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ニュースリリース

2013年10月29日

リンパ系フィラリア症のグローバル制圧プログラムに、「ジエチルカルバマジン」の無償提供を開始
-初出荷は蔓延4カ国の600万以上の人々に提供-

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、当社インド・バイザッグ工場で製造するリンパ系フィラリア症治療薬「ジエチルカルバマジンクエン酸塩(略称:DEC)100mg 錠」について、世界保健機関(以下WHO)への無償提供を開始したことを、お知らせします。これにより、当社は開発途上国および新興国におけるWHOのリンパ系フィラリア症制圧活動を支援してまいります。

 初出荷先は、大洋州のパプアニューギニア、キリバス、ツバル、フィジーの4カ国となります。これらの国々では約625万人1の人々が感染リスクにさらされており、集団投薬プログラムの対象となっています。

 当社は、2020年までにリンパ系フィラリア症を含む顧みられない熱帯病(NTDs)10疾患の制圧をめざす国際官民パートナーシップ「ロンドン宣言」の署名者かつ積極的なパートナーであり、この国際的なイニシアチブのもと、リンパ系フィラリア症制圧に向けて、各国の集団投薬プログラムでの利用を目的にDEC22億錠を無償提供する契約をWHOと締結しています。

 リンパ系フィラリア症は、象皮病として一般的に知られており、蚊を媒介してヒトに感染する寄生虫症です。感染するとリンパ系機能障害を引き起こし、痛みと身体の一部に異常肥大を伴うリンパ浮腫など重篤な身体障害を発症します。現在、世界中で約1.2億人がリンパ系フィラリア症に感染しており、14億人以上の人々が感染リスクにさらされています。リンパ系フィラリア症の治療薬の一つであるDEC錠は、高品質な製品を安定的に手に入れることが世界的に困難な状況にあり、本疾患制圧に向けた大きな障害となっています。当社は、2013年8月に自社インド・バイザッグ工場でDEC錠の生産を開始し、プライスゼロの新製品として、今後、WHOの集団投薬プログラムに従って蔓延国26カ国2で感染リスクにさらされている2.5億人の人々に向けて、2013年から2020年まで7年間にわたって本剤を継続的に提供してまいります。

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 当社は、開発途上国や新興国における医薬品アクセス向上ならびにグローバルヘルスへの貢献を、これらの国々の経済発展につながる長期投資と位置づけています。当社は、NTDsを含むグローバルヘルスにおける課題に積極的に取り組み、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

1 WHO Preventive Chemotherapy and Transmission Control (PCT) Databank (2012年現在)
http://www.who.int/neglected_diseases/preventive_chemotherapy/lf/en/index.html
2 バングラデシュ、ブラジル、コモロ、ドミニカ共和国、エジプト、フィジー、フランス領ポリネシア、ガンビア、ガイアナ、ハイチ、インドネシア、ケニア、キリバス、ミクロネシア連邦、ラオス、マダガスカル、マレーシア、パプアニューギニア、ミャンマー、ネパール、サモア、サントメ・プリンシペ、東ティモール、ツバル、ザンビア、ジンバブエ


以上

[参考資料として、顧みられない熱帯病(NTDs)、リンパ系フィラリア症、
当社の医薬品アクセスへの取り組みを添付しています]

<参考資料>

1.顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)について
 WHOによると、世界に24億人いるといわれている貧困層のうちの10億人を超える人々がNTDsにより健康を害していると推定されています。NTDsは世界149の国と地域で蔓延しているとされており、このうち、100の国と地域が、2種類以上のNTDsの蔓延地域となっており、さらに30の国と地域では6種類以上のNTDsが蔓延しているとされています。NTDsは貧困により蔓延していく一方、多くの国・地域で貧困の原因ともなっています。(NTDs:ブルーリ潰瘍、シャーガス病、嚢尾虫症、デング熱、ギニア虫感染症、食物媒介吸虫類感染症、肝蛭症、睡眠病、リーシュマニア症、ハンセン病、リンパ系フィラリア症、河盲症、狂犬病、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症、トラコーマ、トレポネーマ感染症)

2.リンパ系フィラリア症について
 リンパ系フィラリア症は、蚊を媒介してヒトに感染する寄生虫症で、感染するとリンパ系機能障害を引き起こします。感染は小児の段階で起こることが一般的ですが、症状は数年かけて徐々に現れてくることが多く、成人期に最も重篤な症状を発症します。主な症状のひとつである象皮病は足などが象の足のように大きく腫れる身体障害で、患者様の日常動作に影響を与えるだけでなく、障害に対する偏見などから、歴史的にも多くの患者様が社会から迫害され、精神的にも患者様やご家族の方々を苦しめる原因となっています。今日、アフリカや東南アジアなどの開発途上国や新興国を中心に、世界73カ国にて1億2,000万人がリンパ系フィラリア症に感染していると推定されています。日本でも平安時代からリンパ系フィラリア症が存在していたことが確認されていますが、1960年代に始まった政府主導による産官民協同制圧活動の結果、1970年代後半に世界に先駆け、制圧に成功しました。

3.当社の医薬品アクセスへの取り組みについて
 当社は、新興国および開発途上国の人々の健康福祉の向上に貢献し、これらの国々の経済発展や中間所得層の拡大に寄与することは、将来に向けた長期投資と位置づけ、顧みられない熱帯病(NTDs)を含む感染症に対する医薬品アクセス問題に継続的に取り組んでいます。当社は、NTDsのうち10疾患について2020年までの制圧をめざす過去最大の国際官民パートナーシップ「ロンドン宣言」に参画し、本宣言のもと、リンパ系フィラリア症制圧に向けてDEC22億錠をプライスゼロで提供する契約をWHOと締結しています。これに基づき、当社は、インド・バイザッグの自社工場で製剤開発ならびに生物学的同等性試験を実施して、2012年10月にWHOに申請、2013年8月に事前認定(prequalification)を取得しました。今後、WHOの集団投薬プログラムに従って蔓延国26カ国で感染リスクにさらされている2.5億人の人々に向けて、7年間にわたって本剤を継続的に提供するとともに、患者様や一般市民、医療関係者に対する疾患啓発活動にも取り組み、制圧活動の推進をはかっていきます。
 また、当社は、新薬開発においてもDrugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)やセービンワクチン研究所などの国際的な非営利団体やブラジルの国立研究機関オズワルドクルス財団とのパートナーシップにより、シャーガス病やリーシュマニア症といったNTDsやマラリアに対する新薬開発を進めています。さらに、日本発の新薬創出によるグローバルヘルスへの貢献をめざすGHIT Fundの設立にも参加しています。詳細は、当社サイト「医薬品アクセス」(http://www.eisai.co.jp/company/atm/index.html)をご覧ください。