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ニュースリリース

(2002年4月17日)

アルツハイマー型痴呆治療剤「アリセプト」、
米国神経内科学会にて脳血管性痴呆の第三相試験結果を発表


 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)の米国現地法人エーザイ・インク(本社:ニュージャージー州、社長:ウィリアム・シェルドン)は、アルツハイマー型痴呆治療剤「アリセプト」の脳血管性痴呆を対象として欧米で実施した二つの第三相試験のうち、未発表であった試験の結果を第54回米国神経内科学会(The American Academy of Neurology、開催地:デンバー)で発表しました。本試験では「アリセプト」投与群において、認知機能の改善が認められました。脳血管性痴呆に承認された治療薬がない中、既に発表した試験と今回発表した試験で「アリセプト」が脳血管性痴呆患者様の認知機能の改善を示したことは、極めて重要と認識しています。


 脳血管性痴呆は、脳血管障害に起因する痴呆で、アルツハイマー型痴呆についで2番目に多く、米国で診断される痴呆症全体の1/3程度と推測されています。脳血管性痴呆の有病率は年齢と共に上昇することが知られており、米国においては65歳以上の人口が2030年には6,940万人に増加するなど、脳血管性痴呆が社会問題のひとつになると予測されています。


 今回の試験は、既に発表している試験と同様「アリセプト」の5mgおよび10mgにプラセボ投与群を加えた3群の比較試験で、投与期間は24週間です。対象症例は、NINDS-AIRENと呼ばれる基準によって選択された脳血管性痴呆症例で、アルツハイマー型痴呆の症例は除外し、603例が試験に参加しました。全ての症例において何らかの併用薬が使用されており、最も多かった併用薬は心血管系のリスクを軽減するための薬剤で、脳卒中予防のため80%以上に使用されていました。認知機能を評価するADAS-cogにおいては、「アリセプト」5mgおよび10mg投与群の24週間観察例において、プラセボ投与群に比べ有意な改善を示しました。全般臨床症状を評価するCIBIC plusの24週間観察例において、「アリセプト」5mg投与群ではプラセボ投与群に比べ有意な改善が認められました。10mg投与群では有意差はありませんでした。一方、有害事象については、プラセボ投与群と「アリセプト」投与群との間で大きな発現率の差は認められず、最も多く認められた有害事象は消化器症状でした。すべての群において試験を中止した125例のうち、有害事象によるものは89例でした。


 なお、当社は先に発表した試験と併せ、脳血管性痴呆治療の効能追加のために欧米各国の当局に申請する予定です。また、戦略的アライアンスパートナーであるファイザー社も同社テリトリーで同様に対応します。


 「アリセプト」は、エーザイが独自に合成したアセチルコリンエステラーゼ阻害剤で、神経伝達物質である脳内アセチルコリン濃度を高める作用を持つ、軽度および中等度のアルツハイマー型痴呆治療剤です。現在日本、米国、英国、ドイツ、フランスなど世界50カ国以上で販売されています。


以 上 




■用語説明


NINDS-AIREN基準

=National Institute of Neurological Disorders and Stroke and the Association Internationale pour la Recherche et l'Enseignement en Neurosciences Criteriaの略。


脳血管性痴呆の診断基準の一つ。脳血管障害および認知機能障害(記憶障害、見当識、注意力、言語技能、視覚空間認知能力、計算力、実行機能、運動制御、習慣、抽象概念、判断力など)と、これら二つの関連性により判断する。

ADAS-cog

=Alzheimer's Disease Assessment Scale cognitive subscaleの略。


認知機能の評価尺度。記憶、見当識、言語、理解などの領域での認知障害を評価するための11項目からなる尺度。スコアは0~70ポイントの範囲で、スコアが高いほど重度の認知障害であることを示す。
 なお、11項目とは、単語再生、口頭言語能力、言語の聴覚的理解、自発話における喚語困難、口頭命令に従う、手指および物品呼称、構成行為、観念運動、見当識、単語再認、テスト教示の再生能力である。

CIBIC plus

=Clinician's Interview-Based Impression of Change plusの略。


全般臨床症状の評価尺度。介護者や家族と面談した後、患者本人と面談することにより包括的な評価を行う。評価項目は全般、認知、行動および日常生活動作の4分野で、投与前の状態とそれぞれ比較する。評価は、著明改善(1)、改善(2)、軽度改善(3)、不変(4)、軽度悪化(5)、悪化(6)、著明悪化(7)の7段階で行われる。