桜ヶ岡研究所は1938(昭和13)年、小麦胚芽油から抽出した日本で初のビタミンE剤『ユベラ』を開発したのをはじめ、生理用品『さんぽん』、薬用香粉『らへんで』などを世に出した。この頃、桜ヶ岡研究所の工員は74人に膨れ上がり、三河島の敷地では手狭になっていた。そこで、埼玉県本庄町(現、本庄市)の鶴巻製糸工場を買い取り、1941(昭和16)年12月6日、資本金18万円の日本衛材株式会社を設立(現在のエーザイの母体)。豊次53歳、太平洋戦争が始まる2日前のことであった。
1942(昭和17)年5月、戦争を遂行する名目で、資本金50万円以下の企業は合併か廃業かを強制する企業整備令が公布された。そのため、1944(昭和19)年12月26日、桜ヶ岡研究所と日本衛材は合併して存続することになった。