21世紀に入り、世界製薬トップ20社入りを果たしたエーザイは、『アリセプト』と『パリエット』の貢献で海外事業が飛躍的に成長し、2002(平成14)年には海外売上高比率が初めて5割を超えた。
この時期、欧州では、英国、ドイツ、フランス、スペインの主要4カ国に続き欧州全域をカバーする販売網の拡大に乗りだす。イタリア、スウェーデン、オーストリア、スイスなどに販売会社を設立し、合計10社で欧州全域をカバーする体制を整えた。『アリセプト』と『パリエット』に加え、てんかん領域の製品を導入し、事業基盤を強化した。
一方、急成長する新興国への進出も積極的に展開していた。
中国進出は、1991(平成3)年、瀋陽に現地会社との合作企業を設立したことに始まる。1996(平成8)年には、外資メーカーとして初めて100%資本の「衛材(蘇州)製薬有限公司」を設立した。『アリセプト』、『パリエット』、『メチコバール』などの主要製品の発売により、中国での日本製薬企業の中でトップメーカーとなった。
インドでは2004(平成16)年、日本の製薬企業としては初めて自社の販売会社を設立し、『アリセップ』(ドネペジル塩酸塩のインドでの販売名)などの販売を開始した。インドにおける物質特許制度が整備されたのは2005(平成17)年であり、市場には既に数十ものジェネリック品が販売されていた。エーザイが得意とする疾患啓発や地域に根ざしたマーケティングにより、現在ではドネペジル塩酸塩製剤中トップブランドに成長している。
2010年前後には、ロシア、ブラジル、メキシコにも販売会社や事務所を設立し、エーザイのグローバリゼーションは新たなステージを迎える。