュカヌマブの累積安全性データ
ポスター発表:10月24日(水)~27日(土)
アデュカヌマブ
Poster No.: LBP19
アデュカヌマブの早期アルツハイマー病を対象とした臨床第Ⅰb相試験(PRIME)の48カ月時点の解析結果
ポスター発表:10月24日(水)~27日(土)

 以上

<参考資料>

1. BAN2401について

 BAN2401は、バイオアークティックとエーザイの共同研究から得られた、アルツハイマー病に対するヒト化モノクローナル抗体です。アルツハイマー病を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有する可溶性のAβ凝集体に選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去するモノクローナル抗体です。本抗体による治療アプローチは、疾患病理への作用と症状の進行抑制が期待されています。エーザイは、本抗体について、2007年12月にバイオアークティックとのライセンス契約により、全世界におけるアルツハイマー病を対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を獲得しています。

 

2. Elenbecestat(一般名、開発コード:E2609)について

 Elenbecestatは、次世代経口アルツハイマー病(AD)治療剤として開発しているエーザイ創製のBACE阻害剤です。BACEはアミロイド前駆体タンパク質のβサイトを切断するAβ産生の律速酵素です。ElenbecestatはBACEを阻害することで、Aβの総量を低下させ、ADの進行を抑制する疾患修飾作用が期待されています。現在、ADに伴う軽度認知障害から軽度のAD(総称して早期AD)を対象とした2つのグローバル臨床第Ⅲ相試験(MISSION AD1/2)が進行中です。本剤の米国での開発については、重篤な疾患に対する新たな治療法やアンメット・メディカル・ニーズを満たす可能性のある薬剤について、米国食品医薬品局(FDA)が迅速に審査するファストトラック指定を受けています。

 

3. アデュカヌマブ(BIIB037)について

 アデュカヌマブは、アルツハイマー病の治療薬として開発中の治験薬です。アデュカヌマブは、リバース・トランスレーショナル・メディシン(RTM)と呼ばれるNeurimmune社のテクノロジー・プラットフォームを用いて作成されたヒト遺伝子組換えモノクローナル抗体(mAb)であり、認知障害の兆候のない健康な高齢者、または進行が異常に遅い認知機能障害のある高齢者から採取した、非特定化B細胞ライブラリーに由来します。バイオジェンは、Neurimmune社より共同開発およびライセンス契約締結のもとにアデュカヌマブを導入しました。

 アデュカヌマブは、可溶性オリゴマーと不溶性線維などが凝集してアミロイドプラークを形成しうる形態のAβを標的とすると考えられています。これらのAβは、アルツハイマー病患者の脳内でアミロイドプラークを形成します。非臨床データおよびこれまでに得られた臨床第Ⅰb相試験データに基づき、アデュカヌマブ投与はアミロイドプラークのレベルを下げることが示されています。

 アデュカヌマブは、2016年8月に欧州医薬品庁(EMA)のPRIME(プライオリティー・メディシンズ)制度、2016年9月に米国食品医薬品局(FDA)のファストトラック指定、2017年4月にアデュカヌマブは厚生労働省の先駆け審査指定制度の対象となっています。

 

4. エーザイとバイオジェンによるアルツハイマー病領域の提携内容について

 エーザイとバイオジェンは、アルツハイマー病治療剤の共同開発・共同販売に関して、幅広い提携を行っています。BACE阻害剤elenbecestatと抗Aβプロトフィブリル抗体BAN2401についてはエーザイ主導のもとで、抗Aβ抗体アデュカヌマブについてはバイオジェン主導のもとで、グローバルでの承認取得に向けた開発を進め、承認取得後は米国、欧州(EU)、日本といった主要市場で共同販促を行います。

 

5. レンボレキサント(一般名、開発コード:E2006)について

 レンボレキサントは、自社創製の新規低分子化合物で、オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。不眠障害では、オレキシンが関与する睡眠・覚醒の制御機構が正常に働いていない可能性があります。正常な睡眠時はオレキシン作動性神経が抑制されることから、オレキシンによる神経伝達の阻害により睡眠導入や睡眠維持をはかることができる可能性があり、エーザイとPurdue Pharmaは、レンボレキサントを複数の睡眠障害を対象とした臨床試験での開発を進めています。

 また、軽度、中等度アルツハイマー型認知症に伴う不規則睡眠覚醒リズム障害(ISWRD)を対象とした臨床第Ⅱ相試験が進行中です。

         

 

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