仕事と介護の両立には制度だけでなく職場風土の醸成が重要

実父と義母の介護を経験しました。東京で勤務しながら週末は家族宅のある大阪に通い、平日の介護は奥様が支えました。

  • モチベーションが下がったのはどんなときでしたか?

    • 介護をしている期間は、大きな精神的負担がありました。
    • 常にルーチン対応が発生する組織であり、1人抜けることでまわりに迷惑をかけてしまうことに対して申し訳ない気持ちがありました。
    • 介護について、まわりからは「大変だね」という言葉はあっても、休暇を取りやすい雰囲気ではありませんでした。
  • モチベーションが上がったのはどんなときでしたか?

    • 組織の業務特性からも周囲の理解が得られにくい状況を自分が理解していたので、介護期間中にモチベーションが上がることは、あまりありませんでした。
    • 介護の過程においては、認知症の実父を遠方から大阪に移し、ショートステイから特別養護老人ホームへ施設を変更しました。また、同時期にがんを患った義母を、義妹と一緒に自宅で看護するなどして負担が大きかったため、介護が終了して一定の時間が経過した際には負担がなくなったという意味でモチベーションは改善しました。
  • 仕事との両立をする中で、どんなことでやりにくさや苦労を感じましたか?

    • 介護は、終わりが見えないゆえの大変さがあります。
    • 職場の雰囲気として介護のために平日に休暇を取ることが難しく、実父を介護するため、毎週金曜日の夜に大阪へ向かい、日曜日の夜に戻るという暮らしを3カ月間、続けました。
    • 業務手順書を整備するなどして、組織メンバーが休暇などで不在になっても業務が回るよう環境整備につとめました。
    • 日常的に介護を頼んだ妻には負担をかけました。看取ることができなかったのは残念でした。
  • 当時、どんな支えがあったらよかったと感じていますか?

    • 介護に関して、組織長や組織メンバーに遠慮なく言える組織風土があればよいと感じていました。
    • 介護に悩んでいる社員同士が、専門家のレクチャーを受け、お互いに現状を共有できる機会があれば、参加もしたし、自分自身の経験を話すことができたと感じています。
  • 今、同じような状況にある人に経験者として伝えたい事

    • 誰もがいつかは介護に直面することをお伝えしたいです。
    • 自分の経験をもとに、どんな準備をすべきかなど、アドバイスできることがあればぜひお手伝いしたいと思います。
    • 介護の状況は人それぞれであり、他人が直接手助けすることは難しく、話をしたり、聞いてあげたりすることが支援として重要だと感じています。

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