デュアルオレキシン受容体拮抗剤レンボレキサントの創製「2024年度 日本薬学会創薬科学賞」を受賞

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、当社が創製したデュアルオレキシン受容体拮抗剤レンボレキサント(製品名:「デエビゴ®」)の創薬研究が、日本薬学会より「2024年度 日本薬学会創薬科学賞」を受賞したことをお知らせします。

 

 日本薬学会創薬科学賞は、日本薬学会が定める賞の一つであり、医薬品の創薬およびそれに関連した薬学の応用技術の開発において、医療に貢献する優れた研究業績を残した研究者に対して授与される賞です。研究の独創性に加え、医薬品の有効性や安全性等、医療および技術における革新性が評価対象になります。当社は、1998年度にアルツハイマー型認知症治療剤ドネペジル塩酸塩の創製、2013年度に抗がん剤エリブリンメシル酸塩の創製、2020年度にマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブの創製、2021年度にAMPA型グルタミン酸受容体拮抗剤ペランパネルの創製に対して、これまでに同賞を計4度受賞しています。

 

 このたびの受賞理由として、「不眠症の主原因が覚醒経路の夜間過剰活性化であることを踏まえ、従来薬とは異なり、合理的な治療アプローチと考えられる覚醒系の抑制に狙いを定めた点や、化合物においては、合理的判断により3置換シクロプロパンを基本とするユニーク構造とした点に高い独創性があること、また、薬物動態や安全性の多くの課題を克服し、バランスの取れたプロファイルの化合物に最適化した点や、前臨床から臨床試験において、従来薬とは一線を画す優れた薬効および安全性プロファイルを示し、国内外において多くの不眠症患者のアンメット・メディカル・ニーズを充足しつつあること」などが挙げられました。

 

 現在、レンボレキサントは、不眠症に係る適応で日本、米国、カナダ、オーストラリア、アジアなど、15カ国以上で承認を取得しています。

 

 当社は、不眠症を含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患において革新的な治療薬を一日も早く創出し、当事者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。


 

【受賞テーマ】

睡眠障害治療薬を志向したオレキシン1/2受容体新規デュアルアンタゴニスト レンボレキサントの創製

 

【受賞者】

寺内 太朗(エーザイ株式会社 DHBL プロテインインテグリティー&ホメオスタシスドメイン ヘッド)

上野 孝哉(エーザイ株式会社 DHBL PPDファンクションBAユニット グローバル薬物動態研究部 主幹研究員)

朝倉 省二(エーザイ株式会社 DHBL PPDファンクションBAユニット グローバル安全性研究部 部長)

久保田 直樹(エーザイ株式会社 DHBL CEG 日本・アジア臨床開発部 ディレクター)

ボイクマン カーステン(元エーザイ株式会社社員)

 

以上

 

 

<参考資料> 

1.   レンボレキサント(日本製品名:「デエビゴ」、海外製品名:「Dayvigo」)について

 レンボレキサントは、当社創製の新規低分子化合物で、オレキシン受容体の2種のサブタイプ(オレキシン1および2受容体)に対し、オレキシンと競合的に結合する拮抗剤です。正常な睡眠覚醒リズムにおいて、オレキシンの神経伝達によって覚醒が促進されると考えられていますが、不眠障害では、覚醒を制御するオレキシンの神経伝達が正常に働いていない可能性があります。正常な睡眠時はオレキシン作動性神経が抑制されることから、オレキシンによる神経伝達の阻害により睡眠導入や睡眠維持をはかることができる可能性があると考えられています。不眠症に係る適応において、日本、米国、カナダ、オーストラリア、アジアなど、15カ国以上で承認を取得しています。