中国における認知症への理解を向上するためのプロジェクト「Remember I Love You」

  • シェア
  • ツイート
  • シェア
  • ツイート

2019年3月18日掲載

中国では、急速に高齢化が進んでいます。2030年代には世界最大の高齢化国となり、60歳以上の高 齢者が全人口の30%以上を占めると推定されていますが、社会全体の認知症に対する理解は不足して います。認知症患者様の中で診断を受けた方は21%に過ぎず、また診断を受けた方の中で適切な治療 を受けた方は19.6%に過ぎないと報告されています

  

エーザイ中国では、認知症の疾患啓発や受診率の改善に向けて様々な取り組みを実施しています。こ の活動全体を「Remember I Love You」と名づけています。

  

出典:Chinese Journal of Neurology, Volume 46, Issue 1

ソーシャル・メディアを活かした疾患啓発活動 〜Yellow Wristband〜

プロジェクトの一環として、China Population Welfare Foundationとパートナーシップを組み、中国最大のソーシャル・メディアWechatにおいて、「Yellow Wristband(黄色リストバンド)」と名づけた公式アカウントを立ち 上げました。その理由は、中国では黄色リストバンドが認知症の印とされているからです。

Yellow Wristbandアカウントでは、認知症やそれに関連する各疾患の紹介記事、動画による認知症の症状、介護のノウハウなどの解説を定期的に更新しています。簡易な診断ツールや全国認知症外来リストなどの情報提供も行っています。約5.9万人(2018年5月末時点)がYellow Wristbandに登録しました。今後も分かりやすく、役立つ情報を拡充し、より多くの方々に疾患啓発活動を展開していきます。

  

Yellow Wristband

多面的なアプローチによる疾患啓発活動

ソーシャル・メディア以外にも、高齢者の方々との「共同化」や、医師・介護者とのディスカッションを通じて、現場のニーズを把握しながら様々な疾患啓発活動を行ってきました。例えば、公園やコミュニティ施設における認知症ブースの設置、中国の認知症専門医を招いたメディアセミナー、新聞や雑誌での認知症に関する特集掲載などに取り組んでいます。hhc活動、学術交流会、介護施設との連携を通じて認知症に対する正しい理解を推進し、認知症患者様や高齢者の方々が安心して暮せるまちづくりに取り組んでいきます。

  

Yellow Wristbandの患者様への提供

認知症簡易診断の様子

エーザイ社員が介護施設で
患者様と交流している様子

「Remember I Love You」プロジェクトメンバーの感想

私たちは、患者様、そのご家族や一般の人々に対して認知症に関する正しい情報を提供し、疾患啓発と早期の受診に長年取り組んできました。これまでに、患者様の住所や連絡先がQRコードに登録された約25万個の「Yellow Wristband」を認知症患者様とご家族の方々に配布しました。実際、「Yellow Wristband」のおかげで、道に迷った患者様が無事に帰宅できたことがあります。

「Yellow Wristband」アカウントには、全国のメモリークリニックの情報、介護の知識やノウハウ等を分かりやすく掲載しています。これらの活動を通じて、私たちの活動が患者様とそのご家族に貢献していると実感しており、仕事をする上で大きなモチベーションになっています。

  

「Remember I Love You」プロジェクトの主要なメンバー