南アフリカの医薬品販売子会社が事業活動を本格始動アフリカにおける自社事業開始、ケニアに支店も設立

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、南アフリカ共和国ヨハネスブルク市に設立した医薬品販売会社「Eisai Pharmaceuticals Africa (Pty) Ltd.」(以下、エーザイ・南アフリカ)が本格稼働し、アフリカにおいて自社による事業活動を開始したことをお知らせします。エーザイ・南アフリカは、当社100%子会社となります。

 

 南アフリカは、約6,000万人の人口を擁し、医薬品市場は約34.77億米ドル(2022年)とサブサハラアフリカ地域で最大であり、2018-2022年には現地通貨ベースで6%の平均成長率を示しています1。当社は、南アフリカにおいて2017年から現地パートナー企業を通じて医薬品の販売を開始し、抗がん剤「ハラヴェン®」、「レンビマ®」、抗てんかん剤「フィコンパ®」を販売してきました。2022年5月、エーザイ・南アフリカを設立し、当社製品の製造販売承認をパートナー企業から承継し、本年1月より「レンビマ」、「フィコンパ」、2月より「ハラヴェン」の自社販売を開始しました。また、不眠症治療剤「デエビゴ®」については本年6月に新発売を予定しており、これらの製品については、今後エーザイ・南アフリカからナミビア、ボツワナ、ザンビア、ジンバブエなどの南部アフリカ開発共同体(SADC)諸国へも販売を拡大する予定です。さらに、アルツハイマー病治療薬「レケンビ®」についても2023年度中の南アフリカでの承認申請を予定しています。

 

 また、2022年10月にはケニア共和国ナイロビ市にエーザイ・南アフリカの支店(エーザイ・ケニア)も開設しており、今後、ケニアのほか、タンザニアやウガンダといった東アフリカ共同体(EAC)諸国において、現地パートナー企業を通じて「ハラヴェン」や「フィコンパ」など当社の新薬へのアクセス拡大を図っていく予定です。加えて、エーザイ・ケニアは、当社が注力する顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)やマラリア等のグローバルヘルス分野における重要な現地パートナーであるDrugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)や、長崎大学熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点などの研究機関との連携拠点として、一層の人的ネットワーク拡大および研究開発・アクセスの促進の役割を担う予定です。

 

 アフリカでは急速な経済発展と医療環境の整備に伴い平均寿命が伸長しており、今後、がんや認知症に対する治療ニーズが高まることが想定されます。一方で、蔓延地域に貧困と感染症の負の連鎖をもたらし経済成長の妨げともなりうるNTDsに対する医薬品アクセス向上も喫緊の課題です。当社は、エーザイ・南アフリカおよびエーザイ・ケニアを通じて、アフリカにおけるこれらの課題解決に向けて必要な医薬品を必要とされる患者様にお届けできるよう、取り組みを続けてまいります。

 

以上

 

  1. <参考資料>
  2. 1.     エーザイ・南アフリカの概要について

1)会社名:        Eisai Pharmaceuticals Africa (Pty) Ltd

2)所在地:        南アフリカ共和国 ヨハネスブルク市

3)事業内容:    医薬品の輸入・販売

4)設立資本金: 36.5百万ランド(約3億円)

5)出資者:        エーザイ株式会社

6)設立日:        2022年5月18日(現地時間)

 

<ケニア支店の概要>

1)支店名:     Kenya Branch, Eisai Pharmaceuticals Africa (Pty) Ltd

2)所在地:        ケニア共和国 ナイロビ市

3)事業内容:    医薬品の輸入・販売、SDGsに関連するパートナーとの連携・活動(予定)

4)設立日:        2022年10月3日(現地時間)

 

  1. 2.   南アフリカ医薬品市場について

 南アフリカは、人口約6,000万人、2022年の実質GDP成長率は1.91%です。2022年の医薬品市場は約34.77億米ドルとサブサハラアフリカ地域で最大であり、2018-2022年の平均成長率は現地通貨ベースで6%を示しています1。南アフリカにおいては、2020年に15,491人が乳がん、2,435人が肝がん、1,305人が甲状腺がんと新たに診断され2、また約68万人がてんかんに罹患していると推定されています3。南アフリカ政府は、全国民に質の高い保健サービスへのユニバーサルアクセスを保証するため、2012年から2025年にかけて段階的な国民健康保険(National Health Insurance:NHI)の導入を推進するなど医療体制の再構築に取り組んでいます。

 

  1. 3.   当社の医薬品アクセス向上への取り組みについて

 当社は、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもと、人々の「健康憂慮の解消」や「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現することをめざしています。当社が注力する社会善の一つに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)のターゲット(3.3)である「顧みられない熱帯病(NTDs)」の制圧があり、それによる医療較差の是正の実現をめざしています。

 当社は、2010年から世界保健機関(WHO)やビル&メリンダ・ゲイツ財団などの世界のパートナーと共に、NTDsの一つであるリンパ系フィラリア症(LF)の制圧に向けて治療薬の無償提供や疾患啓発に取り組んでいます。また、国際的な非営利団体Drugs for Neglected Diseases initiative(DNDi)、Medicines for Malaria Venture(MMV)、Liverpool School of Tropical Medicine、ケンタッキー大学やブロード研究所などの研究機関とのパートナーシップにより、マイセトーマやLFなどのNTDsやマラリアなどの感染症に対する新薬開発を進めています。さらに、日本発の新薬創出によるグローバルヘルスへの貢献をめざす公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund: GHIT Fund)に参画しています。

 

1 IQVIA World Review Analyst 2023, Data Period 2018-2022 (Copyright ©2024 IQVIA.)をもとに作成。無断転載禁止。

2 Cancer Today (accessed on December 8, 2023)

3 Epilepsy & Behavior Volume 118, May 2021, 107910 “Epilepsy surgery in Africa: state of the art and challenges”

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S152550502100144X