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ニュースリリース

(1996年11月26日)

米国での臨床開発会社アルツハイマー病治療薬の新薬承認通知をFDAから受領

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国での臨床開発会社エーザイ・アメリカ・インク(略号:EAI)は、軽度・中等度のアルツハイマー病治療薬アリセプト(一般名:塩酸ドネペジル、開発記号:E2020)に対して、米国食品医薬品局(FDA)から医薬品としての承認通知を11月25日(米国時間)受領いたしました。アリセプトは軽度・中等度のアルツハイマー病患者の認知機能の賦活と全般臨床症状の改善において有効性が認められました。


 エーザイ株式会社代表取締役社長、内藤晴夫は「患者様とその家族のニーズの充足やヒューマンヘルス・ケアに対する取り組み、アルツハイマー病研究への我々の努力がこの新たな重要な治療薬の開発に結びついた」と述べ、ファイザー社会長兼最高経営責任者、ウイリアム・ステアは「アルツハイマー病は家庭内の悲劇である。アリセプトは臨床症状評価を改善することで患者様とその家族にベネフィットをもたらし、介護者の負担を軽減し、患者様の人間としての尊厳を維持させることになる」と述べています。


 900人以上の患者が参加したアリセプトの臨床試験では、投与患者群の80パーセント以上が24週の治療で、認知機能評価において「改善」または「不変」を示し、患者の全般機能、認知機能、行動、日常生活動作を内容とする、医師による臨床症状評価ではプラセボ(偽薬)に対しほぼ2倍の患者で「改善」を示しました。


 デイビッド・ゲルドマッカー医長(クリーブランド大学、ケースウエスタン・リザーブ大学)は「アルツハイマー病は進行性の神経変性疾患であるため、認知機能評価で改善したことも望ましい結果であり、アリセプトを服用した患者で知的機能が低下しなかったということも治療の有用性を示すものである」と述べています。


 アリセプトは全く新たなタイプの可逆的アセチルコリンエステラーゼ阻害剤です。アセチルコリンとは記憶と学習に関与している神経伝達物質で、アリセプトはこの酵素の働きを選択的に阻害することで、アルツハイマー病患者では脳内でこのアセチルコリンの濃度に低下がみられます。アリセプトは、その濃度を高め、コリン様作用機能を改善します。


 エーザイ・アメリカ・インクの研究開発担当上級副社長、ローレンス・フリードホッフ博士は「アリセプトの安全性と有効性により、軽度・中等度のアルツハイマー病患者に初めて有用な治療手段の一つを与えることになると信じている」と述べています。


 エーザイ・アメリカ・インクの臨床研究担当副社長、シャロン・ロジャース博士は「アリセプトはアルツハイマー病患者のニーズに応える上で大きな第一歩であり、アルツハイマー病の治療を変えるだろう」と述べています。


<アリセプトの有効性と安全性>
アリセプトの有効性と安全性は、プラセボを対照薬とする二つの第・相二重盲検試験で確認されました。それらの試験では、軽度・中等度のアルツハイマー病患者にアリセプトを1日1回5mgおよび10mgを2週から24週間投与し、経過を観察しました。


 アリセプトは高い安全性が確認されており、長期投与が可能です。臨床試験に参画した患者の約83パーセントの患者が計画通りに臨床試験を完了することができました。投与中止に及んだ副作用は主に吐き気、下痢、嘔吐で、それらは3パーセント以下の発現頻度でした。副作用の発生率は低く、臨床試験でみられた副作用は軽度かつ一過性のものでした。さらに、アリセプトでは肝機能検査の必要はありません。


 アリセプトによる治療では、初期投与量の5mgでも臨床効果が得られることが確認されています。また、投与開始、4週から6週間で5mgから10mgへ増量することにより、さらに高い効果が期待できることが、臨床データで示されています。


 アリセプトは米国で医師の処方箋により、1日1回投与の5mgまたは10mg錠として、まもなく入手可能となります。


<エーザイ株式会社とファイザー社について>
1994年11月、エーザイ株式会社とファイザー社はアリセプトの販売とアルツハイマー病および痴呆領域の新薬開発において戦略的提携を締結いたしました。アリセプトはこの提携における戦略品と位置づけられており、米国ではファイザー社と共同販促を行います。


 ファイザー社は全世界を舞台に活動する研究開発型のヘルスケア企業です。1995年の販売額は100億ドルを越え、1996年は17億ドル以上を研究開発活動に投資する計画です。