開発途上国の感染症制圧に向けた日本初の官民パートナーシップに参画グローバルヘルス技術振興基金設立

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2013年7月11日掲載

世界の多くの国や地域において、繁栄と貧困を分ける境界線は、感染症を制圧できるかどうかにあります。世界有数の開発援助国である日本は、「健全な経済活動には人々の健康が不可欠である」という信念のもと、医薬品の寄付、インフラの整備、人材育成など、日本の政府、民間団体によって様々な支援活動や貢献を行ってきました。さらに、顧みられない熱帯病などの新薬を必要とする疾患に対して、世界に誇る日本の創薬力をもって貢献したいという想いのもと、2012年11月、日本政府(外務省、厚生労働省)、エーザイを含む日本の製薬企業5社、ならびにビル&メリンダ・ゲイツ財団(以下、ゲイツ財団)によって、「一般社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)」が設立されました(https://www.eisai.co.jp/news/news201319.html)。グローバルヘルス分野の感染症に対する日本初の官民パートナーシップの誕生です。

GHIT Fund設立記者会見:官民連携によるグローバルヘルスの日本の貢献

2013年6月1日に横浜で開催された共同設立記者発表会では、GHIT Fund(http://ghitfund.org)、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業5社及びゲイツ財団の代表が一同に揃い、パネルディスカッション形式で行われました。

壇上、内藤社長は大要を次のように述べました。

「開発途上国の健康福祉への投資に対するリターンは長期的にみるべきです。病気に苦しんでいた人々が健康を取り戻し経済活動に従事することにより、国民所得や国民の富に貢献し、ひいてはその国における大規模な中間所得層を形成していくことになります。将来の市場成長のための長期的な投資なのです。

グローバルヘルスや医薬品のアクセスの向上は単純なものではありません。医薬品アクセスには、4つの柱があります。

  • 患者様にとっての医薬品のアベイラビィリティ—(入手の機会)
  • 患者様にとっての医薬品のアフォーダビリティ—(購入し易さ)—医薬品は社会にとって購入しやすいものでなければなりません。
  • アドプション(服薬の意向)—医薬品が入手でき、かつ購入しやすくても、患者様が服薬したいという意向が必要です。このための疾患啓発、疾病管理と教育は非常に重要です。
  • アーキテクチャ(医薬品アクセス改善の基盤・体制)—基本的な医療インフラ、衛生、水道等のアーキテクチャは非常に重要です。

製薬産業単独でこれらの4つの柱に関してできることは限られています。だからこそ、私たちは政府やゲイツ財団のような国際機関とのパートナーシップを必要とするのです。日本政府が持つ各国政府やWHOなどの国際機関とのネットワーク、ゲイツ財団のグローバルヘルスにおける豊富な経験と資金力、そして日本の製薬企業やアカデミアが持つ世界に冠たる新薬開発技術を結集させるという、従来の官民パートナーシップには見られない、非常に画期的な構想です。」

当社は、今後もGHIT Fundを通して新興国・開発途上国における医薬品のアクセス問題に積極的に取り組み、これらの国々の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

(左より、GHIT Fund 黒川代表理事、GHIT Fund スリングスビー専務理事、アステラス製薬 野木森会長、第一三共 中山社長、ビル&メリンダ・ゲイツ財団 マンデル・グローバルヘルスプログラムプレジデント、内藤社長、塩野義製薬 手代木社長、武田薬品 長谷川社長、飯田 外務省国際協力局地球規模課題統括課長、山内 厚生労働省大臣官房国際課国際協力室長)

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