マーケティング

エーザイは長年にわたり蓄積してきた経験知とパートナーシップを活かし、患者様貢献の早期最大化を実現できるよう、グローバルにマーケティング活動を展開しています。

強み その1:グローバルな自社マーケティング展開による経験知の蓄積と共有

マーケティング活動におけるエーザイの最大の強みは、長年にわたり自社でグローバルにマーケティング活動を展開し、経験知の蓄積・共有を行ってきた点です。
エーザイの海外展開の歴史は、東南アジアで現地法人を設立した1960年代後半に遡ります。1990年代から2010年代前半には、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト®」、プロトンポンプ阻害剤「パリエット®」の拡大に伴い、米国・欧州・中国などの海外主要国で医薬品販売会社を設立しました。エーザイのマーケティング活動の基本的な形態は、自社単独マーケティング、または有力なパートナーとのコ・プロモーションであり、自社で売上を計上することを重要視しています。主要国で自社創製品のマーケティング活動を他社に完全委託したことはありません。医薬品に関する制度や商習慣は国ごとに異なるため、自社でグローバルにマーケティング活動を展開することは常に困難を伴いますが、その困難を乗り越えて経験知を蓄積し、将来の成長に活かすことが重要であると当社は考えています。このような経験知の蓄積を通じて、エーザイは日本・米国・欧州・中国・アジアにおいて確固たるビジネス基盤を構築するに至っています。
蓄積した経験知は、リージョンの枠を超えてグローバルに共有しています。例えば、「アリセプト®」の発売を通じて得た疾患啓発活動の経験知は、グローバルに共有されています。独占販売期間満了に伴い「アリセプト®」の売上は日米欧では減少しましたが、中国・アジアではその経験知を通じて発展した疾患啓発活動が奏功し、2017年度においても2桁成長を達成しています。また、末梢性神経障害治療剤「メチコバール®」は、日本では1970年代に発売された製品ですが、そのマーケティング手法は中国に受け継がれています。その結果、「メチコバール®」は中国事業では売上構成比33%を占めるトップ製品となっています。自社でグローバルにマーケティング活動を展開し、経験知の共有を行ってきたからこそ、このような成功事例が生まれたとエーザイでは考えています。

強み その2:患者様貢献の早期拡大を可能とするパートナーシップの展開

世界には、自らが抱える病気の治療薬を待ち望む患者様が多数いるため、新薬発売後は患者様貢献を早期に拡大する必要があります。また、薬には特許期間が存在するため、患者様貢献の早期拡大は経営の観点からも重要です。自社単独での販売は、多くの経験知を蓄積する上では有効な手法ですが、患者様貢献の拡大に時間が掛かることがあります。このため、有力なパートナーとのコ・プロモーションは、患者様貢献を早期に拡大する上で極めて有効な手段であるとエーザイでは考えています。
2018年3月、当社とMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(. 米メルク社)は、エーザイ創製の抗がん剤「レンビマ®」に関してがん領域における戦略的提携に合意しました。本契約に基づき、両社は、「レンビマ®」の単剤療法、ならびに米メルク社の抗PD-1抗体「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ)との併用療法における、共同開発と共同販促を行います。本提携により、複数の適応症で「レンビマ®」による患者様貢献を早期に最大化することが可能となり、エーザイ単独活動よりも売上収益は大幅に向上する見通しです。
神経領域では、次世代アルツハイマー病治療剤の共同開発・共同販促に関してBiogen Inc.と提携しています。開発中の次世代アルツハイマー病治療剤を円滑に患者様にお届けするためには、いくつもの医療環境や社会環境の整備が必要となります。これらの環境整備に向けて、Biogen Inc.とともに取り組むことは大変意義が大きいと考えています。

強み その3:複数の自社創製品の存在

現在売上収益が拡大している抗がん剤「レンビマ®」、「ハラヴェン®」、抗てんかん剤「フィコンパ®」の3品は、ともに自社創製品です。自社の研究開発部門の社員が数々の困難を克服して開発に成功した製品に対しては、マーケティング部門の社員も熱意を持って活動を行います。また、ロイヤルティ等の支払いがないため、自社創製品の利益率は提携品よりも高く、業績に大きく貢献します。
2000年代において、自社創製品である「アリセプト®」、「パリエット®」がエーザイの成長を支えました。これらに代わる新たな自社創製品の育成はエーザイの課題となっています。
「レンビマ®」は、米メルク社との共同開発と共同販促により、エーザイ単独活動よりも売上収益は大幅に向上する見通しであり、「アリセプト®」のピークセールス(3,228億円、2009年度)を超えるポテンシャルを有しています。また、開発中の自社創製のBACE阻害剤「elenbecestat」を含む次世代アルツハイマー病治療剤は、期待される効果を考慮すれば、「アリセプト®」のピークセールスを大きく上回る可能性が高いと想定しています。
複数の自社創製品の存在はエーザイの強みであり、今後はその育成により一層注力していきます。

機会と脅威を見極め、グローバルにマーケティング活動を展開

新興国や開発途上国では、経済発展や高齢化の進展に伴い、今後も医薬品市場の拡大が予想されます。一方、日本を含む多くの国々で、薬剤費削減策の推進に伴う薬価引き下げ圧力が高まっています。また、画期的な競合品の市場参入は当社製品の売上の減少につながる可能性があります。
これらの機会と脅威は市場ごとに異なっており、その見極めが重要となります。エーザイは、これまで培ってきた経験知やパートナーシップを活かして各市場の機会と脅威を的確に捉え、世界各国で患者様貢献の早期最大化を実現できるよう、グローバルにマーケティング活動を展開していきます。

適正な価格の取得をめざす

エーザイは、創出した医薬品を多くの患者様にお届けするために、適正な価格の取得をめざしています。
未だ満たされない医療ニーズに応える新薬をイノベーションによって創出し、世界の患者様に持続的にお届けするには、イノベーションの価値が適正に評価される必要があります。しかし、各国の社会保障費が増加する中で、新薬の価格が医療費を押し上げているとの懸念が世界的に高まりつつあります。このため新薬の価格の妥当性を広範囲に示すエビデンスへの要請が強まっています。
エーザイでは、グローバルバリュー&アクセスユニット(GV&A)が、医療経済学・アウトカム研究(HEOR)、および医療技術評価(HTA)の観点から適正な新薬の価格戦略を遂行しています。英国のユニットプレジデントの指揮のもと、新薬の経済性を評価する米国のユニットと、各リージョンと各国の薬価・医薬品アクセス担当者によりグローバルに活動を展開しています。GV&Aは、臨床試験から得られる有効性・安全性に加え、患者様の生活の質(QOL)の改善から得られる経済性の観点から新薬の価値を取りまとめ、製品価値情報資料(Value Dossier)を作成し、各国市場で適正な薬価の取得を推進するとともに、新薬への患者様のアクセス確保をめざしています。