マイセトーマへの取り組み

エーザイは、ヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。当社が注力する社会善実現の一つに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧があります。マイセトーマは第18番目のNTDsとして2016年に世界保健機関(WHO)がNTDsリストに追加しました。明確な感染経路や罹患者数等の基本的情報が不足していることから、最も顧みられない熱帯病の一つと呼ばれています。マイセトーマに苦しむ患者様と生活者の皆様の憂慮の解消をめざし、エーザイは国際的な非営利研究開発組織 のDrugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)、国際NGOである特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan)とパートナーシップを締結し、世界初のマイセトーマ治療薬の研究開発及び蔓延地域における疾病啓発活動に取り組んでいます。

マイセトーマに対するパートナーとの協働を
紹介するアニメーション動画

最も顧みられない熱帯病マイセトーマへのエーザイの挑戦

2015年

DNDiとマイセトーマ新規治療薬の創出に向けた共同開発契約を締結

エーザイ創製の抗真菌剤「ホスラブコナゾール(E1224)」について、2015年より非営利研究開発組織であるDNDiと協力し、マイセトーマの新規治療薬として共同開発しています。現在マイセトーマの最大蔓延国の一つであるスーダンのMycetoma Research Centre (MRC) においてフェーズⅡ/Ⅲ試験が進められています。本プロジェクトは日本発の新薬創出によるグローバルヘルスへの貢献をめざす公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund:GHIT Fund)の助成を受けています(詳細はこちらをご覧ください)。

2019年

AAR Japanとスーダンでのマイセトーマ啓発事業を支援する契約を締結

日本発の国際NGOであるAAR Japanは、マイセトーマ患者様の医療機関での早期受診・早期治療を促すために、マイセトーマ最大蔓延国であるスーダンで疾病啓発や医療支援を実施しています。エーザイは、AAR Japanの活動を支援し、2019年から協働を始めました。活動開始以来、約100名のマイセトーマ患者様に治療・手術を提供し、2400人以上の住民への疾患啓発を実施してきました。今後は中期的なマイセトーマ対策の目標を共有し、手術後の患者様への心理的ケアの提供や現地協力団体の能力強化など、より包括的かつ持続可能なソリューション提供をめざして協業を拡大していきます(詳細はこちらをご覧ください)。

子どもたちにマイセトーマについて
お話しするAAR Japanスタッフ

2022年

AAR Japanとのマイセトーマ協働事業が厚生労働省令和4年度「医療技術等国際展開推進事業」に採択

AAR Japanとともに推進している「スーダンにおけるマイセトーマの対策能力強化と認知度向上事業」が厚生労働省による令和4年度「医療技術等国際展開推進事業」に採択され、その一環として長崎大学熱帯医学研究所の協力を得て、スーダンでマイセトーマの現地対策に携わる協力団体や医療関係者に対するオンライン研修を実施しています。本研修では、マイセトーマ対策に向けたAAR Japanとの協働のほか、マイセトーマ新規治療薬として開発している当社創製の抗真菌剤「ホスラブコナゾール(E1224)」、ヒト・動物の健康と環境に分野横断的に取り組むOne Healthの重要性などについて紹介しています。

オンラインを通じてスーダンの現地協力
団体や関連団体から19名が参加
スーダン国内のNTDs対策ネットワーク
の設立に向けて議論する参加者

画像出典:AAR Japan活動レポート
現地での活動についてこちらの最新記事をご覧ください。