働きやすい環境

方針・基本的な考え

当社は1990年4月に「エーザイ・イノベーション宣言」を発出し、「エーザイは社員全員にとって自己発現のよき器でありたい」との考えを定めて以来、今日に至るまで、社員一人ひとりが活躍できる就労環境の構築や、パフォーマンスを最大限発揮できる働き方の実現に向けた取り組みを進めてきました。定款には、主要なステークホルダーズとして「社員」を明記し、2022年には株主総会の承認を経て、これまで記載していた「安定的な雇用の確保」に加え、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」そして「働きやすい環境の整備」を旨とすることを追加しました。社員一人ひとりを取り巻く環境や価値観は多種多様です。社員のWorkとLifeのバランスを取ることではなく、WorkとLifeの双方をBestにしていくWork Life Best(WLB)をコンセプトに、多様な社員が様々な環境下でも生産性高く、健康的に、自分らしく仕事へ取り組める就業環境を整備しています。社員のWLBを追求していくことは、結果として、その人らしく“生ききる”を支えていくhhcecoシステムの構築へと繋がっていくものと考えています。

目標・課題・アクション

社員がhhc理念に感化され、当社で働くことを通じて自己実現を目指していくためには、意義を感じられる仕事、成長の機会や働きやすい環境を、継続して提供・整備していくことが重要であると考えます。一人ひとりのライフスタイルを前提とした多様な働き方を選択できるケースは社会的にも未だ限定的ですが、働き方がライフスタイルに与える影響は大きく、社員が意欲高く働きながらライフイベントに対応でき、ライフの充実を実感できるような環境構築は、単に生産性向上だけでなく、社員一人ひとりのWLBの本質となります。WLBを実感する社員が集い、自らを解き放ち、互いに認め合い、繋がり合うことで組織力は飛躍的に高まると考えます。社員がグローバルに場所や時空を超えて活躍する環境を実現するために、諸制度の構築だけではなく、DXを通じてコミュニケーションを一層誘発し、交流や共働を促進する取り組みも推進しています。

体制・システム

当社は、過去より健全な労使関係に基づいた労使協議を積み重ね、様々な就労環境を整備してきました。特に日本国内においては、会社の現況について労使で共通認識に立つべく、社の業容や決算概要、中期的な見通し等に関する労使協議も定期的に開催しています。また、社員一人ひとりがWLBを実感していくためには、労使のディスカッションだけでなく、リモートやリアルといった様々な環境下における社員間でのコミュニケーションやコラボレーションを誘発する仕組みも重要です。現在、人財情報を可視化して共働や共創を活性化する、多様化したチームのための新たな組織開発等の強化を進めており、WLBに向けた体制・システム整備を継続的に推進しています。

具体的な取り組み

1)時間や場所に捉われない柔軟な働き方の拡充
多様な社員のWLB向上のため、いつ、どこで仕事をするのが最も生産性が高く、創造的成果発現に寄与するかを考え、働く環境や場所を選択できるActivity Based Working(ABW)コンセプトに基づくオフィスリノベーションや、本社地区在籍社員を対象にしたシェアオフィス利用などを実施しています。また、2020年から自宅勤務の利用日数に制限はなく、フレックスタイム制でもコアタイムを廃止しています。
Eisai Inc.(米国)では、交流・イノベーション・コミュニティを最大化させ、リモートワークを主体とした業務環境から進展し、より多くの人々に貢献することを目指した「Eisai US hhceco Center」を2022年3月に稼働しました。新オフィスでは、ポストコロナの "ニューノーマル"にあわせて、対面会議とリモート会議のハイブリッドに柔軟に対応するよう、最新のテクノロジーを用いたオフィス環境を整えています。さらに、リモートワークの効率性と対面での交流による深いコネクションとコラボレーションするフレキシブル・ワーキング・アレンジメント・ポリシーを導入しました。

2)WorkとLifeの両立と自己実現を支える環境整備(国内)
働く場所や時間の柔軟性を高めるだけでなく、社員のライフイベントを支え就労と両立を支援することを目的に、法定休暇を上回る休暇・休職制度や短時間勤務制度などを充実させるとともに、男性社員を対象とした配偶者出産休暇を整備し、育児休職の取得率50%の早期達成を目標に掲げ、男女問わず育児・介護休職等を取得しやすい職場風土の醸成をはかっています。また、社員の自律性を高める働き方や成長性の充実に向けた自己啓発支援制度や留学支援制度など、社員一人ひとりがいきいきと活躍でき、自己実現を支える環境整備に取り組んでいます。

働き方改革の系譜

ライフイベントや自己実現を支える制度

つわり休暇 つわりのために就業が困難な場合、1回の妊娠につき3回、合計15日間の休暇を取得することが可能。
育児休職 産前産後休暇の後、子供が3歳になるまで休業可能。
出生時育児休職 育児のため子供の出生後8週間以内に4週間を限度として休業可能。
介護休暇・休職 家族の介護が必要な場合に、有給休暇を年間5日まで(1日あるいは時間単位)、休業を1年まで取得可能。
育児・介護・私傷病療養短時間勤務 育児・介護・病気療養のため1日最大2時間まで勤務時間を短縮可能。育児短時間勤務制度は子供が9歳に達した後の3月末まで利用可能。制度利用中もフレックスタイムの適用は可能であり、月内で勤務時間を調整できる。
看護休暇 小学校就学前の子供の看護が必要な場合、または予防接種や健康診断を受けさせるため休暇が必要な場合、有給休暇を年間5日まで(1日あるいは時間単位)取得可能。
長期療養休暇 有効期限内に使用できなかった年次有給休暇を、社員自身の病気等の治療・療養のために50日を限度に累積することができる制度。病気やけがの療養のために暦日連続7日以上休む場合に利用可能。また、がん治療・透析治療・不妊治療の場合は1日単位か半日単位でも利用可能。
自己啓発・社会貢献休暇 社員がキャリアプランに基づいた自己啓発活動や、社会的公共性のある団体または非営利組織が行う医療・福祉・環境保護に関する活動、社員自らの知識や技能、経験を活かした社会貢献活動を実施する場合、年間5日まで有給休暇を取得することが可能。
ドナー休暇 社員が骨髄バンクのドナーとなる場合、ドナー登録から骨髄採取後の健康診断までの必要日数について有給休暇を取得することが可能。
私費留学休職 勤続1年以上の社員が私費留学(海外・国内)のため、2年まで休業可能。
配偶者出産休暇 配偶者が出産した際、社員が出産後8週までに最大5日間の有給休暇を取得することが可能。
配偶者海外赴任帯同休職 勤続1年以上の社員が配偶者の海外赴任や海外留学に帯同するため、3年を限度に休業可能。

データ

  2022年度
日本 月平均残業時間(管理職を除く一般社員一人あたり) 14時間19分
有給休暇の平均取得日数(管理職を除く一般社員一人あたり) 13.3日
自宅勤務率 49.5%
  • 国内のグループ企業を除く