世界で最も顧みられない病気の一つである真菌性菌腫の治療薬開発

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2016年1月8日掲載

適応疾患:真菌性菌腫(Eumycetoma)

技術タイトル:E1224(ホスラブコナゾール)—抗真菌剤の臨床第II相試験

菌腫(マイセトーマ)はある種の細菌あるいは真菌の感染を原因とする慢性、進行性の局所感染症であり、手足の皮下に腫瘍様の病変を生じます。近接する組織を破壊していき、侵された四肢の機能を奪います。マイセトーマに関する伝播の状況、有病率、感染経路、および治療感受性などについての情報は世界的に著しく不足しています。

真菌性菌腫(eumycetoma)は真菌を起因とする、アフリカ大陸などの熱帯および亜熱帯地域に多く見られる感染症で、中でもスーダンでは特に広く蔓延しています。明確な感染経路は解明されていませんが、一般的には汚染された植物のとげの上などを裸足で歩くことにより真菌が皮膚から体内に侵入して感染すると考えられています。主な症状は手足に現われる巨大な腫瘍で、症状が進行すると歩行や労働が困難になり、蔓延地域において偏見による差別などの社会問題や経済的損失を引き起こす要因となっています。

現在使用されている真菌性菌腫の治療薬は高価である上、毒性が強く、また12カ月の投与で患者様の約30%しか治癒しないといった問題があります。治癒しない場合、感染が全身に広がり、繰り返し壊死組織の切除・切断手術が必要となるリスクもあり、新たな治療薬の開発が求められています。

エーザイは、Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)(本部:スイス、ジュネーブ)と、真菌性菌腫に対する新規治療薬として、エーザイが創製したアゾール系抗真菌剤E1224(ホスラブコナゾール)の共同開発を行う契約を締結しました。E1224の活性体であるラブコナゾールは、前臨床研究において真菌性菌腫に対する強い抗真菌作用を示すことが確認されており1、この契約締結により、エーザイとDNDiはホスラブコナゾールの真菌性菌腫の患者様を対象とした臨床開発を行い、その有効性および安全性を検証します。本試験は2016年からDNDiおよびスーダンのハルツーム大学菌腫研究センター(MRC)により開始される予定です。
(ご参考 https://www.eisai.co.jp/news/news201561.html

  • 1
    PLoS 顧みられない熱帯病 2014年6月19日 8巻6号: e2942. doi: 10.1371/journal.pntd.0002942. eCollection 2014.

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