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ニュースリリース

2015年3月26日

抗がん剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)日本において「根治切除不能な甲状腺癌」の適応で承認取得

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、本日、自社創製の新規抗がん剤「レンビマ®」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、日本において、「根治切除不能な甲状腺癌」の効能・効果で、承認を取得したことをお知らせします。

 「レンビマ」は、グローバルで実施した分化型甲状腺がんを対象とした臨床第III相試験(SELECT試験)において、プラセボに対して無増悪生存期間を統計学的に有意に延長するとともに、高い奏効率を示しました1。本試験において認められた主な副作用は、高血圧、下痢、疲労・無力症、食欲減退、体重減少でした。また、国内で実施した臨床第II相試験(208試験)では、甲状腺髄様がん、甲状腺未分化がんにおいても、本剤の忍容性と有効性が示唆されました2。これらの試験により、本剤は、分化型甲状腺がんに加えて、甲状腺髄様がん、甲状腺未分化がんを含む根治切除不能な甲状腺がんの効能・効果を有する日本ではじめての分子標的薬となります。

 日本の甲状腺がん患者数は、約13,000~29,000人と推定されています。甲状腺がんの多くは治療可能ですが、根治切除不能な甲状腺がんに対する治療選択肢は限られており、新たな治療法の開発が望まれていました。特に、甲状腺未分化がんは、臨床的に悪性度が高く、予後が最も悪いがん腫のひとつであり、アンメット・メディカル・ニーズが極めて高い疾患です。当社は、今回の承認により、本剤が標準的な治療法が確立していない根治切除不能な甲状腺がんの患者様にとって、新たな標準治療として貢献することを期待しています。

 「レンビマ」は、当社の筑波研究所で創製され、自社開発した新規抗がん剤です。腫瘍血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的薬であり、特に甲状腺がんの腫瘍血管新生、腫瘍増殖に関与するVEGFR、FGFRおよびRETを同時に阻害します。また、本剤は、VEGFR2とのX線共結晶構造解析から、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された薬剤であり、速度論的解析からは、標的分子に素早く結合し強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されています3

 「レンビマ」は、2015年2月、米国において、局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの適応で発売しました。また、本剤は、現在、欧州(EU)のほか、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシア、オーストラリア、ブラジルで承認申請中です。さらに、本剤に関しては、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第III相試験や腎細胞がん、非小細胞肺がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第II相試験が進行中です。

 当社は、「レンビマ」を甲状腺がんの新たな治療選択肢としてお届けするとともに、本剤の承認条件として定められている特定使用成績調査(全例調査)を適切に実施し、適正使用を推進してまいります。引き続き当社は、本剤によるがん治療の可能性を追求し、がん患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上により一層貢献してまいります。

以上

<参考資料>

1. 製品概要
1) 製品名  
  レンビマ®カプセル4mg、レンビマ®カプセル10mg
2) 一般名  
  レンバチニブメシル酸塩
3) 効能・効果  
  根治切除不能な甲状腺癌
4) 用法・用量  
  通常、成人にはレンバチニブとして1日1回24mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
2. 「レンビマ」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について
 「レンビマ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)に対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な、自社創出の新規結合型チロシンキナーゼ阻害剤です。特に甲状腺がんの増殖、腫瘍血管新生に関与するVEGFR、FGFRおよびRETを同時に阻害します。また、本剤は、VEGFR2とのX線共結晶構造解析から、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された薬剤であり、速度論的解析からは、標的分子に素早く結合し強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されています1
 現在、「レンビマ」は、米国では、「局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がん」の適応で、日本で「根治切除不能の甲状腺癌」の適応で承認を取得し、欧州、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシア、オーストラリア、ブラジルで申請中です。また、肝細胞がん(フェーズIII)や腎細胞がん(フェーズII)、非小細胞肺がん(フェーズII)、子宮内膜がん(フェーズII)など複数のがん腫を対象にした臨床試験が進行中です。なお、本剤は、日本(甲状腺がん)、米国(局所進行性または転移性甲状腺乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がん)、欧州(甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん)の各当局より甲状腺がんの治療に関わる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています。

3. 新規結合様式(タイプV)について3
 キナーゼ阻害剤は、標的キナーゼへの結合部位と阻害剤が結合した際にキナーゼがとるコンフォーメーションの違いにより、タイプI~Vに分類されます。これまでに承認されているチロシンキナーゼ阻害剤の多くはタイプIあるいはタイプIIに属しますが、「レンビマ」は、X線結晶構造解析により、既存薬とは異なるタイプVの結合様式を有する阻害剤であることが明らかになりました。また、「レンビマ」は速度論的解析実験から、素早く強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されており、これには新規結合様式が寄与していると推察されています。

4. SELECT試験について1
 SELECT(Study of E7080 “LEnvatinib” in Differentiated Cancer of the Thyroid)試験は、過去13カ月以内に画像診断により病勢進行が確認され、VEGF受容体を標的とする治療歴が1レジメン以内である放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんの患者様を対象に、「レンビマ」(24mg)またはプラセボを1日1回経口投与する(「レンビマ」投与:プラセボ投与 = 2:1)、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床第III相試験として実施されました。本試験では、主要評価項目として両群の無増悪生存期間(progression free survival: PFS)について比較が行われ、また、副次評価項目として、奏効率(完全奏効および部分奏効の割合)、全生存期間および安全性が評価されました。本試験は、SFJ Pharma Ltd.との提携のもと当社が実施し、本試験には欧州、米州および日本を含むアジア地域の100以上の施設が参加し、392人の患者様が登録されました。本試験において、「レンビマ」投与群はプラセボ投与群に比べ、PFSを統計学的に有意に延長しました(p<0.001、「レンビマ」18.3カ月vsプラセボ3.6カ月(中央値)、ハザード比0.21(99%信頼区間 = 0.14-0.31))。また、「レンビマ」は、プラセボに対して統計学的に有意に高い奏効率(完全奏効および部分奏効の割合)を示しました(p<0.001、「レンビマ」64.8% vsプラセボ1.5%)。特に、「レンビマ」投与群では、完全奏効が1.5%(4例)確認されました(プラセボ投与群では0例)。「レンビマ」投与群において高頻度(頻度40%以上)に認められた副作用は、高血圧(67.8%)、下痢(59.4%)、疲労・無力症(59.0%)、食欲減退(50.2%)、体重減少(46.4%)、悪心(41.0%)でした。

5. 甲状腺がんについて
 甲状腺がんは、気管の付近、頸部の前面に位置する甲状腺の組織に生じるがんの一種です。男性より女性に多く発症します。最も多く見られる甲状腺がんの種類である乳頭がんと濾胞がん(ヒュルトレ細胞がんを含む)は、分化型甲状腺がん(Differentiated Thyroid Cancer: DTC)として分類され、甲状腺がんのおよそ95%を占めます。その他、未分化がん(頻度:3~5%)、髄様がん(頻度:1~2%)があります。分化型甲状腺がん患者様の多くは、手術および放射性ヨウ素療法で治療できる一方、これらの治療に適さない少数の患者様もいます。

6. 第39回欧州臨床腫瘍学会議で発表された208試験の結果について2
 208試験は、日本で実施した放射性ヨウ素治療抵抗性・難治性の分化型甲状腺がん(RR-DTC)、切除不能の甲状腺髄様癌(MTC)および切除不能の甲状腺未分化癌(ATC)の患者様を対象とした、多施設共同,非無作為化,非盲験、シングルアーム試験です。本試験では、2012年9月~2013年9月の期間に35人の患者様が登録されました(RR-DTC:22例、MTC:4例、ATC:9例)。本試験の結果、いずれの種類の甲状腺がんにおいても奏効例が認められました。主な有害事象は、高血圧、手掌・足底発赤知覚不全症候群、疲労、食欲減退、タンパク尿、口内炎でした。

1 Schlumberger M, et al. Lenvatinib versus Placebo in Radioiodine-Refractory Thyroid Cancer. N. Engl. J. Med. 2015; 372, 621–630
2 Takahashi S, et al. Phase II study of lenvatinib, a multi-targeted tyrosine kinase inhibitor, in patients with all histologic subtypes of advanced thyroid cancer (differentiated, medullary and anaplastic). ESMO Meet. Abstr. 2014; 4933
3 Okamoto K, et al. Distinct Binding Mode of Multikinase Inhibitor Lenvatinib Revealed by Biochemical Characterization. ACS Med. Chem. Lett. 2015; 6, 89–94