悩みを一人で抱えずに共有しましょう

両親と別居中に父親の介護が必要となってしまったYさん。自らの経験を活かして介護離職の防止に貢献したいとの抱負を語っていただきました。

  • モチベーションが下がったのはどんなときでしたか?

    母から父の様子について相談されていたものの、父の実際の行動を見て衝撃を受けました。さらに、医療機関でアルツハイマー型認知症(Alzheimer disease:AD)と診断されたことでショックを受けました。母は父の攻撃的な行動に対して、泣きながら電話で私に助けを求め、数日おきに「死にたい」と相談してきた時期もありました。しかし、遠く離れていたため、力になりたいとの気持ちがあっても、どうすることもできず、自分の不甲斐なさを責めるしかありませんでした。その後、一旦は同居することができましたが、再び別居となり、一時は、地元企業への転職も真剣に考えました。

  • モチベーションが上がったのはどんなときでしたか?

    同居が実現したことで、毎日不安でたまらたかった母は、涙を流して感謝してくれました。また、『認知症の人と家族の会』に入会したことにより、同じ悩みを抱える方々とコミュニケーションをとることができ、マイナスの想いが払拭されました。同居後、再度、別居が決まって悩んだ時期もありましたが、元々私自身に、より幅広い業務に取組みたいとの希望があったので、今は、新たな業務で、様々なことにチャレンジし、意欲的に仕事を行っています。

  • 仕事との両立をする中で、どんなことでやりにくさや苦労を感じましたか?

    仕事が忙しいために、両立が難しくなるとは思っていません。私の場合は、両親との物理的な距離が大きな壁となりました。現在は単身赴任のため、できることには限りがあります。 究極的には、地元での再就職をするという選択肢もあるでしょうが、今の仕事にやりがいを感じていますので、頑張って両立を目指しています。私は、仕事柄、ADに関する知識を有していますが、知識量が豊富だからと言って、ADの父親とうまく接することができるとは限りません。私自身が、その事実を身をもって体験しました。今となっては、厳しい現実に直面したことが、自分の成長に大きなプラスになったと思っています。

  • 当時、どんな支えがあったらよかったと感じていますか?

    両立を目指す以上、職場の理解を得ることは必須だと思います。私自身は、理解されることを受身で待つのではなく、自らの状況を同僚にオープンに共有することによって、能動的・積極的に理解を得るというスタンスでやってきましたので大きな支障はありませんでした。
    他方、父の介護に関する問題ついては、医師、介護職員の支援は受けていましたが、解決の糸口が見つかりませんでした。しかし、『認知症の人と家族の会』に参加したことで解消できました。この会に、より早く参加できていれば、もっと早く、前向きな気持ちに切替えることができたと思います。

  • 今、同じような状況にある人に経験者として伝えたい事

    まずは、『認知症の人と家族の会』に相談することを強く訴えかけたいです。当社もADに取り組み、『認知症の人と家族の会』と協働することは少なくありませんが、困難を乗り越えた実体験に勝るアドバイスはないことを痛感しました。皆さん、大変親身になって支援してくれます。
    介護は24時間、365日続きます。したがって、介護する側を支援する際に最も重要なことは、介護者が休息時間を確保できるための支援を行うことです。
    私は、自らの業務、父親のADという両面でADに関わってきているので、これまでの経験を活かし、同様なケースにおける介護離職の防止に貢献していきたいと考えています。

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