第77回米国てんかん学会年次総会にてペランパネルに関する最新データを発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、2023年12月1日から5日に米国フロリダ州オーランドおよびバーチャル形式で開催される「第77回米国てんかん学会年次総会」(American Epilepsy Society Annual Meeting:AES2023)において、自社創製の抗てんかん剤ペランパネル(製品名「フィコンパ®」、英語製品名:「Fycompa®」)に関する最新データなど、合計9演題についてポスター発表することをお知らせします。

 

 主な発表としては、ペランパネルとプラセボの安全性を比較評価する臨床研究のデザインとその結果の発表(ポスター番号:1.493)やペランパネルの認知機能や睡眠への影響を評価した試験の結果(ポスター番号:2.157、2.158、2.160)などが予定されています。

 

 当社は、てんかんを含む神経領域を重点疾患領域と位置づけており、より多くの患者様に発作フリー(seizure freedom:無発作状態)をお届けする使命を追求し、てんかんの患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

 

 本学会における当社のポスター発表のリストは以下のとおりです。

  

■  主なポスター発表演題

※左右にスクロールできます

化合物
ポスター番号
発表日時(米国中部標準時間)
発表演題

ペランパネル
ポスター番号:1.493
12月2日(土)12時-14時

全般強直間代発作に対するペランパネルの安全性評価における無作為化前の発作回数測定時間を用いた試験デザインの有用性

ペランパネル
ポスター番号:2.157
12月3日(日)12時-14時

512試験:焦点起始発作/特発性全般てんかんに伴う全般強直間代発作患者様における発作制御、睡眠、生活の質(QoL)に及ぼすペランパネルの効果

ペランパネル
ポスター番号:2.158
12月3日(日)12時-14時

ペランパネルの成人および青年期患者様における臨床試験(AMPA試験):日中の眠気に対するペランパネルの併用効果と発作抑制との相関

ペランパネル
ポスター番号:2.159
12月3日(日)12時-14時

ペランパネルの成人および青年期患者様における臨床試験(AMPA試験):ペランパネル併用療法におけるてんかん患者様における日中の眠気の評価

ペランパネル
ポスター番号:2.160
12月3日(日)12時-14時

512試験:青年期および成人てんかん患者様におけるペランパネルの初回併用療法後の認知機能評価(EpiTrack®)

ペランパネル
ポスター番号:2.162
12月3日(日)12時-14時

512試験:焦点起始発作もしくは特発性全般てんかんに全般強直間代発作を有する12歳以上の患者様におけるペランパネルの有効性と安全性

ペランパネル
ポスター番号:2.274
12月3日(日)12時-14時

PERMIT試験におけるリアルワールド・エビデンス:遺伝的素因を有するてんかん患者様に対するペランパネルの有効性と安全性/忍容性

ペランパネル
ポスター番号:2.275
12月3日(日)12時-14時

PERMIT試験:日常臨床におけるてんかん患者様の焦点起始発作および全般起始発作に対する病因毎のペランパネルの有効性

ペランパネル
ポスター番号:2.276
12月3日(日)12時-14時

PERMIT試験:焦点起始発作および全般起始発作に対するペランパネルの有効性と安全性・忍容性、および併用抗てんかん薬による影響

以上

 
<参考資料>

1.   ペランパネル(日本製品名:「フィコンパ」、英語製品名:「Fycompa」)について

 ペランパネルは、当社が創製したファースト・イン・クラスの抗てんかん剤です。てんかん発作は、神経伝達物質であるグルタミン酸により誘発されることが報告されており、本剤は、グルタミン酸によるシナプス後膜のAMPA受容体の活性化を阻害し、神経の過興奮を抑制する高選択、非競合AMPA受容体拮抗剤です。

 現在、ペランパネルは、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法について、日本、欧州、中国、アジアなど75カ国以上で承認を取得しています。さらに本剤は12歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法について、日本、欧州、アジアなど70カ国以上で承認を取得しています。日本、中国においては、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤および併用療法の承認も取得しています。欧州においては、4歳以上のてんかん患者様の部分発作(二次性全般化発作を含む)および7歳以上のてんかん患者様の強直間代発作に対する併用療法についても承認を取得しています。ペランパネルは1日1回就寝前に経口投与するタイプの製剤です。日本では、錠剤と細粒剤の承認を取得しています。欧州と中国では、錠剤と経口懸濁液の承認を取得しています。日本において、新投与経路医薬品として注射剤の追加を申請しています。2023年1月、米国における権利を譲渡しました。

 

2.  てんかんについて

 てんかんは、発作のタイプによって、てんかん全体の約6割を占める部分発作と、約4割を占める全般発作に大別されます。部分発作では、脳の電気信号の異常が一部分に限定されています。部分発作の中には、異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になるものもあります(二次性全般化発作)。全般発作では、電気信号の異常が脳全体に起こり、発作直後から意識がなくなったり、全身に症状が現れたりします。

 てんかんの患者様数は、日本で約100万人、米国で約340万人、欧州で約600万人、中国で約900万人、世界中で約6,000万人などの報告があります。てんかん患者様の約30%が既存の抗てんかん剤では発作を十分にコントロールできておらず、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患です。てんかんはすべての年代で発病しますが、18歳以前の小児期と高齢期での発病が多いとされています。小児てんかんの原因や臨床像は一様ではなく、その予後も極めて良い場合や難治が予測される場合もあり、その治療はそれぞれの患者様に特有の配慮が求められます。

 

“The Epilepsies and Seizures: Hope Through Research. What are the epilepsies?” National Institute of Neurological Disorders and Stroke, accessed May 24, 2016, http://www.ninds.nih.gov/disorders/epilepsy/detail_epilepsy.htm#230253109