国際NGO「難民を助ける会」とスーダンでの活動を支援する契約を締結顧みられない熱帯病、マイセトーマ患者様へのさらなる貢献

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、日本の国際NGOである「特定非営利活動法人 難民を助ける会(Association for Aid and Relief, Japan)」(本部:東京都、理事長:長有紀枝、 以下 AAR Japan)がスーダンにおいて展開する菌腫(マイセトーマ)に対する啓発事業を支援する契約を締結したことをお知らせします。

 

 マイセトーマは、アフリカ大陸をはじめとする熱帯および亜熱帯地域に多く見られる感染症で、明確な感染経路や罹患者数等の基本的な疾患情報も不足していることから、最も顧みられない熱帯病の一つと呼ばれています。最大の蔓延国の一つであるスーダンにおいて、疾患対策と研究が進んでいます。一般的には、汚染された植物のとげの上などを裸足で歩くことにより原因菌が皮膚から体内に侵入して感染すると考えられていますが、明確な感染経路は解明されていません。主な症状は手足にできる巨大な腫瘍で、症状が進行すると歩行や労働が困難になり、蔓延地域において貧困、偏見などの社会問題や経済的損失を引き起こす要因となっています。

 

 AAR Japanは、スーダンにおいてマイセトーマ患者様とそのご家族、地域住民ならびにマイセトーマ対策実施機関・団体に対して、疾患に関する知識および早期治療の重要性を伝える啓発活動を行い、患者様の医療機関での早期受診・早期治療を促す活動に取り組んでいます。また、遠隔地のマイセトーマ患者様の治療のために、スーダンの首都にあるハルツーム大学 マイセトーマ リサーチセンター(MRC)を通じて医療チームを派遣しています。今回の契約により、エーザイは、AAR Japanのスーダンにおけるこれらの活動を支援するとともに、マイセトーマ患者様の早期診断・早期治療を促進するための患者様の実態調査の実施をAAR Japanに委託します。

 

 当社は、2015年よりマイセトーマに対する新薬開発の取り組みを開始しています。非営利研究開発機関であるDrugs for Neglected Diseases initiative(DNDi )とともにエーザイ創製の抗真菌剤ホスラブコナゾール(E1224)について、マイセトーマの新規治療薬として共同開発しており、現在、この臨床試験がMRCにおいて進行中です。

 

 当社は、ヒューマンヘルスケア(hhc)理念のもと、開発途上国・新興国の人々の健康福祉の向上に貢献し、これらの国々の人々が健康を回復し、就労することによって、経済の発展や中間所得層の拡大に寄与することを将来の市場形成に向けた長期的投資と位置づけています。当社は、パートナーシップを活用し、開発途上国・新興国で蔓延する感染症などに対する新薬の開発を加速するとともに、現地における疾患啓発、ならびに所得に応じた価格設定の導入など、医薬品アクセスの改善に向けた活動を通じて、世界の患者様とそのご家族のベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上

<参考資料> 

1. 国際NGO「難民を助ける会」(Association for Aid and Relief, Japan、AAR Japan)について

 緊急・人道支援を行う日本生まれの国際NGOとして、これまで、日本国内の被災地を含めた約60の国や地域で活動をしてきました。感染症対策分野では、下痢等の感染症の予防のため、スーダンやパキスタンにおいて給水設備の整備や住民への衛生啓発活動を実施しています。スーダンにおいては、2005年に首都ハルツームに事務所を開設し、2006年より地雷や不発弾の危険から身を守るための教育活動を開始しました。AAR Japanが作成したラジオプログラムや啓発用教材を用いて、これまでに同国南コルドファン州、青ナイル州、白ナイル州およびカッサラ州で同活動を実施し、163,836人の住民に地雷回避に関する知識を伝えました。また、地雷被害者を含む障がい者に対し、義肢支援や生計支援を実施しています。地雷被害者の調査を実施する中で、マイセトーマにより四肢を失った住民の存在を知り、2013年よりマイセトーマ対策事業を開始しました。

 AAR Japanについての詳細は、以下のサイトをご覧ください。

https://www.aarjapan.gr.jp/

 

2. 当社の医薬品アクセスへの取り組みについて   

 当社は、ヒューマンヘルスケア理念(hhc)に基づき、各国政府や国際機関、民間企業や非営利団体などとの協力のもと、世界における医薬品アクセス改善に向けて中長期的視点に立った取り組みを展開しています。その一環として、国際官民パートナーシップ「ロンドン宣言」に参画して、リンパ系フィラリア症(LF)を制圧すべくWHOの制圧プログラムを支援し、DEC錠を必要とするすべての蔓延国でLFが制圧されるまで提供していくことを約束しています。2019年1月現在、28カ国1に15.9億錠以上を提供しています。

 当社は、新薬開発においてもDrugs for Neglected Diseases initiative (DNDi )やMedicines for Malaria Venture(MMV)などの国際的な非営利団体、あるいはLiverpool School of Tropical Medicine、ケンタッキー大学やブロード研究所などの研究施設とのパートナーシップにより、シャーガス病やマイセトーマ、LFなどのNTDsやマラリアなどの感染症に対する新薬開発を進めています。

 さらに、日本発の新薬創出によるグローバルヘルスへの貢献をめざす公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(Global Health Innovative Technology Fund、GHIT Fund)、世界知的所有権機関(WIPO)が主催するNTDs、マラリアや結核の治療薬開発のための国際共同事業「WIPOリサーチ(Re:Search)コンソーシアム」、結核に対する革新的な創薬をめざす「Tuberculosis Drug Accelerator」(TBDA)パートナーシップや非感染性疾患の予防と治療を推進するイニシアチブ「Access Accelerated(アクセス・アクセレレイテッド)」に参画しています。

 当社の医薬品アクセスへの取り組みの詳細は、当社サイト「医薬品アクセス」をご覧ください。
https://www.eisai.co.jp/sustainability/atm/index.html

 

1 アメリカンサモア、インド、インドネシア、エジプト、エリトリア、ガイアナ、キリバス、ケニア、コモロ、サモア、サントメ・プリンシペ、ザンビア、ジンバブエ、スリランカ、タイ、ツバル、ドミニカ共和国、ハイチ、パプアニューギニア、東ティモール、フィジー、フィリピン、フランス領ポリネシア、マダガスカル、マレーシア、ミクロネシア、ミャンマー、ラオス (五十音順)