循環型社会形成への取り組み

方針・基本的な考え

エーザイグループは、グローバルに展開するヘルスケア企業として「エーザイ・ネットワーク企業(ENW)環境方針」を定め、地球環境の保全を重視した企業活動を展開しています。環境行動指針に「4. 水を含む資源の持続可能な利用および廃棄物の削減と再利用を進め、循環型社会の形成に貢献します。」と明記し、廃棄物の適正処理と水を含む資源循環の取り組みをグローバルに推進しています。

廃棄物の適正処理と資源循環の取り組み

国内グループでは、最終埋立量と廃棄物発生量の比を0.5%以下とするゼロエミッションの達成とともに、「廃棄物発生量削減、リサイクル率向上、最終埋立量の削減」を目標に廃棄物処理を進めています。

水資源の有効利用

水資源の十分な確保は、医薬品の研究活動や生産活動において必要不可欠です。そのため、エーザイグループでは、工場・研究所から排出される水の品質確保に努めると同時に、使用量削減の取り組みも進め水資源の有効利用に努めています。

目標・アクション

廃棄物の適正処理と資源循環の取り組み

ゼロエミッション(最終埋立量と廃棄物発生量の比)については、数値目標を1%以下に設定し、2008年度から連続して達成してきましたが、この実績をもとに、2021年度からは数値目標を0.5%以下に引き上げました。また、有価物を含むリサイクル率として50%以上、特に廃プラスチックに関しては海洋プラスチック問題への配慮からリサイクル率80%以上をめざしています。

水資源の有効利用

水資源の有効利用のために、全社での水使用量を2030年度までに2023年度比で7%削減(売上高原単位)することを中期目標に定め、実験廃液や雨水のリサイクル等、水資源の効率的な利用を推進しています。さらに、排水に関する各国の環境基準を遵守し、2030年度まで法令違反ゼロを継続することを中期目標に定め、水質保全に資する高質な排水処理を維持しています。

体制・システム

エーザイグループでは、取締役会の監督の下、環境安全担当執行役が委員長を務める全社環境安全委員会を設置し、環境保全に関連した重要事項の審議・決定を行っています。温室効果ガスの排出削減や資源の有効利用などグローバルな活動を推進するとともに、国内外における環境リスクの把握やその対策の確立に向けた活動強化に取り組んでいます。本委員会で審議された内容のうち、全社に関わる重要な環境課題については、業務執行部門の最高意思決定機関である執行役会に報告、議論、決議され、実行に移されます。また、全社環境安全委員会で決議された事項については、国内ENW環境安全協議会およびグローバルエーザイカーボンニュートラル情報交換会において、国内外のグループ企業と情報共有し、連携して取り組んでいます。

エーザイグループ各事業所では、独自の環境マネジメント体制を構築し、環境活動を推進しています。国内主要生産拠点および蘇州工場(中国)、バイザッグサイト(インド)では、ISO14001取得に基づく活動を行っており、環境教育、環境リスク対応を目的とした教育訓練の実施など、意識面からの向上を図っています。さらに、環境関連法や条例・協定の遵守はもとより、内部監査専門組織による定期的な環境関連監査により、課題の発見・解決に努めています。

環境マネジメント推進体制

ISO14001認証取得事業所

  • エーザイ株式会社 川島工場、鹿島事業所
  • EAファーマ株式会社 福島事業所
  • 衛材(中国)薬業有限公司 蘇州工場
  • エーザイファーマシューティカルズインディア, Pvt. Ltd. バイザッグサイト

具体的な取り組み

廃棄物の適正処理と資源循環の取り組み

「廃棄物発生量削減、リサイクル率向上、最終埋立量の削減」を目標に廃棄物処理を進めました。
廃棄物発生量の内訳としては、抗潰瘍剤の原薬製造で発生する廃アルカリが増加しました。また、2022年度より浄化槽汚泥を一般廃棄物に計上したため発生量の増加要因となりました。一方、廃プラスチックや廃金属は本社ビルのオフィスリノベーションが完了したことにより減少しました。
リサイクルについては、分別廃棄の徹底や資源循環を積極的に推進している廃棄物処理委託先の選定、原薬の化学合成等に用いる有機溶媒のリサイクル利用、廃溶媒の助燃材としての有価売却等を積極的に推進しました。特に廃プラスチックは、熱リサイクル利用やRPF(固形燃料)原料としてリサイクルを推進しました。
その結果、国内グループでリサイクル量は対前年度25トン増加、リサイクル率は90.5%となり、目標を達成しました。さらに、紙類廃棄物についても、OA用紙の使用を必要最低限に抑え、保存文書電子化等のペーパーレス化を進めるとともに、古紙類の有価売却を推進しています。
エーザイグループでは、コンプライアンスに基づく適正な処理を進めるとともに、資源の有効利用に基づく廃棄物発生量の削減やリサイクルをさらに推進し、循環型社会形成への貢献を果たしてまいります。

水資源の有効利用

エーザイグループでは、水ストレス下にある地域からの取水について、データベース「Think Hazard」や「WRI( 世界資源研究所)Aqueduct」による評価や、工場・研究所に事業活動の中期見通しに基づく認識調査を実施しました。その結果、現時点で高リスクに該当する地域からの取水は確認されませんでした。一方で、水資源の有効利用のために、全社での水使用量を2030年度までに2023年度比で7%削減(売上高原単位)することを中期目標に定め、実験廃液や雨水のリサイクル等、水資源の効率的な利用を推進しています。
さらに、排水に関する各国の環境基準を遵守し、2030年度まで法令違反ゼロを継続することを中期目標に定め、水質保全に資する高質な排水処理を維持しています。
投資においては、水使用削減量を金額換算することで投資効果額として投資判断基準に組み込むインターナルウォータープライシング(IWP:社内水価格)を主要サイトを置く国ごとに設定しています。

データ

廃棄物の適正処理と資源循環の取り組み

2021年度は本社ビルのオフィスリノベーション等により廃プラスチックや廃金属が増加しましたが、2022年度は例年の水準に戻り、総廃棄物発生量は前年度比156トン減少、リサイクル量は前年度比516トン減少、有価物を含むリサイクル量は前年度比444トン減少となりました。これに伴い、リサイクル率(有価物を除く)は25.3%(前年度比10.8%減少)、有価物を含むリサイクル率は45.5%(前年度比6.9%減少)となり、目標未達となりました。最終埋立量については、製品廃棄が増加したことにより13.0トン(前年度比1.6トン増加)となりましたが、最終埋立率は0.31%で、ゼロエミッションを16年連続で達成しました。

水資源の有効利用

CDP水セキュリティレポート

CDPは、世界の機関投資家の要請を受け、企業の「環境リスクに関する取り組み」(気候変動、水セキュリティ、森林)を評価し、情報開示する国際的NGOです。当社グループは、2021年より、「CDP水セキュリティレポート」に回答しています。2023年に回答した「CDP水セキュリティレポート2023」では、8段階「A」、「A-」~「D」、[D-]のうち、上から2番目の「A-」評価(リーダーシップレベル)を獲得しました。