hhcのように、DE&Iをビジネスと企業文化のCoreにしたい。

佐々木小夜子
執行役 コーポレートコミュニケーション担当(兼)ESG担当

ESG担当としてDE&Iに向き合い、またエーザイ初の女性執行役としてダイバーシティの最前線に立ち続けてきた佐々木に、エーザイにとってのDE&Iや浸透させるために何が必要か聞きました。

DE&Iは社会善を実現するためのCore Value。

エーザイにとってのDE&I

現代企業の存在意義は、短期的な利益追求ではなく、社会の一員として多様なパートナーと共に社会善を実現し、長期的な社会的インパクトを追求することだと考えています。それができる企業が信頼を得て社会から評価され、企業価値の向上にもつながる。その過程で社内外のステークホルダーと協働する際に大切なのは、一人ひとりの立場や考え方、バックボーンなどに違いがあると理解すること。課題を解決するための議論で、共有し合える価値が生まれ、イノベーションにつながるのだと思います。当たり前ですが、一人で、一社でできることは限られている。だからこそ必要なサポートをどう得るか、周りとどうコミュニケーションをとるかが大切なんです。DE&Iはそのために必要な概念、戦略と言える。ヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念の根幹である社会善を実現するためには、DE&Iが企業行動のCore Valueであるべきです。エーザイもDE&Iの浸透に取り組んできていますが、まだまだやるべきことはあるし、もっと加速させたいですね。

hhcも最初は様々な解釈があった。
トップが語り続けることが大切。そして、仕組み。

DE&Iの浸透に必要なこと

今やDE&Iは企業やその文化を構成する一部で、単に掲げればいいものではありません。ビジネスに組み込まれていないと言葉や数字だけのものになってしまう。hhc理念も、掲げた当初はボランティア活動と捉えていた社員もいて、ビジネスとは全く関係のない活動が行われたこともありました。理念の浸透には時間がかかる。その点で、CEO自らが社員に語り続けていることは大きな推進力となっています。また、企業理念の浸透をミッションとする「知創部」をCEO直下に設置し、hhc実現に資する優れた活動をCEOが表彰するhhcイニシアチブなどの仕組みをつくった。hhc理念は時間をかけて浸透、進化し、今ではエーザイのDNAとなりイノベーションの源泉になっている。DE&Iも真に根付かせるためには同じような仕組みが必要だと思います。

個人的には女性リーダー層の割合がまだ低いと思っており、育成は課題ですね。社内に素晴らしい女性社員がたくさんいる。地に足を付けたキャリアを重ねて成長していけるよう応援したい。

個人的には女性リーダー層の割合がまだ低いと思っており、育成は課題ですね。社内に素晴らしい女性社員がたくさんいる。彼女たちが着実にキャリアを重ねて成長していけるよう応援したい。

エーザイとDE&Iのこれから

振り返ると、2009年の研究開発のグローバル化は、当社におけるDE&Iのターニングポイントになったと思います。国境のないファンクションごとの組織体制となり、言語のチャレンジもある。簡単ではなかったと思いますが、組織のグローバル化の進展の中でイノベーションが生まれ、レンビマ(一般名:レンバチニブ)やレケンビ(一般名:レカネマブ)のような革新的な新薬が創出されました。DE&Iは創薬イノベーションの原動力です。また、2010年には世界保健機関(WHO)とリンパ系フィラリア症制圧に向けたパートナーシップを締結し、“Diseases of poverty”の代表である顧みられない熱帯病と闘うグローバルかつセクターを超えたパートナーシップの世界に入った。

今後は認知症エコシステムの構築に向けて、他産業連携なども活用し、より広く人々に貢献していく。アルツハイマー病の未来を変える、リンパ系フィラリア症を制圧する。私たちがやろうとしていることは、一企業では成し得ない大業です。だからこそいろんな人のことを理解し、共感し合わなければならない。ビジネスは上手くいく時も苦しい時もある。どんな時でも、社員が「自分の仕事が社会善の実現につながっている」という実感や誇りを持てる会社でありたいし、パートナーには「エーザイだから一緒にできた」と信頼される会社でありたい。一人ひとり違う私たちがhhcという目的を共有し、社会善を成し、成長していくために、これまで以上にDE&Iの力が必要だと思っています。