脱炭素社会形成

方針・基本的な考え

エーザイグループは、グローバルに展開するヘルスケア企業として「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)環境方針」を定め、事業活動を通じた環境負荷の低減に取り組んでいます。ENW環境方針では、「3. 温室効果ガスの排出削減や省エネルギーを推進し、気候変動の緩和に貢献します。」と明記し、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。

エーザイグループは、パリ協定の目標および各国・地域が定めるNDC(国が決定する貢献)の達成に向け、温室効果ガス排出削減や再生可能エネルギーの普及など、気候変動緩和と脱炭素社会への移行を促進する政策・法規制の方向性を踏まえ、取り組みを進めます。

また、科学的知見を踏まえ、当社の気候変動に関する取り組みをパリ協定の1.5℃目標と整合させることを重視しています。気候変動に関するイニシアティブに参加するとともに、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会をはじめとする業界団体等との情報交換や活動への参画を通じて、気候変動に関する政策動向の把握および意見形成に取り組みます。

加盟する業界団体等が示す気候変動に関する方針や政策提言については、当社の環境方針および気候変動目標との整合性を必要に応じて確認します。重大な相違が認められた場合には、当該団体との対話や意見表明など、適切な対応を検討します。その取り組みの一環として、パリ協定が掲げる1.5℃目標との整合を図り、2023年11月にSBTイニシアティブからSBT1.5℃目標(Science Based Targets:科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標)の承認を取得しました。また、2023年12月にはJCI(気候変動イニシアティブ)から2050年ネットゼロ*1達成にコミットするJCI Race to Zero Circle*2への参加承認を取得しました。さらに、2021年9月にはRE100(事業活動に使用する電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることをめざす国際的なイニシアティブ)に加盟し、2030年度までの目標達成をめざしています。

当社グループのみならず、ビジネスパートナーとも連携を深めながら、中長期目標の達成に取り組んでいます。

*1 ネットゼロ(SBTイニシアティブネットゼロ基準による定義)
‐スコープ1、2、3の排出量をゼロにするか、もしくは適格な1.5℃シナリオまたはセクター別経路において、グローバルまたはセクターレベルでのネットゼロ排出達成と整合する残余排出量水準まで削減
‐ネットゼロ目標の時点における残余排出量およびそれ以降に大気中に放出されるすべてのGHG排出量を中和すること

*2 JCI Race to Zero Circleは、Race to Zeroキャンペーンが2026年8月6日に終了したことに伴い、活動を終了しました。当社は、2023年12月の参加承認取得から同Circleの活動終了まで参加しました。

目標・課題・アクション

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目標課題アクション実績(2025年度)

気候変動の緩和

  • SBT1.5℃目標
    • 2030年度までにスコープ1+2を55%削減(2019年度比)
    • 2030年度までにスコープ3、カテゴリー1を27.5%削減(2019年度比)
  • ネットゼロ目標
    • 2050年までにネットゼロを達成
  • スコープ1+2
    • 次世代エネルギー技術および脱炭素技術、関連インフラの普及
    • 再生可能エネルギーの安定的な確保
  • スコープ3
    • サプライヤーの排出量の把握と適切な目標設定、確実な推進
  • スコープ1+2
    • 省エネ、電化
    • 低炭素・再生可能燃料への転換

    • 太陽光発電(自社)、再エネ証書の活用
    • 営業車両におけるハイブリッド車/電気自動車の導入

    • ICPによる環境投資の着実な推進

  • スコープ3
    • サプライヤーエンゲージメントの強化
  • スコープ1+2
    • 58.3%減少(2019年度比)
    • 再生可能エネルギー導入率:99.7%(購入電力に限る)*3
    • 国内営業車両
      HV化率:97.2%

      EV化率:2.8%

  • スコープ3、カテゴリー1
    • 66.4%増加(2019年度比)*4
*3 外部電力に限る

*4 算定対象データの見直しや算定方法の変更等を行った結果

 

Science Based Targets:科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標

気候変動の緩和に寄与するため、パリ協定が掲げる1.5℃目標との整合を図り、SBT1.5℃目標 *5(Science Based Targets:科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標)を設定し、事業活動に基づくCO2排出量の削減に取り組んでいます。

  1. 2030年度までにスコープ1+2を55%削減(2019年度比)
  2. 2030年度までにスコープ3、カテゴリー1を27.5%削減(2019年度比)
*5  国際的NGOであるSBTi(Science Based Targets initiative)からの認定を受けています。(https://sciencebasedtargets.org/)
 

2050年ネットゼロに向けた活動

2025年度も、グローバルで温室効果ガス排出量の削減に向けた様々な施策を推進しました。省エネルギーの継続、電化への切り替え、再生可能エネルギーの導入、国内営業車両の「ハイブリッド車/電気自動車化」率100%に向けた取り組み、ICPによる環境投資の着実な推進、サプライヤーへの働きかけ等を展開しました。

さらに、2030年度のSBT1.5℃目標および2050年ネットゼロの達成に向けて、「気候変動緩和のための移行計画」を精緻化しました。シナリオ分析、リスク・機会の評価、温室効果ガス排出削減に向けた戦略とロードマップの構築、財務・投資計画との連動、ガバナンス体制の整備などを盛り込んだ具体的かつ実効性を高めた計画を策定しました。2026年度以降の各年度の設備投資計画に組み込み、本移行計画に沿った取り組みを推進しています。

気候移行計画

気候移行計画
    

主な施策

1)エネルギー転換、省エネルギー(高効率設備導入、運用法改善)

  • 低排出係数を持つエネルギー種への転換:軽(重)油→ガス→電気、非化石燃料の利用
  • 高効率設備の導入と運用

2)営業車両のハイブリッド車/電気自動車化

 

3)再生可能エネルギーの導入

 

投資金額およびCO₂排出削減効果(予定)

2026年度から2028年度までの3ヵ年計画における、設備更新等を含む脱炭素関連の環境投資額を、累計約50億円と試算しています。エネルギー転換・省エネルギー、再生可能エネルギーの導入等を推進するとともに、営業車両のハイブリッド車/電気自動車化の検討を進め、3年間で累計約7,000トンのCO₂排出削減を見込んでいます。

※エーザイグループは、バリューチェーン全体のGHG排出量の削減を最優先に取り組みます。その上で、2050年のネットゼロ達成時点において削減が困難な残余排出量については、新規技術の開発・実用化の動向や、信頼性の高い炭素除去クレジット等の活用可能性を踏まえ、中和に向けた対応を検討していきます。    

体制・システム

環境マネジメント推進体制を構築し、グローバルな活動を推進するとともに、国内外における環境リスクの把握やその対策の確立に向けた活動強化に取り組んでいます。

環境マネジメント推進体制と環境監査 

https://www.eisai.co.jp/sustainability/environment/management/structure/index.html

具体的な取り組み

具体的な取り組みとして、川島工場(岐阜県)では、第3製剤棟に空調用ヒートポンプを導入するとともに、カフェテリア管理棟においてZEB*6認証を取得しています。海外サイトにおいても、蘇州工場(中国)では、2025年2月よりボイラーの利用を停止し、自治体からパイプラインで供給される蒸気へ切り替えたことで、2025年度は約350トンのCO2排出量を削減しました。また、同工場では、2024年3月から省エネ管理システムの本格運用を開始し、機器の稼働データを取得・分析することで、電力消費の最適化を進めています。さらに、欧州ナレッジセンター(英国)では、サイト内で使用する天然ガスをバイオガスに切り替え、2025年度は約1,900トンのCO2排出量を削減しました。今後も、国内外の工場・研究所を中心に再生可能エネルギーの導入を進めていきます。

 

当社営業部門では、医療従事者とのリモート面談による情報提供を推進するとともに、営業活動における公共交通機関の利用を推奨しています。また、2024年度末には国内営業車両の「ハイブリッド車/電気自動車化」率100%を達成し、2025年度もその状態を維持しています。

 

さらに、当社グループでは、CO2排出削減効果を金額換算し、投資判断に反映するインターナルカーボンプライシング(ICP:社内炭素価格)制度を2022年度に導入し、継続的に活用しています。社内炭素価格は、欧州の炭素税や排出権取引価格を参考に1トンあたり11,000円(80ユーロ[2022年当時])に設定し、設備投資時の環境価値として評価しています。

 

また、RE100加盟企業として、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた政策提言活動にも参画しています。2023年度には、Climate Groupが主催する「RE100 Japan Policy Working Group」のメンバーとして、日本における再生可能エネルギーのさらなる普及に向けた政策提言の策定に参画しました。さらに、日本製薬団体連合会(日薬連)の環境活動にも参画し、温室効果ガス排出量データの提供や業界全体の環境データ、各社の取り組み事例(ベストプラクティス)の共有などを通じて、製薬業界全体の脱炭素化に貢献しています。

 

*6  ネット・ゼロ・エネルギー・ビルの略称。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物

(出典:環境省ZEB PORTAL https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/index.html#phraseology)

 

データ

  • Science Based Targets:科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標

SBT1.5℃目標の達成に向け、全社一丸となって温室効果ガス排出削減を着実に推進しています。

2025年度のスコープ(1+2)排出量は43,906トンであり、前年度比88.5%でした。SBT1.5℃目標では58.3%減少(2019年度比)となり、目標を達成しました。

   

   

SBT進行状況

  

注) 2019年度のスコープ(1+2)の排出量実績とSBT1.5℃目標の基準年(2019年度)のスコープ(1+2)の排出量は異なります。SBT1.5℃目標の基準年の排出量は、2023年度以降のバウンダリの調整などで102,512トンとなっています。

 

 

営業車両における取組

2025年度の営業車両由来のCO₂排出量は、グローバルで主力事業の拡大が続いたものの、10,524トンと前年度比約15.6%減少しました。日本では、エーザイ株式会社およびEAファーマ株式会社において、ガソリン車の「ハイブリッド車/電気自動車化」率100%を維持し、前年度と同水準となりました。米国では、ガソリン車を中心とするICE(内燃機関車)からハイブリッド車への切り替えが進展し、排出量を前年度比約20.3%削減しました。また、EMEAでは、ディーゼル車からハイブリッド車への切り替えにより、排出量を前年度比約11.0%削減しました。今後も、グローバルでハイブリッド車/電気自動車を計画的に導入し、CO₂排出量の削減を推進します。

 

  営業車両における取組

  

再生可能エネルギー導入実績

再生可能エネルギーの導入を積極的に推進しています。川島工場および鹿島事業所、エクストンサイト(アメリカ)、バイザッグサイト(インド)では、自家発電方式の太陽光発電設備を稼働しています。また、蘇州工場(中国)では、PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)電力を活用しています。さらに、再エネ100%電力メニュー導入や非化石証書(国内)・再エネ証書(海外)購入等を積極的に推進しました。これらの取り組みにより、事業活動に使用する電力への再生可能エネルギー導入率は、99.7%(外部購入電力に限る)*7と高水準を維持しました。

*7 化石燃料使用によるコジェネ発電分を含むと導入率は99.2%になります。 

 

                      再生エネルギー導入実績

 

スコープ3の削減に向けて

スコープ3、カテゴリー1の「購入した製品・サービスに基づく排出量」については、2022年度のSBT1.5℃目標設定時、および2024年度、2025年度に、算定対象データの見直しや算定方法の変更など算定の精緻化を行いました。その結果、2025年度の排出量は759,554トンとなり、2019年度比で66.4%増加、前年度比で8%減少しました。また、当社のScope3排出量852,159トンに占めるカテゴリー1の割合は89%です。今後は、サプライヤーとの連携を強化するとともに、サプライヤーによるCO2排出量削減の実績を示す1次データを集計に反映するなど、より実態を反映した集計方法を確立し、スコープ3の排出量削減を推進します。

 

 

スコープ3の削減に向けて

注)2019年度のスコープ3の排出量実績とSBT1.5℃目標の基準年(2019年度)のスコープ3の排出量は異なります。SBT1.5℃目標の基準年のスコープ3排出量は、2023年度以降のバウンダリの調整などで548,122トンとなっています。
 

2025年度スコープ3実績
 

CDPコーポレート質問書

CDPは、世界の機関投資家の要請を受け、企業の「環境リスク(気候変動、水セキュリティ、森林減少)に対する取り組み」を評価し、情報開示する国際的NGOです。エーザイグループは、2015年より、「CDP気候変動レポート」に回答しています。2025年に回答した「CDPコーポレート質問書2025」では、気候変動、水セキュリティともに、8段階評価(「A」、「A-」~「D」、[D-])のうち最高評価である「A」評価(リーダーシップレベル)を2年連続で獲得しました。さらには、サプライチェーンの環境に配慮したビジネス展開やサプライヤーへの働きかけが高く評価され、「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」にも2年連続で選定されました。

                 

CDP Aリスト
CDP