当社は、各国の医療制度や所得水準に関わらず、すべての人々が公平に健康を享受し、自分らしく生ききる世界を目指し、必要とするすべての人々に必要な医薬品をお届けするための医薬品アクセスの向上に取り組んでいます。
- 医薬品アクセスに関する当社の考え方
- 当社の取り組み
- 医薬品アクセス向上に向けた研究開発
- 知的財産権と医薬品アクセス
- 新興国・開発途上国における柔軟な価格政策
- 外部評価(医薬品アクセスインデックス(Access to Medicine Index))
医薬品アクセスに関する当社の考え方
近年の目覚ましい医療や治療薬の発展にもかかわらず、世界にはいまだに治療薬がない疾患や、必要な医療が届かない地域があります。事実、適切な治療・診断方法が確立されていない、貧困や医療システムの不備、医療に係る情報格差などが存在し、いまだに世界で20億人以上の人々が必要な医療を受けることができず、必要な医薬品を入手できない状況にあります※1。
当社グループは、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する」という「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」理念のもと、すべての人々が公平に健康を享受し、自分らしく生ききる世界を目指し、必要とする人々に必要な医薬品をお届けするための医薬品アクセスの向上に取り組んでいます。
- ※1Access to Medicine Foundation “5 Billion People Have Access to Medicine, 2 Billion to Go” Strategic Direction 2017-2019 (2025年9月30日最終アクセス)
詳細はこちらをご覧ください。
当社の取り組み
医薬品アクセスの向上に関する当社の取り組みを紹介します。
医薬品アクセス向上に向けた研究開発
研究開発型のグローバル製薬企業として、当社グループでは、最先端の知見や技術を各種疾患領域に応用しながら創薬研究活動を行っております。hhc理念に基づき社会善を効率的に成し遂げるため、患者様の喜怒哀楽を理解し、患者様が明示的・暗黙的に持たれている課題に対して、革新的な治療や予防手段をより早く提供することにより、患者様、日常生活者の皆様が日々感じておられる健康上の憂慮を解消し、医療較差を是正し、患者様の生ききるをささえることが研究開発活動の目的であると、当社は考えています。
認知症領域やがん領域に加え、開発途上国においてニーズは高いにも関わらず、先進国の製薬企業の創薬対象とされてこなかった、顧みられない熱帯病(NTDs)や、未だ多くの死者が出ており新薬創出の必要性が高いマラリアに対する創薬も、医薬品アクセス向上に向けた重要な研究開発活動であると考えています。
上記の疾患に対する創薬によって社会善を効率的に成し遂げるには、その疾患研究のためのツール・技術や、疾患が蔓延している地域での臨床試験の経験、治験施設とのネットワークなどが必要です。当社のNTDsやマラリア等に関する多くのプロジェクトは、Product Development Partnershipといわれる、アカデミアと、疾患蔓延地域における高質な臨床試験実施能力および世界的な研究のネットワークを有する国際的な非営利研究機関とのパートナーシップで推進しています。このパートナーシップの中で互いの強みを最大限に持ち寄り官民連携基金やグローバルヘルスを支援する外部資金を活用することで、開発リスクやリソースを分散しながら、研究開発を効率的に、迅速に進めることができると考えています。
世界中のより多くの患者様・感染リスクにさらされている人々に、一日も早く当社製品をお届けすべく、研究開発活動を展開してまいります。
顧みられない熱帯病・三大感染症に対する研究開発パイプラインは、こちらをご覧ください。
知的財産権と医薬品アクセス
当社グループは、hhc理念のもと、患者様に新たな治療方法を提供するため、日々新たな医薬品の研究開発に取り組んでいます。この目的を達成するため、自社研究にとどまらず、オープン・イノベーションによって、自社の研究成果を他社との提携により治療薬に結びつける努力を行うほか、特許制度を利用し、当該成果を技術として最速に公開することで、医薬品の研究開発に携わる業界全体にも寄与しようと試みています。
新たな医薬品を世に出すには、莫大な時間、労力および費用が必要となります。特許制度は、発明を公にし、かつ、適切に保護することを確保することで、一早く、患者様やそのご家族に医薬品を届けるためのリソース投入を促進させるものです。
1.特許制度と医薬品アクセスとの関係
特許制度自体が医薬品アクセスの観点で患者様に不利益をもたらしているとの批判があります。しかしながら、特許制度による技術の早期公開がなければ新たな医薬品の開発は停滞することになります。特許権による発明の一定期間に限定された適切な保護がなければ、当社のような研究開発型の製薬企業は、医薬品創製のための研究開発活動への多大な資源を投入することができず、結果として、新たな医薬品が開発されず、却って新薬へのアクセスが阻害されることとなります。なお、貧困層の患者様への医薬品アクセス上の課題については、当社が新興国で実施しているPatient Assistance Program等の患者様支援プログラムや下記2および4の項目で述べている施策により改善されていくと考えています。
2.医薬品アクセスの改善
当社グループは、感染性疾患、顧みられない熱帯病(NTDs)、並びに妊産婦および新生児の疾患において、医薬品市場が未成熟である国々1)や医薬品生産体制が整っていない国々2)の患者様に私たちの特許製品を供給する目的でその医薬品を製造することを希望する適格な第三者に対して、通常実施権を与えることを誠実に考慮します。
3.常緑化
研究開発型の製薬企業が、複数の特許により医薬品の寿命を延長していることについては、常緑化(ever-greening)との批判を受けることがしばしばあります。確かに、医薬品の寿命を延長することのみを目的とした特許を取得することには賛同できません。しかしながら、新規な製剤や新規な効能等に係るものなど、基本特許満了後に存続する特許が、患者様にとってより価値の高い公共の利益に資するものについては、hhc理念を実現していくものとして、当社は特許権を維持してまいります。
4.医薬品アクセスが困難な国や地域における権利行使について
当社グループは、hhc理念に基づき、必要とする人々すべてに医薬品へのアクセスを確保すべきと強く認識しています。医薬品市場が未成熟である国々1)においては、医薬品アクセスを高めることこそが重要であり、感染性疾患、顧みられない熱帯病(NTDs)、並びに妊産婦および新生児の疾患では、特許権を行使しません。また、当社は 世界銀行の評価による“Lower-middle-income Country”(LMIC)および“Upper-Middle-Income Country”(UMIC)においても、上記疾患の範囲内で、医薬品アクセス状況や経済状況等に応じて権利を行使しないことを考慮します。
5.TRIPS art31bisの修正
当社は、医薬品生産体制が整っていない国におけるアクセス提供策としてのTRIPS3) art31bis4)の修正は、知的財産権による保護と公衆衛生上の利益保護の要請に合理的なバランスをとりつつ、これらの国に医薬品を提供できるようにしたものと理解しています。
6.TRIPS plus5)
TRIPSの規定の多くは、最低限度を保障するものであり、世界貿易期間(WTO)加盟国がその国の産業政策の一環として、より強い保護を定めることを禁ずるものではありません。各加盟国は、WTOの精神に則り、国民の健康に最も利益をもたらし、医薬品を求めるすべての国民に行き渡るよう、法整備を進めていくべきです。
- 1)国連の評価により“Least Developed Countries”(LDC)および“Low Human Development Country”(LHDC)とされた国々、並びに世界銀行の評価により“Low-income Country”(LIC)とされた国々は、医薬品市場が未成熟である国々の例です。
- 2)LDC、LHDC、LIC、および世界銀行の評価による“Lower-middle-income Country”(LMIC)および“Upper-Middle-Income Country”(UMIC)におけるサブサハラ・アフリカ(Sub-Saharan Africa)(南アフリカを除く) の国々は、医薬品市場が未成熟である国々や医薬品生産体制が整っていない国々の例です。
- 3)TRIPS(知的財産権の貿易的側面に関する協定):知的財産権全般の保護を規定する多国間協定。WTO加盟国(2022年9月現在164カ国・地域)において適用される。
- 4)TRIPS art31bis:2005年12月6日開催のTRIPS理事会において決定されたTRIPSの修正案。強制実施権により製造された特定の医薬品につき、一定の条件のもとでTRIPS第31条(f)の履行義務を免除し、輸出を可能とする規定。
- 5)TRIPS plus:一般にWTO加盟国が協定において要求される保護よりも広範な保護を行うことを指すといわれている。なお、TRIPS自体は広範な保護を認めている(Art 1)。
新興国・開発途上国における柔軟な価格政策
製薬産業は、継続的な新薬開発、安定的な製品供給、適正な医薬品情報の提供によって患者様のベネフィット向上に貢献してきました。近年、新薬の開発は進んできましたが、未だ治療法が確立されておらず治療薬が開発されていない疾患も多く、今後も新薬開発の重要性は変わることはありません。
また新興国・開発途上国の一部においては、人口増加や経済発展により、中間所得層が拡大し、医薬品の需要が急速に増加しています。しかし、多くの国々では社会インフラや健康保険制度等を含む医療供給体制の整備が進んでいないこと、疾患・治療の認知度が低いこと、経済的理由などにより、十分な医薬品アクセスが確保されていない状況も見られます。
当社グループは、リージョンごとに成長戦略を策定、遂行しており、医薬品アクセスの向上が特に必要と考えられるイーストアジア・グローバルサウスにおいては、画期的な新薬の開発・販売を通じた患者様貢献に加えて1)Patient Assistance Program、2)疾患ソリューションの提供、3)官民パートナーシップ、4)ローカル・パートナーシップをコア戦略として掲げ、医薬品アクセスの課題解決に複合的に取り組んでいます。
1. Patient Assistance Program
新興国・開発途上国の多くでは、医療保険制度が整備されていない、あるいは加入者数や保険償還される医薬品の種類が限定的なため、国民の医療費の自己負担比率が高くなっています。これらの国では、先進国と比較して国民の平均所得は低く、多くの人々が十分な医薬品が入手できないという困難な現状にあります。
当社では、開発途上国・新興国において当社医薬品を購入しやすい価格で提供するために、Patient Assistance Programを推進しています。抗がん剤「レンビマ®」、「ハラヴェン®」等を中心に、患者様の所得レベルや利用される保険制度に応じ段階的に薬剤を提供するプログラムを策定および実施することで、患者様の自己負担額の軽減に努めています。アジア各国、及びグローバルサウス地域において本Patient Assistance Programを展開することにより、経済的に薬剤費用を負担することが困難な患者様への薬剤アクセスを支援してまいります。
2. 疾患ソリューションとブランドジェネリック医薬品の活用
当社グループは、アルツハイマー型認知症やてんかんなどの中枢神経疾患を中心に、自社開発や他社からの導入を通じて新薬を提供し、それらの疾患領域についての知識を蓄積してきました。患者様視点から見た疾患ソリューションとして幅広い製品の取り揃えを進め、その一環としてブランドジェネリック医薬品の提供も行っています。
3. 疾患・治療の認知度の低さに対する取り組み:官民パートナーシップ(PPP: Public-Private Partnership)
特に新興国・開発途上国においては、疾患あるいはその治療法の認知が十分ではないため、診断・治療の機会を得られない潜在的な患者様が数多くいます。このような課題の解決には、当社単独の取り組みだけではなく、政府関連の公的機関、民間企業、非営利団体など、各団体の知識やリソースを補完的に活用し、疾患啓発活動や診断方法の開発・提供などに取り組んでいます。
4. ローカル・パートナーシップの推進
事業環境、医療環境が国ごとに大きく異なる新興国において、いち早く、より多くの患者様のニーズに合致した医薬品をお届けするために、当社グループではローカル・パートナーとの連携を積極的に推進しています。各国で異なる医療ニーズをよく把握しており、また独特の商慣習についても経験豊富なローカル・パートナーと提携することにより、患者様の医薬品アクセスの改善を目指します。また当社グループは、ローカル・パートナーと自社品の製品情報を共有するのみならず、生産技術移譲を通じた当該国における生産能力向上にも取り組んでいます。
外部評価(医薬品アクセスインデックス(Access to Medicine Index))
「医薬品アクセス財団」(Access to Medicine Foundation)による外部評価です。詳細は、こちらをご覧ください。