メコバラミンの高用量製剤について、日本において筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で新薬承認を申請

 メコバラミン(開発コード:E0302)の高用量製剤について、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に係る適応で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に新薬承認申請を行いましたのでお知らせします。本剤は、2022年5月に厚生労働省より希少疾患用医薬品に指定されています。

 

 本申請は、国立大学法人徳島大学(以下、徳島大学)の梶龍兒特命教授(主任研究者)、徳島大学大学院医歯薬学研究部臨床神経科学分野 和泉唯信教授(治験調整医師)、および千葉大学大学院医学研究院脳神経内科学 桑原聡教授(治験調整医師)らの研究チームが医師主導治験として実施した、発症早期のALS患者に対する高用量メコバラミンの有効性の検証と安全性の確認を目的とする、高用量メチルコバラミン(メコバラミン)の筋萎縮性側索硬化症に対する第Ⅲ相試験(The Japan Early-Stage Trial of Ultrahigh-Dose Methylcobalamin for ALS: 以下、JETALS)の結果に基づいています。JETALSの結果は査読学術誌JAMA Neurologyで発表されました。

 

 ALSは、運動ニューロンの障害により重篤な筋肉の萎縮と筋力低下をきたす進行性の難治性神経変性疾患です。呼吸筋の麻痺による呼吸不全が主たる死亡原因で、人工呼吸器を装着しなければ発症後約3~6年以内に死に至る疾患です。日本における患者数は約1万人と推定されています。現在、確立された根治療法はなく、国内外で承認されている薬剤も限られており、アンメット・メディカル・ニーズが極めて高い難病です。

 

 当社は、神経領域を重点疾患領域と位置づけており、ヒューマン・ヘルスケア企業として、神経領域におけるアンメット・メディカル・ニーズの充足と患者様と生活者の皆様のベネフィット向上により一層貢献してまいります。

 

以上


 

<参考資料> 

 1.   メコバラミンについて

 メコバラミン(一般名、開発品コード:E0302)は、「メチコバール®注射液500µg」として末梢性神経障害およびビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の適応で承認・販売されています。また、「メチコバール錠250µg」、「メチコバール錠500µg」、「メチコバール細粒0.1%」が末梢性神経障害の適応を有しています。メコバラミンの筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis: ALS)の病態における作用機序については解明されていませんが、非臨床研究の結果から、神経保護作用、神経軸索再生作用により有効性を示す可能性が示唆されています。1990年代より厚生科学研究費補助金特定疾患対策研究事業の神経変性疾患に関する研究班において、ALSに対する高用量メコバラミンの臨床研究が実施されました。メチコバールとしての承認用量の50倍~100倍量である1回25mg~50mgのメコバラミンの筋肉内投与による短期および長期試験において、高用量メコバラミンがALSに対して臨床効果を示す可能性が示唆され、当社は2006年より臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験(761試験)を実施しました。2015年5月、761試験の結果を基に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に新薬承認申請を行いましたが、追加試験が必要との判断により、2016年3月に新薬承認申請を取り下げていました。

 その後、JETALSにおいて良好な臨床試験結果が得られたことを受けて、当社は日本におけるALSに対する新薬承認申請に向けた準備を進めていました。