蘭山は享保14年(1729)に京都で生まれました。幼い頃から読書が好きで、13歳で松岡恕庵(じょあん)に入門して本草学を学びました。蘭山が18歳の時に、師の恕庵を亡くし、その後は独学で本草学を修めました。生涯、蘭山は本草学の研鑽を積み、教育に力を注ぎました。
恕庵はその門から小野蘭山を輩出するなど、わが国の本草学の形成に功績を残した人物のひとりです。生前の代表的な著書には『用薬須知』が知られています。飢饉の際の救荒食糧として甘藷(サツマイモ)が有用であると著した『蕃藷録』や中国書を和刻した『救荒本草』などがあります。
『用薬須知』 享保11年(1726)刊行常用薬物320種を選品し、薬としての品質、類似品との見分け方などを解説している。
「怡顔斎(いがんさい)」は松岡恕庵の号です。怡顔斎シリーズとして『怡顔斎桜品』、『怡顔斎竹品』、『怡顔斎梅品』というタイトルで刊行されました。
『怡顔斎桜品』 松岡恕庵撰宝暦8年(1758)刊行桜の品種69種を挙げ、それぞれその花葉の形色開花の時期等を図とともに解説。
初期の業績は師・松岡恕庵の『怡顔斎蘭品』の中で蘭山が40歳頃に描いた植物画が残されています。大胆な構図ですが、個々の植物の特徴が的確にとらえられています。
『怡顔斎蘭品』 松岡恕庵著小野蘭山画 明和9年(1772)松岡恕庵が蘭の品種についてまとめた。「蘭」の文字を持つ草木31点を蘭山が図写した。
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