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ニュースリリース

(2006年3月30日) 印刷用(PDF 43.0KB)

アルツハイマー病に対するワクチン療法の創薬研究に関する契約を
ディナベック社と締結


 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)とディナベック株式会社(本社:茨城県つくば市、社長:長谷川護)は、本日、アルツハイマー病に対するワクチン療法の創薬研究に関する契約を締結しました。本契約締結にともない、当社は、ディナベック社が保有しているセンダイウイルスベクターを用いたアルツハイマー病に関するβアミロイド(Aβ)遺伝子ワクチンの探索研究プログラムに参画するとともに、本プログラムに関し発生する成果について、優先的な開発、製造および販売の権利を保有することになります。

 ディナベック社は、国家プロジェクトの成果をもとに、センダイウイルスを中心とした遺伝子導入ベクター技術の開発と、それらに基づく遺伝子医薬品の開発に特化したベンチャー企業です。同社はこれまでに、Aβ沈着モデルマウスにおいて、アルツハイマー病に関するAβ遺伝子ワクチンがAβ沈着を除去させることを確認しています。

 アルツハイマー病の免疫療法では、病態進行抑制や発症予防において有用性を示す薬剤が期待されており、抗体療法のほか、選択的に抗Aβ抗体産生を惹起できるワクチン療法も期待されています。当社はディナベック社の探索研究プログラムへ参画することにより、粘膜免疫を利用して選択的に抗Aβ抗体産生を惹起できる遺伝子ワクチンの開発をめざします。

 エーザイは、フランチャイズ領域の一つである神経領域製品ラインアップを充実するため、自社開発のみならず、外部との提携を積極的に進めています。当社は、次世代のアルツハイマー病治療薬の開発に向けて、多面的に原因遺伝子の探索や免疫療法、低分子化合物の合成に取り組んでいますが、今回の契約締結により、さらにワクチン療法の可能性を獲得することになります。当社は、今後とも原因治療を可能とする新規アルツハイマー病治療薬の創出を目指してまいります。
以上


[参考資料として、ディナベック社の概要と用語解説を添付しています]



<参考資料>


  1. ディナベック社の概要
     国家プロジェクトの成果を基礎にしている、本格的なナショナルプロジェクト発ベンチャー企業。前身にあたる株式会社ディナベック研究所は、その9年にわたる国家プロジェクトにおいて、センダイウイルスベクターなど、遺伝子治療の事業化に必要となる革新的なベクターの開発に成功している。それらは効果と安全性の高い日本発のテクノロジーとして多くの国際特許を獲得しており、国際的な学会や臨床医等からも高い評価を受けている。その世界的な評価を背景に、遺伝子治療や遺伝子ワクチンをはじめ、様々な先端バイオ分野への応用を実現するため、国内外の多数の研究機関・製薬メーカー等と多面的な共同研究・開発を進めている。九州大学付属病院によるセンダイウイルスベクターを用いた重症虚血肢の遺伝子治療研究は既に大臣許可が下りており、この国産ベクターによる世界で初めての遺伝子治療が間もなく開始される。


  2. 用語解説
  • センダイウイルス
    マウスの肺炎ウイルスの一種。1950年代に東北大学で発見され、仙台の名を持つ。ウイルス外膜に存在する2種類の糖タンパク質により、細胞融合の作用を持っている。ヒトへの病原性は知られていない。


  • ベクター
    目的とする遺伝子を、その遺伝子機能を発現させたい細胞(標的細胞)に導入するために用いられる、いわゆる「遺伝子の運び屋」。動物細胞に感染するウイルスを基にしたものを「ウイルスベクター」と呼び、遺伝子治療など人へ応用する場合には安全性が高いと言われるウイルスが用いられ、さらに自己増殖、二次感染などしないような工夫がほどこされている。


  • βアミロイド
    アルツハイマー病に関与するとされる老人斑の主な構成成分。


  • 遺伝子ワクチン療法
    免疫しようとする抗原を作る遺伝子を、ベクターを用いて体内に入れ、免疫反応によって抗原に対する抗体を産生させる。そして、その抗体が体内で抗原を攻撃し、抗原を減らすという仕組み。感染症のほか、慢性疾患への応用も最近注目されている。


  • 粘膜免疫
    粘膜に存在する免疫機構のこと。粘膜には、人体の有する免疫担当細胞のおよそ5割が集結している。