パーキンソン病治療剤サフィナミドが国内臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験において主要評価項目を達成

エーザイ株式会社
Meiji Seika ファルマ株式会社

エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とMeiji Seikaファルマ株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:小林大吉郎、以下 Meiji)は、このたび、パーキンソン病患者様を対象として実施したME2125(開発コード、一般名:サフィナミドメシル酸塩、以下 サフィナミド)の臨床第Ⅱ/Ⅲ相試験において、主要評価項目が達成されたことをお知らせします。今回の試験結果を受け、2018年中にMeijiが日本におけるサフィナミドの製造販売承認申請を行う予定です。

本試験は、ウェアリング・オフ現象*1を有する日本人のパーキンソン病患者様を対象として、レボドパ併用時におけるサフィナミドを1日1回50mgまたは100mgを24週間経口投与したときの有効性、安全性をプラセボと比較する多施設共同、二重盲検、無作為化、並行群間比較試験です。本試験は、両社の間で結ばれたライセンス契約に基づき、日本においてMeijiが実施しました。本試験では、主要評価項目として、治療期24週後における1日平均オン時間*2のベースラインからの変化量を評価しました。

本試験の速報結果では、サフィナミド50mg投与群および100mg投与群はプラセボ投与群に比較し、それぞれ統計学的に有意なオン時間の延長を示しました。また、本試験のサフィナミド投与群で確認された有害事象(上位4つ)は、鼻咽頭炎、ジスキネジア、転倒、挫傷でした。

なお、2017年3月に両社間で締結したライセンス契約に基づき、日本におけるサフィナミドの独占的販売権とアジア*3における独占的開発・販売権はエーザイが保有します。また、日本においてはMeijiが臨床試験を実施し、製造販売承認申請を行います。一方、アジアにおいてはエーザイが承認取得に向けた臨床試験、製造販売承認申請等を行います。

エーザイとMeijiは、サフィナミドの開発を通じて、日本およびアジアにおけるパーキンソン病の患者様とそのご家族の多様なニーズの充足とベネフィット向上に、より一層貢献してまいります。

以上

  • *1
    ウェアリング・オフ現象:病気の進行に伴い、レボドパの効果持続時間(オン時間)が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れること
  • *2
    オン時間:レボドパの効果により、パーキンソン病の症状が抑えられている時間
  • *3
    韓国、台湾、ブルネイ、カンボジア、ラオス、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、シンガポール、香港、マカオ

本件に関する報道関係お問い合わせ先

  • エーザイ株式会社

    PR部

    TEL:03-3817-5120

    FAX: 03-3811-3077

  • Meiji Seika ファルマ株式会社

    総務部 広報グループ

    TEL:03-3273-5614

    FAX : 03-3273-0071

<参考資料>

1. サフィナミドメシル酸塩(一般名、開発コード:ME2125)について

サフィナミドは、選択的なモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害作用により、分泌されたドパミンの分解を抑制してドパミンの脳内濃度維持を助けます。また、ナトリウムイオンチャネル阻害作用やグルタミン酸放出抑制作用を有することから、同剤は、ドパミン作動性作用と非ドパミン作動性作用を併せもつ新たなパーキンソン病治療薬として期待されています。グローバルで実施された進行期パーキンソン病患者を対象としたレボドパ併用下での臨床試験では、オン時間の延長や運動機能の改善が確認されています1,2

サフィナミドは、Newron Pharmaceuticals S.p.A.(本社:イタリア、ミラノ)が創製・開発し、2011年にMeijiとの間で日本およびアジアにおける独占的な開発、製造および販売に関するライセンスについて合意しています。サフィナミドは、Xadagoの製品名で、欧州・米国13カ国で発売しています。

2. パーキンソン病について

パーキンソン病は、ドパミン神経系の変性・脱落により、脳内の神経伝達物質であるドパミンが減少することで、手足の震え、筋肉の固縮、小刻みな歩行などの運動障害を生じる神経変性疾患です。厚生労働省の調査によると、2014年における国内のパーキンソン病患者数は16万3000人でした3。アジア(中国、インド除く)における患者数は約30万人と推定されています(エーザイ推計)。高齢化に伴い、患者数は年々増加する傾向にあります4。パーキンソン病治療剤としては、脳内で不足したドパミンを補うレボドパが広く利用されます。しかし病気の進行に伴い、レボドパの効果持続時間が短くなり、次の服薬前にパーキンソン病の症状が現れることがあります(ウェアリング・オフ現象)。ウェアリング・オフ現象の改善には、レボドパと異なる作用機序の薬剤が併用されます。

3. エーザイ株式会社について

エーザイは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域において、世界で約1万人の社員が革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。

また、当社は開発途上国・新興国における医薬品アクセスの改善に向け主要なステークホルダーズとの連携を通じ積極的な活動を展開しています。

エーザイ株式会社の詳細情報は、http://www.eisai.co.jp をご覧ください。

4. Meiji Seika ファルマ株式会社について

Meiji Seika ファルマは、人びとの「健康」と「いのち」を守るため、感染症治療薬・中枢神経系疾患治療薬・ジェネリック医薬品の3つの柱を軸に、国際展開力を有する「スペシャリティ&ジェネリック・ファルマ」として多様な医療ニーズに応えていきます。

詳細については http://www.meiji-seika-pharma.co.jp/index.html をご覧ください。

  • 1

    Borgohain R et al. Randomized Trial of Safinamide Add-On to Levodopa in Parkinson's Disease With Motor Fluctuations. Mov Disord. 2014 Feb;29(2):229-37

  • 2

    Schapira AH et al. Assessment of Safety and Efficacy of Safinamide as a Levodopa Adjunct in Patients With Parkinson Disease and Motor Fluctuations: A Randomized Clinical Trial. JAMA Neurol. 2017 Feb 1;74(2):216-224

  • 3

    平成26年患者調査(疾病分類編)厚生労働省大臣官房統計情報部

  • 4

    難病情報センターhttp://www.nanbyou.or.jp/