ビジネスパートナーのための行動指針

エーザイは、企業理念の実現のために、法令と倫理を遵守し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決に資する事業活動を展開しており、この活動の指針となる企業行動憲章や行動指針を整備しています。同様に、ビジネス・パートナーに期待する行動の指針をここに定めます。

この「ビジネス・パートナーのための行動指針」(以下、「行動指針」といいます)は、エーザイのすべての取引先とその従業員、請負業者、代理店、サプライヤー、ベンダー、その他取引先の委託を受けて活動する国内外のすべての事業者(「ビジネス・パートナー」といいます)に適用します。 

エーザイは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)に署名し、現代奴隷反対を含む、人権、労働、環境、腐敗防止から構成される原則を支持しています。また、世界各国のグローバル製薬企業で構成される非営利団体 Pharmaceutical Supply Chain Initiative(PSCI)が策定する PSCI principles(PSCI 原則)を支持しています。この行動指針は、PSCI 原則に基づき、法令遵守、倫理、人権、安全衛生、環境およびそれらに関係するマネジメントシステムに関して、ビジネス・パートナーの皆様に遵守して頂きたい事項を示したものです。

 エーザイはビジネス・パートナーに対して、この行動指針に定める事項を満たすことを期待します。加えて、この行動指針に記載された事項について、評価や監査、問題の改善への協力を求めていきます。ビジネス・パートナーの企業価値の向上につながる継続的な改善を通して、この行動指針がより実践的なものになることを期待しています。

1. 法令の遵守

適用される法令、規制、基準を遵守してください。

2. マネジメントシステム

事業の継続性を維持し、継続的な改善を促進し、法令遵守、倫理、人権、安全衛生、環境に関するこの行動指針の期待に応えるために、マネジメントシステムを構築してください。

2.1. 企業文化、コミットメントおよび説明責任

適切な資源配分を行い、上級責任者を明確にすることにより、この行動指針に記載されている事項に対するコミットメントを示し、責任をもって実践するための企業文化を育んでください。

2.2. リスク管理

この行動指針が対象とする分野において、継続的にリスクを把握し管理する仕組みを構築してください。

2.3. 持続可能な調達とトレーサビリティ

合法的かつ持続可能な調達を促進するために、自社のサプライチェーンに関するデュー・デリジェンスを定期的に実施するための仕組みを構築してください。

2.4. トレーニングとコンピテンシー

経営陣と従業員が、この行動指針に応えることができるように、知識、スキル、および能力が適切なレベルに達するための研修プログラムを工夫し実施してください。

2.5. 文書化

この行動指針に適合していること、および適用される規制を遵守していることを証明するために必要な文書を維持管理してください。

2.6. 継続的な改善

目標を設定し、計画を実行し、社内外の評価、査察、およびマネジメントレビューによって特定された要改善点に対して必要な是正措置を講じることにより、継続的な改善を行ってください。

2.7. 緊急事態への準備と対応

効果的な緊急事態への対応計画とその手順を整備してください。

2.8. 懸念事項の特定(苦情処理メカニズム)

社内外の利害関係者が、報復や脅迫、嫌がらせを実際に受けることもその恐れもなく、職場における懸念事項、違法行為、あるいはこの行動指針に定められた原則への違反を通報できるような体制の整備に努めてください。

2.9. 対応と是正

この行動指針で定められた原則に関連する問題の発生や懸念事項に関する報告については適切に対応し、必要に応じて是正措置を講じてください。

2.10. 効果的なコミュニケーション

この行動指針を従業員、請負業者および取引先などの利害関係者に伝えるための効果的なシステムを整備してください。

3. 倫理

倫理的に事業を遂行し、誠実に行動してください。

3.1. 患者様の安全と情報へのアクセス

患者様の健康に対する権利、および自身の情報に直接アクセスする等の権利に悪影響を及ぼすリスクを、最小限に抑えるための適切な管理体制を整備してください。

3.2. 贈収賄および汚職防止

一切の贈収賄、汚職、強要、横領は禁止されています(ファシリテーションペイメントを含む)。不公正な利益を確保するために、業務や政府との関係において、あるいは仲介業者を通じて、賄賂の支払いや受け取り、その他の違法な勧誘行為に関与してはなりません。汚職を防止し、適用される法律を遵守するための適切なプロセスを持つことが求められます。

3.3. 公正な競争

公正かつ活発な競争に則り、適用されるすべての競争法を遵守した事業活動を行ってください。正確で誠実な広告をするなどの公正な事業活動を採用しなければなりません。

3.4. 動物福祉

動物を使う場合は、痛みとストレスを最小限に抑えて大切に取り扱ってください。動物実験は、動物を使用しない代替方法、使用する動物数の削減、または苦痛を最小限に抑える手順を検討した後に実施してください。科学的に妥当であり規制当局に容認された場合には、代替法を使用してください。

3.5. データ・プライバシーとセキュリティ

プライバシーおよびデータ保護法を遵守し、個人情報の保護、セキュリティ、および合法的な使用を確保しなければなりません。

3.6. 利益相反の回避と管理

利益相反を特定、回避、管理するための適切な対策を行ってください。重大な利益相反が生じた場合、あるいはその可能性がある場合には、影響を受ける全ての当事者に通知してください。

3.7. 製品の保護と品質

製品、部品や原材料を、不純物混入、偽造または違法転売を目的とした盗難のリスクから保護する管理およびセキュリティシステムを確保してください。

4. 人権

社内外の利害関係者の人権を尊重し、尊厳と敬意をもって接してください。

4.1. 強制的な労働の禁止

強制労働、奴隷労働、年季奉公労働、不本意な囚人労働を利用してはならず、人身売買やあらゆる形態の現代奴隷制に関与してはなりません。仕事を得る対価として金銭の支払をさせたり、移動の自由を制限してはなりません。

4.2. 児童労働と若年労働者

児童労働を許容してはなりません。18 歳未満の若年労働者を雇用する場合は、危険を伴わない業務の範囲内であり、かつ雇用できるのは国の法定年齢以上または義務教育終了年齢に達している場合に限ります。

4.3. 差別の禁止

平等に努め、嫌がらせや差別のない職場を提供してください。人種、肌の色、年齢、妊娠の有無、性別、性的指向、民族、障害、宗教、政党への加盟、労働組合員や配偶者の有無などによる差別は容認しません。

4.4. 公正な処遇

従業員のセクシュアル・ハラスメント、性的虐待、体罰、精神的身体的強要、または言葉による虐待を含むハラスメント、厳しい待遇、および非人道的な扱いがなく、こういった扱いを受ける恐れのない職場を提供してください。

4.5. 賃金、手当、労働時間

適用される賃金関連法及び合意された雇用契約に従い、最低賃金、時間外労働手当および法定給付を従業員に支払わなくてはなりません。従業員に支払われる報酬の基準について、適時、従業員と意思疎通を図ってください。また、時間外労働の必要性や支払うべき賃金についても従業員と話し合ってください。時間外労働は、適用される国内および国際基準との整合をとらなければなりません。

4.6. 結社の自由と団体交渉権

従業員とオープンなコミュニケーションをはかり、直接取り決めを行うことで、職場や報酬の問題を解決するように努めてください。
結社の自由、労働組合への加入や不加入、代表者の選出、従業員協議会への参加、団体交渉を行うことなど、現地法に規定されている従業員の権利を尊重してください。結社の自由と団体交渉権が法律で制限されている場合には、別途自由に結社し交渉できるような仕組み作りを促進し、妨げないようにして下さい。従業員が労働条件について、報復、脅迫、または嫌がらせを受けることなく、経営陣とオープンに対話ができるようにしなければなりません。

4.7. 地域コミュニティ

清潔で健康的な環境に対する権利を含む、自社の周辺の地域コミュニティの権利を尊重してください。

5. 安全衛生

安全で健康的な労働環境を提供し、従業員のウェルビーイングをサポートしてください。安全衛生対策は、取引先の拠点で働く請負業者や下請け業者まで広げる必要があります。

5.1. 職場環境の安全

職場環境の安全を確保するため、十分なリスクアセスメントを行い、緊急事態に備えた計画を立ててください。医薬品および医薬品原材料(医薬品中間体を含む)に含まれる有害物質に関する安全情報を提供し、従業員を危険から守るための教育、訓練、環境整備に活用してください。また、適切な清掃習慣と労働安全の取組みを実践してください。

5.2. 従業員の保護、健康、ウェルビーイング

化学的、生物学的、物理的な危険、および身体的に過酷な作業にさらされることから従業員を保護してください。従業員の安全、健康、およびウェルビーイングを支援するために、適切な設備、施設、およびサービスを提供しなければなりません。

5.3. プロセスの安全性

化学的および生物学的なプロセスから生じるリスクを特定し、重大な被害を及ぼすような化学物質または生物学的物質の重大な漏出を未然に防止する、またはそのような事態に対処するための管理プロセスを整備してください。

6. 環境

環境への悪影響を最小限にとどめるため、環境に配慮した事業活動を効率的な方法で行ってください。また、自社のサプライヤーにも同じように環境に配慮するように働きかけてください。天然資源を保全し、温室効果ガスの排出量を削減し、生物多様性ときれいな水を保全し、できる限り有害物質の使用を避け、資源の再利用・リサイクルすることを推奨します。

6.1. 環境に関する許認可および報告

適用されるすべての環境規制を遵守してください。要求されるすべての環境関連の許認可、ライセンス、情報の登録と制約に対応し、それらに関わる運用および報告の要件に従ってください。

6.2. 廃棄物と排出の管理

廃棄物の安全な取り扱い、移動、保管、廃棄、リサイクル、再使用、大気への排出や排水処理の管理を行うためのプロセスを整備してください。人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性がある廃棄物、排水、大気への排出物は、環境に放出する前に適切に管理、制御、処理しなければなりません。これには、医薬品活性成分の環境への放出の管理も含まれます。

6.3. 気候変動

自社の事業活動による温室効果ガス排出量を監視し削減に努めてください。また、サプライヤーにも同様に取組むことを働きかけてください。

6.4. 資源の効率的利用

循環型社会の実現に努め、無駄を省き、資源の利用効率を高め、水を含む資源の消費を削減するための措置を講じ、再生可能かつ持続可能な資源を優先して利用してください。また、資源の再利用とリサイクルのための措置も講じてください。

6.5. 生物多様性の保全

生物多様性への影響を理解して、可能な限り影響を小さくするように努めてください。

6.6. 流出、放出の防止

環境に影響を与える物質の不測の流出や放出、それによる地域社会への悪影響を防止、低減するための効果的なしくみを整備してください。

 

お取引先様コンプライアンス通報窓口

エーザイでは、お取引先やその役員および従業員の方々にも、エーザイ関係者による不正行為や法令違反、さらにお取引先における当社事業に関わる不正行為や法令違反等について相談・通報いただけるようコンプライアンス通報窓口を設けています。