筑波研究所でキャンサーペアレンツ代表をお迎えして講演会を開催より深い患者様視点からの創薬研究を目指すために

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2019年10月

 2019年8月、筑波研究所のhhc活動として一般社団法人キャンサーペアレンツの代表理事である西口 洋平さんをお招きし、講演会と座談会を開催しました。

 西口さんは、35歳の時に「ステージ4のがん」の告知を受け、治療を続ける生活の中で、周囲に同じ世代、境遇を持つ相談相手がいなかった経験から、子どもを持つがん患者様同士でつながることができるインターネットサイト「キャンサーペアレンツ」を2016年4月に設立し、がん患者様のために精力的に活動されています。


 キャンサーペアレンツと西口さんの詳細なプロフィールは以下のURLをご覧ください。https://cancer-parents.org/ 

(西口 洋平さん)

第一部 講演会 

 講演会には、筑波研究所で抗がん剤の創薬研究を行う研究者を中心に100名を超える社員が参加しました。西口さんからは、35歳という若さでがんの告知を受け、治療を行いながら職場に復帰した経験に基づいて、抗がん剤の副作用をはじめとする治療の実態や職場での病気について、カミングアウトの難しさ、仕事との両立の課題、経済上の問題、家族への想いなどについてお話しいただきました。「いのち、お金、仕事のうちどれが優先かは決められない、すべて繋がっていてすべて大切」という西口さんのお話は、すべての参加者にとって我が事として深く考えさせられるものでした。また、「患者はサポートされるだけの存在ではなく、社会の一員。社会のチームの一員として患者でも生きやすい社会を作りたい」との想いをキャンサーペアレンツの活動として実践されている様子が、参加者に強い印象を残しました。

第二部 座談会

 座談会では、西口さんと約20名の社員が、現在キャンサーペアレンツで考案中の「患者様同士の情報交換ツール」について意見交換を行いました。これは、患者様が治療中の体調とその管理方法などを共有してお互いに役立てるシステムですが、患者様同士の情報交換にとどまらない製薬企業にも有益な情報集積ツールを目指しており、製薬企業の視点も盛り込むべく、活発な議論が交わされました。

社員の想い

 参加者全員が、今回の講演会と座談会を通して、日々の業務に対する気付きとモチベーションの向上を実感し、より深い患者様視点を取り入れた創薬研究を目指すことを決意しました。座談会に臨んだ当社研究員の想いを一部ご紹介します。

  • 抗がん剤治療では、「副作用は出ますが”我慢して”飲んでください」と患者様にお伝えするのが当たり前になっていて、”我慢して”飲む現状を何とかしなければいけないと痛感しました。抗がん剤は、飲み薬のほうが喜ばれると信じ込んでいましたが、「副作用が出ると分かっている薬を、自らの意思で飲み込なまければならないことが非常につらい」という西口さんのお言葉に衝撃を受けました。安全性研究に携わる者として、副作用をなんとしても軽減し、患者様の”我慢”を最低限にする決意を新たにしました。
  • 「今の私に効く薬を一発で処方して欲しい」という西口さんの言葉に対し,それが出来ていない現状を歯痒く思いました。”効くかどうかわからない”、“副作用がなぜ起こるかわからない”薬剤を患者様のもとに届けてはならないし、届けたくないと感じました。臨床において患者様から得られる多くの情報を非臨床研究に活かすための様々な取り組みについて、より強力に推進していくことを胸に誓いました。
  • 30-50代の働き盛りであるがん患者様の家族や仕事、生活のリアリティは、自分事として心に突き刺さりました。西口さんが、希望であるはずの治験薬であっても、副作用のせいで“飲むのが嫌になるほど”と感じていることに、医薬品開発に携わる者としてやるせなさを感じました。治験に参加される患者様の不安について、今回のように直接お聞きしたことはなく、とても良い機会となりました。患者様の安心につながる情報の創出、副作用メカニズムの事前解明を目指す我々の安全性研究をより加速していく必要性を強く感じました。
  • 今回のように患者様の声を直接お聞きする機会は、私にとって大変貴重で、自身の研究を進める上でのモチベーションにつながっています。もし、患者様視点の詳細な情報を得ることができれば、私の研究を通じて副作用の機序を解明することができるかもしれません。そのことは、副作用マネジメントと副作用のより少ない新薬開発につなげることができると考えています。今後も、患者様と緊密にコミュニケーションしたいと思います。
  • 西口さんが、ご自身の体験から、がん患者様の悩みを解決するために「キャンサーペアレンツ」を立ち上げて活動している姿に感銘を受け、「アクティブな活動」の大切さを学びました。また、患者様の「生の声」は、服薬マネジメントの確立や安心して治療に専念できる環境、地域づくりにも大変重要であり、患者様の声から貢献につなげる役割を担えることを誇りに思いました。これらの想いを、日々の積極的な業務推進に活かしていきます。
  • 患者様がお持ちの詳細な情報は、私達が行う研究では明らかにできない新しい情報である可能性があり、大変貴重です。これらを他の研究にフィードバックできるような評価や分析手法を確立し、より早い段階から患者様の情報を活用した創薬ができるよう研究を進めていきます。