プレクリニカルアルツハイマー病治験概要

治験の目的

この治験は、認知機能障害などアルツハイマー病の症状が現れる前の「プレクリニカルアルツハイマー病」の方を対象に、プラセボ(偽薬)との比較により治験薬の効果と安全性を詳しく調べることを目的としています。

プレクリニカルアルツハイマー病(プレクリニカルAD)とは

アルツハイマー病は認知症の最も一般的な原因疾患です。アルツハイマー病では、脳内にアミロイドベータという小さなたんぱく質が多く存在することにより、脳の細胞が壊れると考えられています。これにより、主な症状として記憶障害、時間に関する見当識障害(日付や時間がわからなくなる)などの認知機能の障害が起こり、最終的には日常生活に支障が生じることで「認知症」を引き起こします。
認知症に至るまでにはいくつかの段階があることが知られています。認知機能は正常であるが脳内にアミロイドベータなどの異常なたんぱく質が蓄積しているのみの段階、軽度の認知機能の障害がみられる段階、そして日常生活に支障が生じた認知症の段階です。その中でも、異常なたんぱく質の蓄積のみが認められる段階を「プレクリニカルアルツハイマー病」と呼び、これまでの研究から、「プレクリニカルアルツハイマー病」の段階にある方は、認知症の段階である「アルツハイマー型認知症」に進行しやすいといわれています。

治験に参加いただける/参加いただけない主な条件

以下に参加いただける/参加いただけない主な条件を記載します。

治験に参加いただける方

  • 1.

    年齢が55~80歳の方

    ただし、55~64歳の方は以下のいずれかに該当する方のみが対象となります。

    • 親または子が75歳よりも前に認知症の発症を診断された方
    • アポリポ蛋白E遺伝子のイプシロン4型を有する方
    • 過去のアミロイドPET検査または脳脊髄液検査により、脳内アミロイドベータの蓄積が推定されている方
  • 2.
    認知症の診断を受けておらず、認知機能の障害が認められない方
  • 3.
    約4年間の治験期間中、治験に協力いただけるパートナー(ご家族、同居人や毎週連絡を取り合う人)がいる方

治験に参加いただけない方

  • 1.
    MRI検査を受けられない方(心臓ペースメーカー、除細動器、磁性の金属インプラントなどを使用している方)
  • 2.
    薬に対してアレルギーがある方

このほかにも心臓や腎臓、肝臓などの重い病気にかかっている方や悪性腫瘍を有する方は治験に参加できません。
また、これら以外にも治験に参加いただけるか、いただけないかの条件があります。治験を実施している医療機関において、医師がその他の条件とあわせて再度参加の条件に適しているかを確認させていただきます。その結果、治験に参加できない場合もあります。