化学物質管理

方針・基本的な考え

エーザイグループは、グローバルに展開するヘルスケア企業として「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)環境方針」を定め、地球環境の保全を重視した企業活動を展開しています。環境行動指針に「5. 化学物質の適正管理と使用量削減を推進し、環境汚染の未然防止に努めます。」と明記し、事業活動における化学物質の適正管理と使用量削減をグローバルに推進しています。

環境への影響が懸念されるPRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)対象物質や揮発性有機化合物(VOC)については、大気汚染防止のため、使用量削減や代替溶媒の利用、使用物質量を削減した合成方法の開発に研究開発段階から取り組んでいます。また、大気中への排出を最小限にとどめる工夫も製造工程に取り入れています。さらに、オゾン層破壊作用および強力な温室効果作用を持つ指定フロン(HCFC)や特定フロン(CFC)については、地球温暖化防止のため、排出を抑制するとともに、代替フロン(HFC)やノンフロン(NON)への移行を推進しています。

目標・アクション

PRTR対象物質の適正管理

医薬品の研究開発や生産に用いる化学物質中には、環境への影響が懸念されるPRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)対象物質が含まれており、取扱量、環境への排出量、廃棄物への移動量把握による適正管理が求められています。そのため、エーザイグループではグローバルにPRTR物質の適正管理を推進しています。

揮発性有機化合物の排出抑制

酢酸エチル、アセトン、メタノールなど大気中で気体として存在する揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)は、工場等から排出される窒素酸化物とともに光化学オキシダントの生成要因となります。そのため、大気汚染防止の観点から大気中への排出抑制が求められています。そのため、エーザイグループではグローバルに揮発性有機化合物の排出抑制を推進しています。

フロン類の適正管理

建物のエアコン、冷蔵・冷凍庫の冷媒などに使用される指定フロン(HCFC)や特定フロン(CFC)などのフロン類にはオゾン層破壊作用および強力な温室効果作用があり、地球温暖化の防止の観点から排出を抑制するとともに、代替フロン(HFC)やノンフロン(NON)への移行が求められています。そのため、エーザイグループではグローバルにフロンの排出抑制と代替フロンやノンフロンへの移行を推進しています。

体制・システム

エーザイグループでは、取締役会の監督の下、環境安全担当執行役が委員長を務める全社環境安全委員会を設置し、環境保全に関連した重要事項の審議・決定を行っています。温室効果ガスの排出削減や資源の有効利用などグローバルな活動を推進するとともに、国内外における環境リスクの把握やその対策の確立に向けた活動強化に取り組んでいます。本委員会で審議された内容のうち、全社に関わる重要な環境課題については、業務執行部門の最高意思決定機関である執行役会に報告、議論、決議され、実行に移されます。また、全社環境安全委員会で決議された事項については、国内ENW環境安全協議会およびグローバルエーザイカーボンニュートラル情報交換会において、国内外のグループ企業と情報共有し、連携して取り組んでいます。

エーザイグループ各事業所では、独自の環境マネジメント体制を構築し、環境活動を推進しています。国内主要生産拠点および蘇州工場(中国)、バイザッグサイト(インド)では、ISO14001取得に基づく活動を行っており、環境教育、環境リスク対応を目的とした教育訓練の実施など、意識面からの向上を図っています。さらに、環境関連法や条例・協定の遵守はもとより、内部監査専門組織による定期的な環境関連監査により、課題の発見・解決に努めています。

環境マネジメント推進体制

ISO14001認証取得事業所

  • エーザイ株式会社 川島工場、鹿島事業所
  • EAファーマ株式会社 福島事業所
  • 衛材(中国)薬業有限公司 蘇州工場
  • エーザイファーマシューティカルズインディア, Pvt. Ltd. バイザッグサイト

具体的な取り組み

PRTR対象物質の適正管理

国内グループでは独自の試薬管理システムにより試薬類の利用状況を把握するとともに、PRTR対象物質の使用量削減、環境への排出抑制に努めています。指定の取扱量を越えたPRTR対象物質に関しては、所在の都道府県へ遅滞なく届出を提出しています。

化学物質使用量は医薬品の生産量に大きく依存しますが、商業生産の段階では原薬の品質維持のため製造条件の変更は容易ではありません。そこで、グリーンサステナブルケミストリーの観点から、化学物質使用量削減、環境負荷のより少ない代替溶媒を利用した合成方法の開発に研究開発段階から取り組んでいます。揮発性が高いPRTR対象物質を使用する際には、大気中への排出を最小限にとどめる工夫も製造工程中に取り入れています。

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    環境へ配慮し社会の持続的発展を支える化学技術

揮発性有機化合物の排出抑制

国内主要工場・研究所では、PRTR制度対象物質と同様、使用量削減に努めると同時に、工程中からの排出が最小限になるよう設備の運用法を定めています。

フロン類の適正管理

国内グループでは、フロン含有設備の廃止や更新を計画的に行い、オゾン層破壊作用のない代替フロン(HFC)やノンフロン(NON)への移行を進めています。また、フロンには強力な温室効果作用があるため、定期点検により漏えい事故を防止するとともに、万一漏えい事故が起きた場合には、事故情報の即時共有・再発防止に努めています。設備廃止時には、フロン回収・破壊処理を確実に行い、回収業者からの引き取り証明書とともに筐体の廃棄処理を進めています。

データ

PRTR対象物質の適正管理

2022年度の国内グループにおけるPRTR対象物質総取扱量は328トンであり、前年度に比べ17%増加しました。HPLC分析用溶媒やがん、神経系薬剤の生産が引き続き高水準に推移しました。また、消化器系薬剤の生産量が増加しました。届出対象物質数は、昨年同様8物質でした。

揮発性有機化合物の排出抑制

「環境省が示す主なVOC100種」からPRTR対象物質を除いた55物質を対象に、国内グループ工場・研究所の取扱量と大気排出量の経年変化を下図に示します。2022年度、国内グループのVOC取扱量は1,114トンと前年度比ほぼ横ばいとなりました。大気排出量は、排出抑制の取り組みにより37.1トン(取扱量
比3.3%)にとどめました。

フロン類の適正管理

フロン排出抑制法に基づくエーザイ株式会社の2022年度フロン算定漏えい量は、327t-CO2となり、厚生労働省への届出閾値1,000t-CO2をフロン排出抑制法の施行以来7年連続で下回りました。

* 一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO)による「フロン排出抑制法」遵守状況−第2回格付け調査でAランクに選定されました。 (https://jreco-rams.jp/2022ranking/