ここから本文です

ニュースリリース

2013年8月27日

リンパ系フィラリア症治療薬「ジエチルカルバマジン」 世界保健機関より事前認定を取得
-インド・バイザッグの自社工場から世界 24 の蔓延国への供給を年内に開始-

 エーザイ株式会社(本社:東京都、社長:内藤晴夫)は、このたび、当社インド・バイザッグ工場で製造するリンパ系フィラリア症治療薬「ジエチルカルバマジンクエン酸塩(略称:DEC)100mg 錠」について、世界保健機関(以下WHO)より事前認定(Prequalification)を取得したことを、お知らせします。リンパ系フィラリア症は、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases、以下NTDs)の一つであり、NTDs の治療薬について、製薬企業がWHOによる事前認定を取得した世界で初めてのケースとなります。

 当社は、2020 年までにNTDs10 疾患の制圧をめざす過去最大の国際官民パートナーシップ「ロンドン宣言」に参画しています。リンパ系フィラリア症治療薬 DEC は世界的に供給不足状態にあり、本疾患の制圧に向けた大きな障害となっています。当社は、ロンドン宣言のもと、高品質な DEC 錠 22 億錠をインド・バイザッグ工場で生産し、2013年から7年間にわたって本疾患の蔓延国に無償提供するという契約をWHOと締結しています。これに基づき、当社は、自社で製剤開発ならびに生物学的同等性試験を実施し、2012 年 10 月に WHO に事前認定申請を行い、申請から10 カ月という短期間で認定を取得することができました。今回の認定取得は、当社がリンパ系フィラリア症蔓延国 24 カ国のリスクにさらされている2.5億人の人々に向けて、自社製造の高品質なDEC錠をお届けし、疾患の制圧に貢献する大変重要なマイルストンになります。今後、WHOの集団投薬プログラムに従い、2013 年中にインド・バイザッグ工場よりDEC錠の供給を開始する予定です。

 当社は、大グローバリゼーション時代において、開発途上国・新興国の人々の健康福祉の向上に貢献し、これらの国々の経済発展や中間所得層の拡大に寄与することは、将来の市場形成等に向けた長期投資と位置づけています。当社は、NTDs を含むグローバルヘルスにおける課題に積極的に取り組み、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に貢献してまいります。

以上

[参考資料として、顧みられない熱帯病、リンパ系フィラリア症、
顧みられない熱帯病に対するロンドン宣言、WHOの事前認定について添付しています]

<参考資料>

1. 顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)について
 WHOによると、世界に27億人いるといわれている貧困層のうちの10億人を超える人々がNTDs により健康を害していると推定されています。NTDs は世界149 の国と地域で蔓延しているとされており、このうち、100 の国と地域が、2種類以上のNTDsの蔓延地域となっており、さらに30の国と地域では6種類以上のNTDsが蔓延しているとされています。NTDsは貧困により蔓延していく一方、多くの国・地域で貧困の原因ともなっています。
(NTDs: ブルーリ潰瘍、シャーガス病、嚢尾虫症、デング熱、ギニア虫感染症、包虫症、肝蛭症、睡眠病、リーシュマニア症、ハンセン病、リンパ系フィラリア症、河盲症、狂犬病、住血吸虫症、土壌伝播寄生虫症、トラコーマ、トレポネーマ感染症)

2. リンパ系フィラリア症について
 リンパ系フィラリア症は、蚊を媒介してヒトに感染する寄生虫症で、感染するとリンパ系機能障害を引き起こします。感染は小児の段階で起こることが一般的ですが、症状は数年かけて徐々に現れてくることが多く、成人期に最も重篤な症状を発症します。主な症状のひとつである象皮病は足などが象の足のように大きく腫れる身体障害で、患者様の日常動作に影響を与えるだけでなく、障害に対する偏見などから、歴史的にも多くの患者様が社会から迫害され、精神的にも患者様やご家族の方々を苦しめる原因となっています。今日、アフリカや東南アジアなどの途上国や新興国を中心に、世界73カ国にて1億2,000万人がリンパ系フィラリア症に感染していると推定されています。日本でも平安時代からリンパ系フィラリア症が存在していたことが確認されていますが、1960年代に始まった政府主導による産官民協同制圧活動の結果、1970年代後半に世界に先駆け、制圧が成功しました。

3. 顧みられない熱帯病に対するロンドン宣言(London Declaration on Neglected Tropical Diseases)について
 2012 年1月30日、世界大手製薬企業13社*1のCEO、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、USAID、DFID、世界銀行、NTDの蔓延国政府がロンドンに一同に会し、今後10年間で顧みられない熱帯病10疾患*2を制圧すべく共闘することを表明しました。また、この宣言において、各企業・団体は新たな取組みをそれぞれ発表しました。これは、今日最大のパートナーシップであり、これまでの組織単位、疾患ごとのアプローチとは異なり、この新しい連携により、制圧に向けて網羅的に、医薬品供給、物流、開発、インフラなどにおける課題に取り組み、より効果的にNTD制圧を成し遂げることを目指しています。
*1 アボット、アストラゼネカ、バイエル、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、エーザイ、グラクソスミスクライン、ギリアド、ジョンソンアンドジョンソン、メルク(Merck KGaA:ドイツ)、MSD、ノバルティス、ファイザー、サノフィ
*2 ギニア虫感染症、リンパ系フィラリア症、失明に至るトラコーマ、睡眠病、ハンセン病、土壌伝播寄生虫症、住血吸虫症、河盲症、シャーガス病、リーシュマニア症

4. WHOの事前認定(Prequalification)について
 WHO の事前認定プログラムは、優先度が高い疾患において高品質な医薬品の入手利用を促進することを目的としています。申請された医薬品は、製薬企業からの申請書類や製造施設の査察に基づいて包括的に評価され、WHOの品質基準を満たすことが認められた場合に、「事前認定薬リスト」に収載されます。このリストは、国連機関などが途上国支援のための医薬品を調達する際に利用されています。