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ニュースリリース

2017年6月5日

「レンビマ®」(レンバチニブ)子宮内膜がんを対象とした抗PD-1抗体ペムブロリズマブ併用療法に関する臨床第Ib/II相試験結果を第53回米国臨床腫瘍学会年次総会にて発表

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、自社創製のマルチキナーゼ阻害剤レンバチニブメシル酸塩(製品名:「レンビマ®」「Kisplyx®」、以下 レンバチニブ)とMSD(米国とカナダではMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.)の抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:「キイトルーダ®※1」)との併用療法による固形がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(111試験)のうち、初めての評価対象となる転移性子宮内膜がんに関する結果について、米国シカゴで開催されている第53回米国臨床腫瘍学会年次総会(American Society of Clinical Oncology: ASCO)において発表したことをお知らせします。本併用療法の開発は、両社提携の下で実施しています。

 今回ASCOでの発表では、臨床第Ib相パートと第II相パートを合わせた、少なくとも1レジメン以上の前治療歴のある子宮内膜がんの患者様23人を解析対象としました。本解析の結果、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法において、主要評価項目である奏効率については、独立画像判定では52.2%(95%信頼区間:CI = 30.6-73.2)、主治医判定では47.8%(95%CI = 26.8-69.4)でした。
 副次評価項目に関して、臨床的有用率※2は、独立画像判定では65.2%(95%CI = 42.7-83.6)、主治医判定では73.9%(95%CI = 51.6-89.8)でした。また、病勢コントロール率※3は、独立画像判定では91.3%(95%CI = 72.0-98.9)、主治医判定では95.7%(95%CI = 78.1-99.9)でした。無増悪生存期間は、主治医判定では9.7カ月(95%CI = 4.2-推定不能)でした。無増悪生存期間の独立画像判定および奏効期間に関しては、本解析の時点で中央値に達していません。
 また、一般に抗PD-1抗体は、傷ついた遺伝子の修復機能異常のバイオマーカーであるマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)を高頻度に認める患者様により効きやすく、それ以外の患者様には効きにくいとされていますが1、本併用療法においては、MSIの状態に関わらず腫瘍の縮小が確認されました。
 なお、本併用療法において高頻度に観察された有害事象(上位5つ)は、高血圧、疲労、関節痛、下痢、悪心でした。

 子宮内膜がんは、全世界において6番目に多い婦人科のがんで、2012年には32万人が新たに発症しています2。米国では、2017年には約6万人が新たに子宮内膜がんを発症し、約1万人が亡くなられると予測され3、子宮内膜がんは依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾病であり新しい治療薬が期待されています。

 当社は、がん領域を重点領域の一つと位置づけており、がんの「治癒」に向けた革新的な新薬創出をめざしています。当社は、引き続きレンバチニブを患者様価値増大に結びつけるべくエビデンスの創出に邁進し、がん患者様とそのご家族、さらには医療従事者の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

※1 キイトルーダ®は Merck & Co., Inc. Kenilworth, NJ, USA.の子会社であるMerck Sharp & Dohme Corpの登録商標です。
※2 臨床有用率:完全奏効、部分奏効、または23週間以上継続した病勢安定の患者様の割合
※3 病勢コントロール率:完全奏効、部分奏効、または5週以上継続した病勢安定の患者様の割合

以上

<参考資料>

1.  レンバチニブメシル酸塩(一般名、以下 レンバチニブ、商品名:レンビマ®/Kisplyx®)について

 レンバチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。
 現在、レンバチニブは、甲状腺がんに係る適応で米国、日本、欧州など50カ国以上で承認を取得しています。また、米国、欧州などでは、腎細胞がん(二次治療)に対するエベロリムスとの併用療法に係る承認も取得しています。欧州での本適応については「Kisplyx®」の製品名で発売しています。
 レンバチニブは、2017年1月に「全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん」を対象とした臨床第III相試験において主要評価項目を達成しました。
 さらに、本剤については、腎細胞がん(一次治療)を対象とした、エベロリムスあるいはペムブロリズマブとの2つの併用療法に関して、臨床第III相試験を開始し、進行中です。また、ペムブロリズマブとの併用による肝細胞がんを対象とした臨床第Ib相試験が進行中です。

2.  111試験について

 米国で実施されている111試験は、レンバチニブとペムブロリズマブ併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同、非盲検の臨床第Ib/II試験です。臨床第Ib相パートでは、最大耐性量の決定を主要目的とし、標準治療後に進行した、または適切な治療法がない固形がん(非小細胞肺がん、腎細胞がん、子宮内膜がん、尿路上皮がん、頭頸部がん、メラノーマ)の患者様を対象に、レンバチニブは24mg/日(3人)または20mg/日(10人)の用量を経口投与し、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを静脈内投与しました。臨床第II相パートでは、化学療法による2レジメン以下の前治療歴のある固形がんの患者様を対象に、臨床第Ib相パートの結果、推奨用量に決定したレンバチニブは20mg/日、ペムブロリズマブは3週ごと200mgを投与しました。主要評価項目として奏効率、副次評価項目として臨床的有用率、病勢コントロール率、無増悪生存期間、奏効期間などが評価されます。現在、本試験は米国において臨床第II相パートが進行中です。日本においては同様の臨床第Ib相試験(115試験)が進行中です。

3.  レンバチニブと抗PD-1抗体併用療法の作用機序研究の発表について(第108回米国がん研究会議)4

 マウス由来の肝がん、メラノーマまたは大腸がん細胞株を移植したマウス同種移植モデルを用いた非臨床試験において、レンバチニブと抗マウスPD-1抗体併用投与時の相乗的な抗腫瘍活性には、レンバチニブによる腫瘍関連マクロファージの減少に基づくがん免疫賦活化、およびメモリーT細胞の増強が関与していることが示唆されています。

4.  マイクロサテライト不安定性について

 DNA複製の際に生じる塩基配列の間違い(ミスマッチ)を修復する機能に異常があると、傷ついた遺伝子により細胞ががん化することがあります。短い塩基配列が繰り返すマイクロサテライトと呼ばれる部分はミスマッチが起こりやすく、反復回数に違いが生じます。このマイクロサテライトのミスマッチ修復機構の機能異常を、マイクロサテライト不安定性(MSI)といいます。

1 Dung T. Le. et al, PD-1 Blockade in Tumors with Mismatch-Repair Deficiency, The New England Journal of Medicine 372:2509-2520, 2015.
2 World Cancer Research Found International(英語のみ): http://www.wcrf.org/
3 National Cancer Institute、Cancer Stat Facts(英語のみ): https://seer.cancer.gov/statfacts/html/corp.html
4 Kato Y, et al. Upregulation of memory T cell population and enhancement of Th1 response by lenvatinib potentiate anti-tumor activity of PD-1 signaling blockade : Lenvatineb and PD-1 mAb combination. AACR Meeting Abstract, 2017; #4614