抗てんかん剤ペランパネルの中国における部分てんかん併用療法に係る適応の新薬承認申請が受理

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗てんかん剤ペランパネル(一般名、日本製品名 「フィコンパ®」、海外製品名「Fycompa® 」)について、中国国家薬品監督管理局に、12歳以上の部分てんかん併用療法に係る適応の新薬承認申請が受理されたことをお知らせします。本承認申請は中国でのペランパネルにおける初めての新薬承認申請となります。

 

 中国でのペランパネルの部分てんかんの申請は、欧米を中心に実施した3本の臨床第Ⅲ相試験に加え、中国、日本を含むアジアを中心に実施した臨床第Ⅲ相試験(335試験)の結果に基づくものです。

 中国の推定てんかん患者様数は約900万人であり、そのうち約60%が部分てんかんと大別され、部分てんかん患者様の約40%に併用療法が必要とされています1。てんかん患者様の約30%では既存の抗てんかん剤による発作コントロールが十分にできておらず2、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。

 

 ペランパネルは、当社筑波研究所で創製されたファースト・イン・クラスの抗てんかん剤であり、1日1回投与の錠剤です。本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体を選択的かつ非競合的に阻害し、神経の過興奮を抑制します。

 ペランパネルは、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法として、世界55カ国以上で承認を取得しています。また、12歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法として、世界50カ国以上で承認を取得しています。さらに米国では、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法での承認も取得しています。

 

 当社は、てんかんを含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、一日も早くペランパネルを 中国の患者様に提供できるよう全力を尽くします。また、より多くの患者様に発作フリー(seizure freedom)をお届けする使命を追求し、てんかんの患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

 

以上

<参考資料>

 

1. ペランパネル (一般名、日本製品名「フィコンパ」、海外製品名「Fycompa」)について

 ペランパネルは、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。ペランパネルは 1日1回就寝前に経口投与するタイプの錠剤です。米国では、経口懸濁液の承認も取得しています。

 本剤は、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法について、米国、日本、欧州、アジアなど55カ国以上で承認を取得しています。今回、中国において、部分てんかんに係る適応で承認申請しました。さらに本剤は、12歳以上の全般てんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法について、米国、日本、欧州、アジアなど50カ国以上で承認を取得しています。なお、米国においては4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法の承認も取得しています。

 本剤について、レノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作を有する患者様を対象としたグローバル臨床第Ⅲ相試験(338試験)を実施しています。日本、欧州では、てんかんの小児適応に関する臨床第Ⅲ相試験(311試験)を実施しています。また、日本では、部分発作を有する12歳以上の未治療のてんかん患者様を対象とした単剤療法の臨床第Ⅲ相試験(342試験)を実施しています。

 

2. 中国での承認申請の基となる335試験の概要3

試験名称        :

部分発作を有する難治性てんかん患者様を対象とした他剤併用時におけるペランパネルの有効性及び安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験

対象               :  1~3種類の抗てんかん剤治療を受けている部分発作を有する12歳以上の患者様710名
投与法         : ペランパネル 4mg/日、8mg/日、12mg/日、またはプラセボを1日1回就寝前に経口投与
治療期間        : 観察期  6週間 

治療期(治療漸増期6週間及び治療維持期13週間)  19週間

継続投与期  10週間以上

実施地域        :

日本、中国、韓国、オーストラリア、タイ、マレーシア、台湾

主要評価項目 : 発作頻度変化率: 28日間あたりの発作頻度の観察期からの変化率
結果               : 

発作頻度変化率は、ペランパネル4mg群、8mg群、12mg群およびプラセボ群で、それぞれ-17.3%、-29.0%、-38.0%および-10.8%であり、ペランパネル8mg群と12mg群においてプラセボ群と比較して統計学的に有意な減少を示しました(p=0.0003、p<0.0001)。

主な有害事象 :

ペランパネル群で10%より発生頻度が高く、かつプラセボ群より発生頻度が高い一般的な有害事象は、浮動性めまい(ペランパネル4mg群、8mg群、12mg群 vs プラセボ群 = 22.7%、28.6%、42.2% vs 5.7%)、傾眠(同 15.9%、17.7%、17.8% vs 13.1%)でした。 

3. てんかんについて

 てんかんの患者様数は、米国で約340万人、日本で約100万人、欧州で約600万人、中国で約900万人、世界中で約6,000万人などの報告があります。てんかん患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず2、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。

 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分てんかんと、約 4割を占める全般てんかんに大別されます。部分てんかんの発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般てんかんの発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。

 

 

1 Clinical Guideline 2015 in China.

2 “The Epilepsies and Seizures: Hope Through Research. What are the epilepsies?” National Institute of Neurological Disorders and Stroke, accessed May 24, 2016, http://www.ninds.nih.gov/disorders/epilepsy/detail_epilepsy.htm#230253109

3 Nishida T, et al. Adjunctive perampanel in partial-onsetseizures: Asia-Pacific, randomized phase III study. Acta Neurol Scand. 2018;137:392–399.