肥満症治療剤lorcaserin Eurofarmaとラテンアメリカにおける提携契約を締結

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、肥満症治療剤lorcaserin hydrochloride(一般名、米国製品名:「BELVIQ®」、1日1回製剤米国製品名「BELVIQ XR®」、以下 lorcaserin)に関して、ブラジルを除くラテンアメリカおよびカリブ海域の17カ国*における独占的な開発および販売権を、ラテンアメリカに事業基盤を有するEurofarma Laboratórios S.A. (本社:ブラジル サンパウロ、President:Maurizio Billi、以下 Eurofarma)に付与する契約を締結しましたのでお知らせします。

 本契約に基づき、当社はEurofarmaに対してlorcaserinを供給します。また、契約一時金とともに、各国での開発・販売マイルストン支払いを受領する予定です。

 

 Lorcaserinは、選択的に脳内のセロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し、満腹感を促進すると考えられている肥満症治療剤です。米国において、Body Mass Index(BMI)が30 kg/m2以上、あるいは少なくとも1つ以上の体重に関連する合併症を有するBMIが27 kg/m2以上の成人患者様の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として、2012年に米国食品医薬品局(FDA)より承認され、2013年6月から発売されています。2016年7月にメキシコにおいて、同年12月にはブラジルにおいて、米国と同様、肥満症に係る適応の承認を取得しています。

 

 当社は、ラテンアメリカに強固な事業基盤を有するEurofarmaとの今回の提携によって、当該地域のより多くの患者様にlorcaserinを迅速にお届けすることをめざします。

 

* 17カ国: アルゼンチン、ベリーズ、ボリビア、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラ

 

以上

<参考資料>

 

1. Lorcaserin hydrochloride (一般名、米国製品名「BELVIQ」、1日1回製剤米国製品名「BELVIQ XR」)について

 LorcaserinはArena Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:Amit D. Munshi、以下 アリーナ社)創製の新規化合物であり、選択的に脳内のセロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し、満腹感を促進すると考えられています。本剤は、米国において、Body Mass Index(BMI)が30 kg/m2以上、あるいは少なくとも1つ以上の体重に関連する合併症を有するBMIが27 kg/m2以上の成人患者様の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として、2012年6月に米国食品医薬品局(FDA)より承認され、米国麻薬取締局によるスケジューリング指定を経て、2013年6月に「BELVIQ」の製品名で発売されました。また、韓国においては、2015年から代理店より販売されています。2016年7月にメキシコ、12月にはブラジルにおいて、米国と同様、肥満症に係る適応の承認を取得しています。

 さらに、2016年7月には、米国において、1日2回投与の「BELVIQ」錠剤に対して、患者様の服薬利便性の向上をめざして1日1回投与が可能となるよう設計された徐放性製剤「BELVIQ XR」の承認を取得しました。

 加えて、当社は、2017年1月にアリーナ社より、Lorcaserinの開発および販売に関するすべての権利を取得しました。

 なお、2018年8月に、Lorcaserinの安全性評価を主要目的とする市販後臨床試験として実施した心血管疾患アウトカム試験(CAMELLIA-TIMI61試験)において、主要心血管イベント(MACE: Major Adverse Cardiovascular Events、心血管死、心筋梗塞、脳卒中)の発生頻度がプラセボ投与群と比較して増加しないことが確認され、主要安全性評価目的を達成しました。MACEに「入院を要する不安定狭心症もしくは心不全、または冠血行再建術」を加えた主要有効性評価項目であるMACE+の発生頻度については、プラセボ投与群と比較して統計学的非劣性が確認されました。2018年10月には、本試験における2型糖尿病の予防と寛解に関するデータについて発表しました。

 本剤の複数の臨床第Ⅲ相試験における主な有害事象は、糖尿病を合併しない肥満症では、頭痛、めまい、疲労、嘔吐、口内乾燥、便秘であり、糖尿病を有する肥満症では、低血糖症、頭痛、背部痛、咳嗽、疲労でした。

 

2. ラテンアメリカの過体重または肥満に関する状況について(社内推計)

 世界の成人の14億人以上が過体重(BMI 25 kg/m2以上)、うち約5億人が肥満(BMI 30 kg/ m2以上)であるといわれ、近年、肥満症は世界において大きな健康問題の一つとなっています。地域別には、米国で約1.7億人、欧州で約1.5億人、アジアでは中国で約1億人、日本で2,500万人が過体重または肥満と推計されています。

 ラテンアメリカにおいても、肥満症患者数は約1.25億人にのぼり、肥満症は深刻な健康問題となっています。生活習慣の変化等により、肥満症の罹患率は、現状の約20%から2024年には約30%まで増加すると考えられています。

 

3. Eurofarma Laboratórios S.A.(Eurofarma)について

 Eurofarmaは、1972年に創設されたブラジルで最も大きな製薬企業の一つです。ラテンアメリカおよびアフリカの20カ国でビジネスを展開しています。アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、グアテマラ、パラグアイ、ペルーおよびウルグアイで販売拠点を持ち、ベリーズ、コスタリカ、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ベネズエラおよびモザンビークでも製品を販売しています。Eurofarmaは、自社創製品や導入品に対する開発研究、臨床試験の実施、マーケティングおよび販売に関わる機能を有しています。Eurofarmaは、合理的価格での治療の提供を通じ患者様の健康とQOLの向上に努めるとともに、採算性のある事業を展開し、継続的な成長と、従業員と社会との創造価値の共有をめざしています。

 Eurofarmaの詳細情報は、www.eurofarma.com.br をご覧ください。