DE&Iは身近にあるコンセプト。 目標達成のためにDE&Iを実践し続ける。

真坂 晃之
執行役 チーフHRオフィサー

CHROとして DE&Iの推進を進める真坂に、HRの観点からエーザイが目指すべきこれからのDE&Iや、そのために何をするべきか聞きました。

「女性活躍」の重要な課題の次を見据えて活動したい

DE&Iの現状について

2012年のダイバーシティ宣言以降、DE&Iは社内で少しずつ浸透し、特に4~5年前から意識が高まってきたと感じます。ただ、全社的な意識はまだ女性活躍に焦点が当たっている状態です。 DE&Iのトピックスは当然女性活躍だけではないので、早く次の段階にいかないと。DE&Iが進んでも実際の現場で活かせないと意味がなく、重要なのは組織マネジメントにどうつなげるか。徐々に移行していると感じますが、まだまだ道半ばです。「2030年までに女性の経営職員比率3割、男性の育児休暇取得率向上」が全社のマテリアリティとして取り上げられました。一方でDE&Iに「ここまでやればいい」という上限はなく、「DE&Iを実践すると成果が出る、業務が効率化する」と社員が手応えを感じた時が一つのゴールになると考えています。

今までのやり方では、
変化する社会でイノベーションを起こせない。

DE&Iがなぜ必要なのか

そもそもDE&Iは社会や会社のなかで「当然のこと」であるべきこと。世界は猛スピードで変わり続けています。エーザイとしても変化を見据え2022年に定款を変更し、我々の企業理念の主役を「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に拡大、「社会善」の実現をめざすことを掲げました。ただ、従来のやり方に固執して変化に対応できなければ最終的な社会善の実現はおろか、イノベーションの創出さえも難しい。DE&Iは変化に対応するために必要なコンセプトだし、実は私たちの遠くにある概念ではないと思います。日常の業務の身近なところにも沢山あるし、既に実践できていることもある。何かをやってDE&Iがすぐに達成されるものではないし、息の長い活動になると思うが、DE&Iを意識して目標達成のために実践し続ける必要があります。私は、組織は個人の能力の総和ではなく、能力を掛け合わせたものだと考えています。だから個人でできないことが組織で成し遂げられ、イノベーションが生まれる。DE&Iは実践し続けるべき経営アジェンダだと認識しています。

hhcの思考プロセスをDE&Iに置き換えたい。

エーザイだからできるDE&Iとは

エーザイは理念経営を本気で追求している会社。ビジネス時間の1%を使って患者様や生活者の皆様との共同化に取り組み、そこで感じ取ったことを業務に活かしており、だからこそ「誰のために」「何のために」を全員が自分に落とし込むことができます。DE&Iも同じ。このhhc理念の思考プロセスに置き換えたいです。hhc理念は一つの答えがあるわけではなく、各自が自分なりの答えを持っている。でも目的を聞いたら、みんな近しいことを答えると思います。DE&Iも一人ひとりの答えはあるけど、最終的には同じ方向を向いているのがベスト。個々人の力を掛け合わせて大きな力にし、イノベーションの創出や社会善の実現につなげる。これこそがエーザイができるDE&Iだと思います。「レケンビ」(一般名:レカネマブ)の承認取得は、DE&Iを原動力に大きなことを成し遂げることができると確信した出来事でした。サイエンスの力はもちろん、DE&Iによる組織や社員のマインドセットの変化があったからこそ実現した。DE&Iが風土や文化になり得る土壌があるということ。あとは達成したい目標や解決したい課題を定め、その実現に向けてDE&Iのコンセプトを活動のなかに意識的に組み込んで実践していくことが重要だと思います。