資源の循環利用

方針・基本的な考え

エーザイグループは、グローバルに展開するヘルスケア企業として「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)環境方針」を定め、地球環境の保全を重視した企業活動を展開しています。ENW環境方針では「5.水を含む資源の持続可能な利用および廃棄物の削減と再利用を進め、循環型社会の形成に貢献します。」と明記し、廃棄物発生量削減、リサイクル率向上、最終埋立量削減、有害廃棄物削減に向けて、廃棄物の適正処理と資源循環の取り組みをグローバルに推進しています。

目標・課題・アクション

グローバルに中期目標を定めています。

・廃棄物発生量:2030年度までに2023年度比7%削減

  (指標:廃棄物発生量[t]/売上収益[億円])

・最終埋立率:2030年度までに2%以下

・リサイクル率(有価売却を含む):2030年度までに50%以上(サーマル、ケミカル、マテリアルを含む)

・有害廃棄物発生量:2030年度までに2023年度比7%削減

 (指標:有害廃棄物発生量[t])/(研究開発費+売上原価)[億円])

さらに、国内グループでは以下の目標を定めています。

・ゼロエミッション:最終埋立量と廃棄物発生量の比を0.5%以下

・廃プラスチックリサイクル率(有価売却を含む):80%以上

体制・システム

エーザイグループでは、環境マネジメント推進体制を構築し、グローバルな活動を推進するとともに、国内外における環境リスクの把握やその対策の確立に向けた活動強化に取り組んでいます。

 環境マネジメント推進体制と環境監査  https://www.eisai.co.jp/sustainability/environment/management/structure/index.html

具体的な取り組み

分別廃棄の徹底、資源循環を積極的に推進している廃棄物処理委託先の選定、原薬工程での化学合成に用いる有機溶媒のリサイクル利用や有価売却(廃溶媒の助燃材)等に取り組んでいます。

廃プラスチックについては、有価売却、RPF(固形燃料)原料としてのリサイクル、熱リサイクル、包装工程で発生するPTP(press through pack)シート端材のリサイクル等を推進しています。なお、昨今のプラスチック資源の利用抑制や資源循環の重要性の高まりを受けて、日本では2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。エーザイ株式会社および国内グループ企業では、廃プラスチック発生量を250トン未満にする取り組みを推進しています。

紙類廃棄物については、OA用紙の使用を必要最低限に抑え、保存文書電子化等のペーパーレス化を進めるとともに、古紙類の有価売却を推進しています。

サプライヤーに対しても、説明会やエンゲージメント等を通じて、「資源の循環利用」の目標設定、取り組みの促進を働きかけていきます。

 

 

 

<PTPシート端材のリサイクル>

医薬品の包装においては、主にプラスチックとアルミからなるPTPシート(右図)を利用することがあります。このPTPシートを作成する過程において、端材等のプラスチックごみが排出されます。これまで、当社の川島工場では、このプラスチックごみに関して、主に焼却処分による熱リサイクル(焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用するリサイクル手法)を行ってきました。

当社は、2024年4月より、川島工場の所在地である各務原市の取り組みに賛同し、「かかみがはらSDGsパートナー」の登録企業となりました。当社は、岐阜県関市に工場を置く松田産業株式会社(本社:東京都)と協力して、PTPシート端材をプラスチックとアルミニウムに分離し、それぞれをマテリアルリサイクル化するスキームを確立することにより、焼却処理に伴うCO2排出量削減に成功しました。現在、リサイクルされたプラスチックの製品化と活用を検討しています。
PTPシート

                     イメージ図

        

データ

廃棄物発生量の2030年度目標に対する進捗は、2024年度実績(指標:廃棄物発生量[t]/売上収益[億円])0.661であり、2024年度目標0.773を下回りました。廃棄物発生量は5,222トン(前年度比614トン減少)でした。理由として、前年度は新型コロナウイルス感染拡大が収束したことに伴う製品在庫(抗菌スプレー、抗菌ウエットシート)の廃棄が発生し、混合汚泥が増加したことが挙げられます。
また、リサイクル量(有価物を含む)は3,322トン(前年度比279トン減少)でした。
理由として、国内でPTPシート端材等のリサイクルを推進しましたが、前年度に全量リサイクルが可能であった廃棄物処理委託先が操業停止になり、廃棄物処理委託業者を変更したことが挙げられます。一方、リサイクル率(有価物を含む)は44.4%(前年度比0.7%増加)でした。リサイクル量(有価物を含む)は前年度から減少したものの、廃棄物発生量も前年度から減少したため、増加しました。
以上より、最終埋立量は155トン(前年度比±0)で、最終埋立率は2.97%(前年度比0.31%増加)となりました。最終埋立量は前年度と同じでしたが、廃棄物発生量が前年度から減少したため、最終埋立率は増加しました。

有害廃棄物発生量の2030年度目標に対する進捗は、2024年度実績(指標:有害廃棄物発生量[t])/(研究開発費+売上原価)[億円])0.119であり、2024年度目標0.107を上回りました。有害廃棄物発生量は353トン(前年度比89トン増加)でした。理由として、川島工場(岐阜県)の新注射剤/研究棟隣接地において、基準不適合となる汚染土壌が発見され、掘削により全量除去したことが挙げられます。

国内では、最終埋立率は0.21%で、ゼロエミッション(最終埋立量と廃棄物発生量の比を0.5%以下)を17年連続で達成しました。また、廃プラスチックリサイクル率(有価売却を含む)は 89.4%で、目標 80%以上を達成しました。

<廃棄物発生量>

<有害廃棄物発生量>








<国内グループ>

廃棄物処理委託先の現地確認調査

国内グループでは、収集・運搬、中間処理及び最終処分について、優良産廃処理業者を中心に処理を委託し、委託先の現地確認調査を定期的に実施しています。2024年度は、リモートも活用し、国内グループ総計で31件の現地確認調査を実施しました。