抗てんかん剤「フィコンパ®」 日本申請に向けた部分てんかん単剤療法の臨床第Ⅲ相試験のトップラインにおいて主要評価項目を達成

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製の抗てんかん剤「フィコンパ®」(一般名 ペランパネル、海外製品名「Fycompa®」)について、日本での申請に向けて実施している部分てんかんを対象とした単剤療法の臨床第Ⅲ相試験(342試験)においてトップライン結果が得られ、有効性に関する主要評価項目を達成したことをお知らせします。本試験結果に基づき、当社は日本における「フィコンパ」の部分てんかん単剤療法について、2018年度中に承認申請を行う予定です。

 

 342試験は、部分発作を有する12歳から74歳の未治療のてんかん患者様を対象とした「フィコンパ」単剤療法の多施設共同、非盲検、単群臨床第Ⅲ相試験で、その有効性と安全性について、既存の抗てんかん薬単剤療法の臨床試験成績と比較を行いました。本試験では、有効性に関する主要評価項目として維持療法期間(26週間)における「フィコンパ」 4 mg/日投与による発作の完全消失の割合を評価しました。その結果、発作の完全消失の割合が有効性基準を上回り、主要評価項目を達成しました。

 本試験で確認された有害事象(発生頻度10%以上)は浮動性めまい、傾眠、上咽頭炎、頭痛であり、これまでの「フィコンパ」の安全性プロファイルと同様でした。

 本試験の詳細な結果については今後、学会等で発表する予定です。

 

 「フィコンパ」は、当社筑波研究所で創製されたファースト・イン・クラスの抗てんかん剤であり、1日1回投与の経口錠剤です。本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体を選択的かつ非競合的に阻害し、神経の過興奮を抑制します。日本においては、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」として承認を取得しています。

 

 当社は、てんかんを含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、引き続き、より多くの患者様に発作フリー(seizure freedom)をお届けする使命を追求し、てんかんの患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

 

以上

<参考資料>

 

1. 「フィコンパ」 (一般名:ペランパネル、海外製品名「Fycompa」)について

 「フィコンパ」は、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。「フィコンパ」は  1日1回就寝前に経口投与するタイプの錠剤です。米国では、経口懸濁液の承認も取得しています。

 本剤は、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法について、米国、日本、欧州、アジアなど55カ国以上で承認を取得しています。また、中国において、部分てんかん併用療法に係る適応で申請中です。さらに本剤は、12歳以上の全般てんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法について、米国、日本、欧州、アジアなど50カ国以上で承認を取得しています。なお、米国においては4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法の承認も取得しています。

 本剤について、レノックス・ガストー症候群に伴うてんかん発作を有する患者様を対象としたグローバル臨床第Ⅲ相試験(338試験)を実施しています。日本、欧州では、てんかんの小児適応に関する臨床第Ⅲ相試験(311試験)を実施しています。

  

2. 342試験の概要

試験名称

: 部分発作(二次性全般化発作を含む)を有する未治療のてんかん患者を対象に、「フィコンパ」の単剤療法の有効性および安全性を検討する非盲検非対照試験

対象

: 部分発作を有する未治療の12歳~74歳のてんかん患者様(評価対象73人)

投与法 : 「フィコンパ」 4mgを1日1回就寝前に経口投与(発作発生の場合8㎎へ増量)
治療期間

: 治療漸増期6週間および治療維持期26週間

実施地域 : 日本、韓国
主要評価項目

: 治療維持期26週間における部分発作に対する完全発作消失割合

3. てんかんについて

 てんかんの患者様数は、米国で約340万人、日本で約100万人、欧州で約600万人、中国で約900万人、世界中で約6,000万人などの報告があります。てんかん患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず1、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。

 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分てんかんと、約 4割を占める全般てんかんに大別されます。部分てんかんの発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般てんかんの発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。